実は、YouTubeやInstagram、TwitterなどのSNSのなかで、もっともダウンロードされている「Tiktok」がアメリカ企業のオラクルに買収されました。
近年、企業間の買収が増えているなかで、
- Tiltokを提供している企業とオラクルはどんな企業?
- Tiktokってどんなアプリケーション?
- そもそも買収の経緯は?
- オラクル以外に買収に名乗りを上げた企業は?
など疑問に思う方も多いです。
そこでこの記事では、Tiktokの買収に関する疑問をM&A×ITに強みを持つM&A会社が解説します。
具体的には、
- Tiktokとオラクルの概要
- Tiktokを買収した経緯
- オラクル以外のTiktok買収に名乗りを上げた企業
- Tiktok買収後の驚きの声明
の順にご紹介します。
この記事を読むことで、Tiktok買収の全貌が一挙に分かります。
目次
- 1 Tiktokとは
- 2 Tiktokの歴史
- 3 Tiktokの特徴
- 4 Tiktokを買収した「オラクル」とは
- 5 企業概要
- 6 事業内容
- 7 企業理念
- 8 Tiktok買収の経緯
- 9 Tiktokがダウンロードランキング軒並み1位
- 10 Tiktokのプライバシー問題
- 11 大統領令により米国企業が買収を検討
- 12 オラクル以外にTiktok買収に名乗りを上げた2つの米国企業の買収目的
- 13 Microsoft(マイクロソフト)の目的
- 14 Walmart(ウォルマート)の目的
- 15 買収決定後にTiktokは驚きの声明を発表
- 16 まとめ:Tiktokは実質的にオラクルとウォルマートが買収!認めたくない中国政府が反抗
Tiktokとは
Tiktokは、ByteDance(バイトダンス)が運営する動画に特化したソーシャルネットワーキングサービスです。
音符状のロゴは「抖音」の拼音表記「Dǒuyīn」の頭文字「D」に由来します。「抖音」とは中国語で振動音、すなわちビブラートを意味しています。
Tiktokの歴史
TikTokは、もともと2016年9月に中国市場でリリースされた抖音の国際版です。
2017年に中国本土以外のほとんどの市場でiOSおよびAndroid向けに提供されましたが、2018年8月2日に別の中国のソーシャルメディアサービスMusical.ly(英語版)と合併してから世界中で利用できるようになりました。
Tiktokの特徴
Tiktokは、音楽クリップの視聴のみならず短編動画クリップの撮影および編集、さらに動画クリップへの特殊効果の追加が可能です。
BGMをリストから選択し(BGMリストにはヒップホップやテクノなど多種多様なジャンルの楽曲が収録)、撮影した動画にBGMを組み合わせて編集することで、オリジナルの動画が作成できます。
作成した動画はTikTok上に公開することができ、動画を端末内に保存することも可能です。
アプリがインストールされていない環境や、アプリがリリースされていないWindows・Macなどのパソコン環境でも、各動画に付与されるURLにアクセスすることでブラウザから投稿された動画を視聴・ダウンロードする事が可能な仕様になっています。
しかし、2021年3月現在ブラウザからは投稿された動画の視聴・ダウンロードや動画投稿、コメントなどの一部の機能のみ利用可能であり、アプリと同等の動画編集機能やプロモート機能などはありません。アプリにはなくブラウザにある機能として予約投稿があります。
Tiktokを買収した「オラクル」とは
出典元:Bloomberg
Oracl(オラクル)はシリコンバレー生まれの米国企業で、最近では米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズのWeb会議システム「Zoom」を買収したことで世間を驚かせました。
企業概要
オラクル社は、データベース管理システム(DBMS)を中心とした企業向けソフトウェアの開発、販売を行っています。
多数の買収によりソフトウェア市場でのシェアを高めており、主力のデータベース管理ソフトウェア製品である「Oracle Database」に加え、データベース開発ツール、ERP、CRM、SCMなどの製品を持っています。
クラウドコンピューティング分野にも力を入れており、2020年にクラウドコンピューティング全般の売上高(SaaS/PaaS/IaaSの合計)で世界6位、2019年にはSaaS分野で世界5位に位置しています。
本社所在地 | アメリカ合衆国:テキサス州オースティン (2020年12月にカリフォルニア州Redwood Shoresより移転) |
設立 | 1977年(昭和52年)6月16日 |
業種 | 情報・通信業 |
事業内容 | コンピュータ用ソフトウェアの開発、製造、販売、保守 |
代表者 | ラリー・エリソン共同創業者兼CTO兼会長 サフラ・キャッツCEO兼CFO マーク・ハードCEO |
事業内容
オラクル社は、リレーショナル・データベース事業(関連があるデータ項目事業)を中核として、基幹系アプリケーションやクラウド基盤などのエンタープライズ(大企業や中堅企業、公的機関など規模が大きい法人に向けた市場や製品)領域で多岐にわたる事業を展開しています。
