株式上場の状況を把握することは、企業のM&Aを検討する際に重要な情報です。
しかし、上場しているかどうかの調べ方が分からず困ったことはありませんか?
放置すると、買収先の信頼性や資金調達能力を見誤るリスクが高まります。
この記事では、株式会社が上場しているかを調べる方法から、上場のメリットやデメリット、上場企業の審査基準まで幅広く解説します。
この記事を読むことで、上場企業の特徴を理解しM&Aにおけるリスクを低減できるようになります。
ぜひ最後までお読みいただき、貴社の戦略的な意思決定にお役立てください。
目次
- 1 株式会社が上場しているかどうかの調べ方
- 2 四季報や株式欄をチェックする
- 3 WEBサイトで検索して調べる
- 4 株式会社の上場と非上場について
- 5 株式会社とは
- 6 上場とは
- 7 非上場とは
- 8 株式市場の主な種類
- 9 プライム市場
- 10 グロース市場
- 11 スタンダード市場
- 12 株式会社が非上場な理由
- 13 経営の自由度を保てる
- 14 上場コストが抑えられる
- 15 買収されるリスクが少ない
- 16 株式会社が上場するメリット
- 17 資金調達がしやすくなる
- 18 社会的な信用が高まる
- 19 優秀な人材が集まりやすくなる
- 20 上場審査で見られる主な基準
- 21 経営の健全性
- 22 継続性・収益性
- 23 コーポレートガバナンスや内部体制
- 24 企業内容やリスク情報の適切な開示
- 25 【各市場別】実質審査基準一覧表(東京証券取引所)
- 26 上場している/していない有名な企業一覧
- 27 上場している株式会社を調べてM&Aを成功させよう!
株式会社が上場しているかどうかの調べ方
上場しているかどうかを調べることは、企業の信頼性や投資判断を確認する上で重要です。
上場企業は証券取引所に株式を公開しているため、一般にも情報が公開されています。
ここからは、株式会社が上場しているかどうかを確認するための具体的な方法を紹介します。
四季報や株式欄をチェックする
株式会社が上場しているかを確認するには、四季報や新聞の株式欄をチェックするのが有効です。
四季報は、上場企業の情報を網羅しているため信頼性が高いです。四季報の最新号を開けば、企業の上場状況が一目で分かります。
四季報や株式欄は簡単に確かな情報を得られるため、上場企業を調べる際にぜひ活用しましょう。
WEBサイトで検索して調べる
株式会社が上場しているかを確認するには、WEBサイトでの検索が便利です。
公式サイトや証券取引所のウェブサイト、金融情報提供サービスなどで簡単に企業の上場状況を確認できます。
WEBサイトでの検索は、ほしい情報を迅速に得られる手段として有効なのでぜひ活用しましょう。
株式会社の上場と非上場について
株式会社には、上場企業と非上場企業の2種類があります。
株式会社の違いを理解することは、企業の規模や投資対象としての魅力を判断する上で重要です。
ここからは、株式会社の上場、非上場の違いや特徴について詳しく解説します。
株式会社とは
株式会社とは、株式を発行し資金を集めることで事業を運営する会社の形態です。
株式を発行することで、多くの投資家から資金を調達しやすくなるため、大規模な事業展開が可能となります。
例えば、一般の人々が株式を購入することで資金が集まるため、企業の成長を支えることができます。
株式会社の会社形態を選ぶことで、効率的に資金を集めて成長を加速させることができるでしょう。
上場とは
上場とは、株式会社が証券取引所に自社の株式を公開し、誰でもその株を売買できるようにすることです。
上場することで、企業は多くの資金を調達できるため信頼性も向上します。
例えば、東京証券取引所に上場することで企業は広く投資家に認知されるため、事業拡大に必要な資金を容易に集められます。
上場は企業の成長を加速させるとともに、ブランド価値を高める大きな一歩です。
非上場とは
非上場とは、株式会社が証券取引所に株式を公開せず、限られた範囲で株主を持つことです。
非上場の企業は経営に関する柔軟性が高く、外部からの影響を受けにくいのが特徴です。
例えば、家族経営や中小企業が非上場を選ぶことで、株主への説明責任を減らして経営判断を迅速に行えます。
非上場は、自由度の高い経営スタイルを求める企業に適しているでしょう。
株式市場の主な種類
日本を代表する東京証券取引所には、「プライム市場・スタンダード市場・グロース市場」と3種類があり、企業の成長段階や特性に応じて上場する市場が違います。
また、それぞれの市場は企業の規模や成長性、投資家向けのリスクプロファイルに基づいて分類されており、上場企業に求められる基準も違います。
ここからは、それぞれの株式市場の種類について詳しく解説します。
プライム市場
プライム市場は日本の株式市場における最上位の市場区分で、国内外の投資家に向けて高い基準で運営されている市場です。
プライム市場に上場する企業は経営の透明性や業績の安定性が求められるため、投資家からの信頼を得ることが重要です。
例えばトヨタ自動車のような大企業は、プライム市場に上場して安定性と高い成長力を示しています。
プライム市場は、信頼性と規模の大きい企業が集まる場所として認識されているため、多くの投資家が注目しています。
グロース市場
