2023年4月に内部体制に問題があったとして上場廃止となったアジア開発キャピタル。具体的にはどんな背景があったのでしょうか。
今回の記事では、アジア開発キャピタルの上場廃止について触れ、同社の会社概要や歴史を紹介します。
目次
アジア開発キャピタルの上場廃止
2023年3月、東京証券取引所はアジア開発キャピタルの上場廃止を決定、同年4月末日を持って上場廃止となりました。
アジア開発キャピタルの株式は、2022年8月に特設注意市場銘柄に指定されました。
その後、2回の内部管理体制確認書を提出したが、東京証券取引所より改善のみ込みがないと判断され、上場廃止が決定しました。
特設注意銘柄に指定されて上場廃止が決定したのは、2022年4月に東京証券取引所新市場移行後、初めてのことです。
アジア開発キャピタルが上場廃止に至った内部体制の問題とは、どのようなものだったのでしょうか。次の章で詳しく解説します。
特設注意市場銘柄とは
特設注意市場銘柄とは、内部体制に問題があると判断した企業の株式に対して、取引所が投資家に注意を促すために指定します。
特設注意銘柄に指定された企業は速やかに内部体制を改善する必要があります。そして、万が一、取引所に改善される見込みがないと判断された場合には上場廃止になります。
アジア開発キャピタルが上場廃止になった理由
アジア開発キャピタルが上場廃止に至った理由は、内部体制の問題があると判断されたことによるものです。
アジア開発キャピタルは、2018年3月から2021年3月までの有価証券報告書の訂正をした上で財務局へ提出しました。これに対して、東京証券取引所が過去の経営陣の不適切会計や、内部の管理体制が不十分であるという理由からアジア開発キャピタルの株式を特設注意市場銘柄に指定しました。
その後、アジア開発キャピタルには第三者委員会を設置・調査した結果、当時の社長が不正な取引をしていたと結論付けました。
このことから、アジア開発キャピタルは経営陣の一新や経営等監視委員会の立ち上げ、子会社の整理統合などで内部体制を整えて内部管理体制確認書を提出しました。
しかし、100億円の架空融資証明書が見つかったり、社用車の不正購入があったりなどで特設注意市場銘柄の継続が決定。
その後、2023年2月に内部管理体制確認書が再提出されましたが、海外子会社の管理が機能していないという理由で同年3月に上場廃止が決定しました。
以下は、上場廃止までの流れをまとめたものです。
2021年6月 | 2018年から2021年の有価証券報告書を訂正処理、財務局に提出 |
2021年8月 | 特設注意市場銘柄に指定される |
2021年8月 | アジア開発キャピタルによる第三者委員会の設置 |
2021年10月 | 第三者委員会の調査報告書を公表 |
2022年2月 | 経営陣の一新、経営等監視委員会の立ち上げ |
2022年8月 | 一度目の内部管理体制確認書を提出 |
2022年9月 | 特設注意市場銘柄の継続決定 |
2022年10月 | アジア開発キャピタルが監査役会による件外調査報告書を公表 |
2023年2月 | 内部管理体制確認書の再提出 |
2023年3月 | 上場廃止の決定 |
2023年4月 | 上場廃止 |
2023年3月 | 上場廃止を理由に経営陣の一新 |
アジア開発キャピタルのその後
2023年4月30日を持って上場廃止となったアジア開発キャピタルはその後どうなっているのでしょうか。
2023年5月1日に公式Webサイトで発表された内容によると、これまでの役員は一部を覗いて退任し、経営体制を一新、意思決定の迅速化とコスト削減を速やかに実施するとあります。
そして、新たな代表取締役社長には中国出身の徐天雄氏が就くことになりました。子会社であるワンアジア証券の代表取締役である孫田夫外氏も中国出身であることから中国色の強い企業と言えるでしょう。
出典:非上場化に伴う組織体制の変更等について|アジア開発キャピタル株式会社
アジア開発キャピタルの会社情報
最後にアジア開発キャピタルの会社情報について紹介します。アジア開発キャピタルはどのような事業を展開しているのでしょうか。
アジア開発キャピタルの企業概要
基本的な企業概要は以下の通りです。
設立 | 1922年2月7日 |
代表取締役社長 | 徐天雄 |
本社 | 東京都港区 |
資本金 | 6,390,024,613円(2023年7月時点) |
従業員数 | 19名(2023年3月時点) |
業種 | 証券・先物取引 |
事業内容 | 投資・金融事業 |
子会社 | アジアビジネスソリューションズ株式会社 ワンアジア証券株式会社 |
アジア開発キャピタルは、創業時、倉庫業を運営していましたが、2004年に現在の主力事業である投資事業を初めました。
アジア開発キャピタルの歴史
アジア開発キャピタルの創業から現在までの歴史は以下の通りです。
1922年2月 | 創業 |
1952年6月 | 都筑紡績株式会社の子会社として旧日本橋倉庫株式会社を設立 |
1961年6月 | 東京繊維商品取引所の指定倉庫となる |
1963年7月 | 東証2部に上場 |
2003年10月 | 会社名を株式会社NDBに変更 |
2003年11月 | 通信業開始 |
2003年11月 | 親会社都筑紡績株式会社の経営不振 |
2004年5月 | 投資事業参入 |
2004年7月 | 会社名をジェイ・ブリッジ株式会社に変更 |
2005年6月 | 小杉産業を子会社化 |
2007年4月 | 小杉産業の経営権を譲渡 |
2010年10月 | 会社名をアジア・アライアンス・ホールディングス株式会社に変更 |
2012年4月 | 中国の同仁医療産業集団有限公司へ出資 |
2015年6月 | フィリピンのMABUHAY社のプロジェクトへ融資 |
2015年10月 | 会社名をアジア開発キャピタル株式会社に変更 |
2015年12月 | 株式会社エス・エー・コンサルティングの全株式を取得 |
2018年3月 | バイオマス事業を開始 |
2018年9月 | 中国福州市の百貨店で日本食レストランを開業 |
2019年2月 | 日本インキュベーションを吸収合併 |
2020年12月 | 会社事業を証券事業・投資事業・貸金事業に集約 |
2021年2月 | ワンアジア証券株式会社を完全子会社化 |
2021年8月 | 東京証券取引所から特設注意市場銘柄に指定される |
2023年4月 | 上場廃止 |
アジア開発キャピタルが中華系と言われる理由
アジア開発キャピタルに関するインターネットの記事やニュースを見てみると、アジア開発キャピタルが中国系の会社である記載が多くあります。
その理由については、以下のことが考えられます。
- これまでの代表取締役や現在の代表取締役が中国出身である
- 過去に中国の企業へ出資している
- 過去に中国で飲食店を開業している
これらの理由からアジア開発キャピタルは中華系の投資集団とも言われています。
中華系投資集団アジア開発キャピタル、上場廃止後の経営に注目
今回の記事ではアジア開発キャピタルが上場廃止に至った理由や、アジア開発キャピタルがどのような会社なのかを解説しました。
アジア開発キャピタルは、日本国内だけでなく中国などのアジア圏にまで進出している投資会社で、投資業や金融業だけでなく、飲食業など幅広い事業を展開していました。
2023年4月に上場廃止となりましたが、その理由は同社の内部体制に問題があったためです。上場廃止後は経営陣を一新して意思決定の迅速化やコスト削減を実行しています。
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