DMMの最高経営責任者である亀山氏は「上場しないで自前でやっていけるほうが幸せ」発言をされました。
発言の裏には、どのような理由や影響があるのか気になりませんか?
特に、投資家やM&Aを検討している企業にとっては、今回のDMMの動きはただのニュースではありません。
上場しない宣言は、企業の将来性やビジネスモデルの持続可能性など、最終的には他の企業の投資や買収戦略に影響を及ぼすからです。
本記事では、IT×M&Aを専門にM&A仲介をしている株式会社パラダイムシフトが、DMMが上場しない理由や上場しないメリット、DMMの今後の展望などを詳しく解説します。
本記事を最後まで読むことで、DMM亀山氏が上場しない宣言をした背景と意味するところが理解できるでしょう。
DMMが上場しない選択をしたことで、他の企業としても将来に向けての新たな準備ができます。
目次
DMMが上場しない理由
DMMが上場を選ばない理由はいくつかあります。
- 上場企業特有の情報開示をしないといけない
- アダルトコンテンツの印象が強い
- 株式を発行したくない
それぞれの理由を詳しく解説します。
上場企業特有の情報開示をしないといけない
上場企業となると、企業は株式市場や投資家に対して、定期的に財務状況や経営戦略などの詳細な情報を開示しないといけません。
透明性を高めて、投資家が適切な判断を下せるようにするためです。
しかし、情報の開示義務は、競合他社に対する企業の秘密や戦略的な情報を公開することになるため、企業にとっては重大なリスクとなります。
特にDMMのような多角的なビジネスを展開する企業にとっては、情報開示がさらに複雑な問題を引き起こす可能性があります。
DMMは上場を避けることによって、自由な事業戦略かつ機密を保持しながら進めることができるのです。
アダルトコンテンツの印象が強い
DMMは、アダルトコンテンツを含むサービスを展開しているため、社会的にアダルトな印象が強いです。
アダルトコンテンツの印象が強いと、保守的な投資家や市場参加者からの評価にネガティブな影響を及ぼす可能性があります。
ネガティブな影響は、株式が広く受け入れられることを困難にするため投資の拡大を阻害します。
DMMは、株式市場から自社の事業がどのように受け止められているかわかっているため、上場しない選択をしているのです。
株式を発行したくない
DMMは、経営の自由度を最大限に保持したいため、株式を発行しません。
株式発行は、外部からの資金調達の手段として有効ですが、同時に株主への利益還元や経営に株主の意向を考慮する必要性が生じます。
つまり、株式発行によって、企業経営における意思決定の迅速性や柔軟性を制限する可能性があるということです。
DMMのような、革新的で迅速な意思決定を必要とするビジネスモデルの企業にとっては、株式発行による経営の自由度の低下は大きなデメリットになります。
株式を発行せずに迅速性と柔軟性をもった経営が、DMMという企業に合っているという意向です。
DMMが上場せずに得られるメリット4つ
DMMが上場しないことで得られるメリットは以下の通りです。
- 買収のリスクが少ない
- 会社経営の自由度が高い
- 上場に関するコストを抑えられる
- 会社の利益をすべて会社のために使える
上記のメリットについて解説していきます。
買収のリスクが少ない
DMMは上場しないことで、敵対的買収のリスクを大きく低減できます。
通常、上場企業は市場における株価の変動により、敵対的買収の対象となりやすくなります。
しかし、非上場企業だと株式が公開市場で取引されないため、外部からの不意打ち的な買収はされません。
買収されないことは、DMMが独立性を保ったまま長期的な戦略を追求する上で大きなメリットです。
また、経営陣が自社のビジョンに沿って事業を展開し続けることができるため、企業文化や事業戦略の維持にもなります。
買収リスクを下げることで、DMMは安定した経営環境で革新的なサービスを市場に提供し続けることができるのです。
会社経営の自由度が高い
DMMは上場しないことで、会社経営の自由度を大幅に高めることができます。
上場企業は、株主と市場の意向に応えようとするあまり、短期的な業績に焦点を当てる傾向があります。
しかし、DMMのような非上場企業は、長期的な視点で事業戦略を立てることに注力します。
上場しない選択は、革新や持続可能な成長を優先する決定を下しやすく、経営における重要な意思決定を迅速に行うことができるため、変化する市場環境に柔軟に対応できるのです。
自由度の高い経営こそ、DMMの独自性を保ったまま成長につながるやり方でしょう。
上場に関するコストを抑えられる
DMMは上場しないことで、上場に関する書類作成や監査手続きなどのコストを抑えられています。
上場する過程で費用が発生する一例を紹介します。
- 証券取引所への登録料
- 監査料
- 法的費用
中小企業や成長途中の企業にとっては大きな負担となります。
非上場企業であるDMMは、上場しないことで節約した資金を、事業の成長や新規プロジェクトの投資に直接再投資しています。
DMMのような経済的な柔軟性を持つ企業は、より長期的な視野で戦略を立てて市場での競争力を保ちましょう。
会社の利益をすべて会社のために使える
上場しないことは、得られた利益をすべて自社のために再投資できるということです。
上場企業は、利益の一部を株主への配当として支払う義務があるため、再投資能力に制限がかかります。