グロース市場とは成長性の高い企業が上場する日本の株式市場で、リスクを取って成長企業に投資したい投資家に向いている市場です。
グロース市場に上場する企業は、急速な成長を目指している企業が多いです。
例えば、新興のテクノロジー企業などは、グロース市場で資金調達して革新を加速させます。
グロース市場はリスクとリターンを求める投資家にとって魅力的な市場なため、将来の大企業の候補が多く集まっています。
スタンダード市場
スタンダード市場とは日本の株式市場における中間的な市場で、成長と安定のバランスを重視する企業が上場する市場です。
スタンダード市場に上場する企業は、一定の安定性を持ちながらも資金を調達して事業拡大を図る企業が多いです。
スタンダード市場は安定性と成長の両方を求める投資家に適しており、多様な投資機会を提供する場となっています。
株式会社が非上場な理由
株式会社が非上場のままでいる理由には、さまざまな経営的なメリットがあります。
非上場であることで企業は株式公開に伴う複雑な手続きやコストを避けられるため、経営の自由度を保ちやすくなります。
ここからは、株式会社が非上場を選ぶ理由を3つ挙げて詳しく解説します。
経営の自由度を保てる
非上場企業でいることで、経営の自由度を保つことができます。
株式を一般公開していないため株主の意見に縛られずに、経営者は自分たちのビジョンに基づいて迅速に意思決定が可能です。
事業方針を変えたい場合でも、株主総会などのプロセスを経ずにすぐに実行できます。
経営に自由度を持つことで変化の激しい市場環境でも柔軟に対応できるため、独自の戦略を貫けるのが大きなメリットです。
非上場のままでいることは経営者にとっての自由と機動力を確保できます。
上場コストが抑えられる
非上場の企業でいることで、上場に伴うコストを抑えられます。
上場には証券取引所への申請費用や監査費用、株主総会の運営費用など、多くのコストがかかります。
しかし、非上場であれば経営資源をコスト削減や成長への再投資に回せるため、効率的な資金運用が可能です。
資金を有効に活用したい企業にとって、上場コストの回避は大きなメリットです。
買収されるリスクが少ない
株式会社が非上場でいることで、企業は買収のリスクを低く抑えられます。
上場している企業は株式が自由に取引されるため、敵対的買収のリスクが常にあるのです。
上場している株式会社は、他社が大量の株式を取得することで経営権を奪われる可能性がありますが、非上場であれば株の取引が限定されるためリスクを回避できます。
非上場の企業は長期的なビジョンを持って安定的に経営を続けられるため、外部からの影響を最小限に抑えられるのです。
株式会社が上場するメリット
株式会社が上場することには多くのメリットがあります。
上場した企業は広く資金を調達できるようになるため、企業の成長のために資金確保が容易になります。また、株式を公開することで、社会的な信用度や知名度の向上が可能です。
ここからは、上場することのメリットを3つ挙げてわかりやすく解説します。
資金調達がしやすくなる
上場することで株式会社は資金調達がしやすくなります。
株式を公開して多くの投資家から資金を集めることで、事業拡大のための資金源が多様化します。
新しい事業プロジェクトを開始する際にも、株式発行を通じて迅速に必要な資金を調達することが可能です。
上場は企業の成長を促進するための資金を効率的に確保できるため、企業の成長戦略に重要な手段となるでしょう。
社会的な信用が高まる
上場することで、株式会社の社会的な信用が高まります。
証券取引所に上場するには厳しい基準をクリアする必要があるため、上場の過程で企業の透明性や財務状況が審査されます。
上場企業として信頼性が認められると、顧客や取引先、金融機関からの信用が向上するため、事業活動が有利に進められます。
社会的な評価・信用が高まることで、新たなビジネスチャンスやパートナーシップの機会も増加するため、企業の大きな成長につながるでしょう。
優秀な人材が集まりやすくなる
上場することで、株式会社には優秀な人材が集まりやすくなります。
上場企業は知名度や社会的信用が高く安定性があるため、求職者にとって魅力的な職場となるのです。
例えば、多くの若手エンジニアや管理職候補者が、成長が期待できる上場企業にキャリアの場を求める傾向にあります。
上場は、企業は必要なスキルを持った人材を採用しやすくなるため、さらに企業の成長を促す重要な戦略のひとつです。
上場審査で見られる主な基準
上場審査では、企業が公的な株式市場で取引されるにふさわしいかどうかを判断するため、さまざまな基準があります。
上場審査の基準は、投資家が安心して資金を提供できるかどうかを判断するために不可欠です。
ここからは、上場審査で見られる主な基準について具体的にわかりやすく解説します。
経営の健全性
上場審査では、経営の健全性が重要な基準として評価されます。
企業が安定した経営基盤を持ち、将来にわたり持続的に運営できるかを確認するためです。
借入金のバランスや資金繰りが良好であることが必要とされるため、審査では財務状況の健全さが厳しく見られます。
経営の健全性を確保することで企業は投資家にとってリスクが少なく、魅力的な投資先であることを示せるため、上場の成功に欠かせません。
継続性・収益性
上場審査では、企業の継続性と収益性が重要な評価基準です。
企業が長期間にわたり安定して利益を生み出せるかが審査対象となります。
過去数年間の利益状況や将来の収益計画がしっかりしていることが求められるため、企業の成長可能性が確認されます。
継続して利益を上げられる企業であることを証明することで、投資家にとって安心できる投資先となります。
コーポレートガバナンスや内部体制
上場審査では、コーポレートガバナンスや内部体制の整備が重要な基準です。
企業が健全で透明な経営を行うために、ガバナンス体制が整っていることが求められるからです。
例えば、取締役会や監査役の独立性を確保し、不正行為を防止する内部管理体制が審査されることで、株主や投資家に対して透明性が高く、信頼される企業運営を示せます。
内部体制の強化は、企業の成長と安定的な経営の基盤を築くために欠かせない要素です。
企業内容やリスク情報の適切な開示
上場審査では、企業内容やリスク情報の適切な開示が重要な基準となります。
企業が投資家に対して透明性を持って情報を公開することで、信頼を得ることが目的です。
例えば、事業内容、財務状況、将来のリスクなどを正確に開示することが求められ、これにより投資家は企業の状況を適切に判断できます。
適切な情報開示は、投資家の安心感を高め、企業への信頼を築くために不可欠な条件です。
透明性のある開示は、健全な株式市場の構築につながるでしょう。
【各市場別】実質審査基準一覧表(東京証券取引所)
上場を目指す企業にとって、各市場の求める基準を理解することは重要です。
市場ごとに異なる基準を把握し、企業の成長段階に応じた市場選択を行うことが、上場への道を確実に進めるための第一歩となります。
東京証券取引所における各市場別の実質審査基準の一覧表を以下にまとめました。
プライム市場 | スタンダード市場 | グロース市場 | |
株主数 | 800人以上 | 400人以上 | 150人以上 |
流通株式数 | 2万単位以上 | 2,000単位以上 | 1,000単位以上 |
流通株式時価総額 | 100億円以上 | 10億円以上 | 5億円以上 |
経営の継続性および収益性 | 安定した収益基盤が必要 | 収益性および継続性の証明が必要 | 高い成長可能性が求められる |
コーポレートガバナンス | 高度なガバナンス体制が必要 | 標準的なガバナンス体制が必要 | 成長を支える 基礎的なガバナンス体制 |
内部管理体制 | 十分な内部管理体制が必要 | 適切な内部管理体制が必要 | 適切な成長管理体制が必要 |
上記の一覧表から、各市場が企業に求める審査基準が異なることが理解できます。
企業がどの市場を目指すかによって、準備するべき体制や基準も変わってくるため、上場を計画する際には各基準をしっかりと理解し、対応することが求められます。
上場している/していない有名な企業一覧
上場している企業と上場していない有名な企業の一覧表を以下にまとめました。
企業名 | 上場の有無 | 主な業種 |
トヨタ自動車 | 上場 | 自動車 |
ソニーグループ | 上場 | エレクトロニクス エンターテインメント |
リクルートホールディングス | 上場 | 人材サービス |
サントリーホールディングス | 非上場 | 飲料・食品 |
ロッテホールディングス | 非上場 | 食品 |
ディズニー(日本法人) | 非上場 | エンターテインメント |
楽天グループ | 上場 | EC・金融サービス |
ソフトバンクグループ | 上場 | 通信・投資 |
任天堂 | 上場 | ゲーム |
ユニクロ(ファーストリテイリング) | 上場 | アパレル |
上記の一覧表からもわかるように、上場・非上場の選択は企業の戦略や成長段階に大きく依存します。
例えば、トヨタやソニーといったグローバルに展開する大企業は資金調達や透明性の確保のために上場を選択しています。一方で、サントリーやロッテのような非上場企業は、経営の自由度や長期的なビジョンに基づいて非上場を維持しています。
このように、企業の上場の有無は経営の方向性や経営者の意思を反映しているのです。
上場している株式会社を調べてM&Aを成功させよう!
上場企業について理解を深めることは、企業分析やM&Aを成功させるために重要です。
上場企業の特性を理解することで、ターゲット企業の選定やM&Aの成功に向けた戦略を立てやすくなるからです。
ぜひこれらの情報を活用し、目指す成果を達成するために行動を起こしてみてください。
M&AアドバイザリーとしてM&Aに関連する一連のアドバイスと契約成立までの取りまとめ役を担っている「株式会社パラダイムシフト」は、2011年の設立以来豊富な知識や経験のもとIT領域に力を入れ、経営に関するサポートやアドバイスを実施しています。
パラダイムシフトが選ばれる4つの特徴
- IT領域に特化したM&Aアドバイザリー
- IT業界の豊富な情報力
- 「納得感」と「満足感」の高いサービス
- プロフェッショナルチームによる適切な案件組成
M&Aで自社を売却したいと考える経営者や担当者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
またM&Aを成功させるためのコツについて全14ページに渡って説明した資料を無料でご提供しますので、下記よりダウンロードしてください。