しかし、DMMのような非上場企業は、配当する株主がいないため、利益を新しい技術の研究開発や市場拡大戦略、従業員の福利厚生の向上など、企業の成長に直接貢献する活動に充てられます。
利益の再投資は、企業の長期的な競争力を高めて、継続的な成長を促進するのに重要です。
DMMは誰もが見たくなる未来を実現させる会社
DMMは、独特な経営戦略と事業展開により多方面での事業を展開している会社です。
DMMの会社概要や事業情報、事業提携などを通じて、革新的で多様なサービスを提供し続けている会社の内部を紹介します。
会社概要
DMMは、エンターテインメントからテクノロジー、金融まで幅広い分野で事業を展開する日本の企業です。
独立した経営体制と強固な事業基盤を持ち、国内外で多くのユーザーにサービスを提供しています。
社名 | 合同会社DMM.co |
本社所在地 | 106-6224 東京都港区六本木三丁目2番1号 住友不動産六本木グランドタワー24階 |
事業所 | 金沢事業所、加賀事業所 |
最高経営責任者 | 亀山敬司 |
設立 | 1999年11月17日 |
資本金 | 1億1円 |
従業員数 | 2,305名 |
主な取引先 | アマゾンジャパン合同会社、株式会社サイバーエージェント、シャープ株式会社、株式会社集英社、株式会社小学館、株式会社ソニー・ピクチャーズエンタテイメント、ソフトバンクグループ株式会社 etc… |
事業情報
DMMは、オンラインゲームや映像配信、電子書籍から、最新テクノロジーを活用した新規事業まで、16領域60事業以上にわたるサービスを展開してユーザーに新しい価値を提供し続けています。
DMMが取り組んでいる事業の一例を紹介します。
事業名 | サービス |
エンターテインメント | サブスク動画、電子書籍、アニメ、動画配信、音楽 etc… |
ゲーム | PCゲームプラットフォーム、ゲームパブリッシング |
コミュニティ | オンラインサロン |
Eコマース | 通販、ネット宅配レンタル、TV×WEBダイレクト通販事業 |
ビジネスソリューション | イベント支援、CRM、月額制インフルエンサーPR、バーチャルオフィス、インフルエンサー支援 |
ヘルスケア | オンライン診療 |
教育 | オンライン英会話、エンジニア養成機関、キャリア教育、プログラミング・転職 |
金融 | FX、CFD、株、暗号資産、競走用馬ファンド |
ミュージアム・テーマパーク | 水族館、没入空間 |
ハードウェア・プロダクト | 特殊車両の開発、コワーキングスペース、3Dプリント、大型ディスプレイ/海外輸入家電 |
スポーツ | サッカークラブ経営 |
地方創生 | 地方創生事業 |
AI | AI・アルゴリズム開発、生成AI、web3事業運営 |
インフラ | 自然エネルギー、EV充電機 |
農業 | 農業ソリューション |
アミューズメント | クレーンゲーム、オンラインくじ、パチンコ・パチスロ総合情報メディア、公営競技 |
事業提携
DMMは、国内外さまざまな企業と事業提携を積極的に行い、新たな市場の開拓やサービスの拡充を目指すことで、さらなる成長を遂げることが期待されます。
DMMが事業提携の募集を出しているサービスの一例は以下の通りです。
サービス名 | サービス概要・募集企業様 |
DMM英会話 | 企業の研修や福利厚生の一環として、学校の授業として提供するマンツーマンオンライン英会話レッスン。 |
DMMブックス | コミックや写真集・画像集、小説などの電子書籍を1作品から販売しているサービス。 |
DMMかりゆし水族館 | 水族館・エンタテイメント・リゾート関連事業に関するビジネスパートナー様を広く募集している。 |
DMM GAMES | 登録ユーザー3,100万人超のプラットフォームで、プラットフォーム事業やパブリッシング事業、コンテンツ事業、海外事業、投資事業の5つの事業を展開している。 |
DMMエナジー | 販売代理店様・投資家様・部材メーカー様等、再生可能エネルギー事業に関するビジネスパートナー様を広く募集している。 |
上場しないDMMの今後の展望
上場しない選択をしたDMMの今後は、革新と成長に重点を置いた明るい未来が待っています。
非上場であることの迅速性や柔軟性、経済的自由度を活かして、新しい技術の研究開発や市場拡大、事業の多角化などに集中できるからです。
DMMは、急速に変化する消費者のニーズや技術の進化に迅速に対応できるため、既存の市場での地位を強化し、かつ未開拓の市場に積極的に進出できます。
上場しない選択が長期的に持続可能な成長を支え、DMMを業界のイノベーターとして位置づけることに貢献するでしょう。
まとめ:DMMは上場廃止で業界のリーダーの道を歩むことになる
DMMの上場しない選択は、革新的なサービス展開と業界のリーダーとしての地位向上につながります。
企業によっては上場するメリットが大きい場合もありますが、DMMのしない理由やしないで得られるメリットを考慮すると、上場しないほうが未来への貢献度が高いです。
本記事で紹介した内容は、DMMが長期的な視野で事業を成長させ、市場での競争力を維持するための基盤となるものです。
上場しないことで得られる経営の柔軟性と経済的自由度は、DMMが今後も革新を続け、業界のリーダーとしての地位を強化するための鍵となるでしょう。
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