オラクル社のクラウドの市場シェアは、AWS、マイクロソフト、Google、アリババ、IBMの後ろを追っている状況です。
下記の表は、オラクル社の製品とサービスを一部抜粋したものです。
テクノロジー製品 | ・オペレーティングシステム:Solaris、Oracle Linux ・データベース製品:Oracle Database(オラクルの主要製品) ・開発ソフトウェア:Oracle Designer、Oracle Developer |
アプリケーション製品 | Oracle E-Business Suite、Hyperion Planning etc… |
サービス | Oracle Academy、Oracle Consulting etc… |
製品サポート | CSI (Customer Support Identifier) コードで顧客とサポート状況を把握 |
企業理念
オラクル社は、変化する世界に対する環境的および社会的影響を与えることを最優先事項として製品やサービスを提供しています。
オラクル社が重要視している企業理念の項目を以下に示します。
技術 | 世界中でオラクル社のテクノロジーがさまざまな業界の組織が持続的に運営して、気候変動に取り組むためのソリューションを開発している。 |
慈善事業 | オラクル社は「Oracle Giving」によって資金提供された企業・組織は、食料安全保障から教育の公平性や環境保全まで、さまざまな分野で変革を遂げています。 |
文化 | ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(一体感)、チームワーク、継続的な学習など従業員の全体的な幸福をサポートしています。 |
環境 | 世界中で持続可能性を企業全体に組み込み、革新的なクラウドテクノロジーを提供してお客様と地球にとって有意義な変化を加速させます。 |
オラクル社は、環境および社会への影響の最前線に立つという取り組みを示し、世界で最も重要な問題に取り組むにはテクノロジーや慈善活動、持続可能性、文化がすべて一致している必要があると考えています。
変化する世界に貢献し、お客様が驚くべきことを成し遂げることを念頭に置いて企業活動をしています。
Tiktok買収の経緯
出典元:日本経済新聞
Tiktokの買収劇は2020年8月に当時アメリカ大統領だったトランプ氏が大統領令に署名し、アメリカ上院議会でTikTokアプリのダウンロード禁止のための法案が可決されたことから始まりました。
同時期に、オーストラリアと日本でもTiktokアプリの規制が検討されています。
Tiktokがダウンロードランキング軒並み1位
TikTokはアメリカ、インド、日本などで人気が高まっています。
世界のSNSダウンロード数は、Facebook, Instagramを抑えてTikTokが1位です。(2020年1月時点)
Tiktokのプライバシー問題
アメリカの調査会社ワラルーメディアによると、月間利用者数は世界で数億人で、うちアメリカは6500万人にのぼります。
しかし一方で、アメリカの約5人に1人が利用する人気ぶりをアメリカの議会は「利用者のメッセージや位置情報データを中国政府に渡す恐れがある」とプライバシー問題を理由に警戒し続けていました。
大統領令により米国企業が買収を検討
当時のアメリカ大統領だったトランプ氏は、Tiktokアプリ利用者の個人情報漏洩や選挙での若年層票の獲得を絡めて、アメリカ企業にTiktokの買収を検討させる大統領令を発令しました。
アメリカ企業の数社が名乗りを上げて、最終的にOracl(オラクル)が買収することになりました。
オラクル以外にTiktok買収に名乗りを上げた2つの米国企業の買収目的
出典元:日経XTREND
当時のトランプ大統領が大統領令を発令して、TIktok買収に名乗りを上げたオラクル以外の企業は以下の2つの企業です。
両企業がTiktokを買収する目的を下記で解説します。
Microsoft(マイクロソフト)の目的
Microsoft(マイクロソフト)は、クラウドのインフラ市場で大きく遅れをとっているAWSに、TikTokを買収することで差を縮めたいという目論見がありました。
多くの企業がTikTokの広告プラットフォームに魅力を感じているため、TikTokが持つユーザーの利用データを基にして、マイクロソフトの検索エンジンであるBing、MSN、Outlook、Xbox Liveにおける広告事業を強化することができます。
広告事業を強化することで、検索エンジンやSNS広告ではGoogleやfacebookが独走しているなか、広告主側にマイクロソフトの広告サービスを周知させる戦略を取り、プラットフォームとして魅力的なTikTok を傘下に置けば広告事業の躍進を期待できるからです。
実際に推計した結果、TikTokを買収した場合Microsoft社サービスの利用率は2%から5%増加すると見込まれていました。
また、マイクロソフト社はすでにAI分野で業界のリーダーであるため、1億人のTikTokのアメリカユーザーの生み出すデータなど広告業とのシナジーが得られる点も考えられていました。
しかし、楽しすぎて時間を忘れるTikTokのアプリに対して、マイクロソフトのビジネス向けの製品は業務を効率化することが目的です。
事業の性格が全く逆であることから、数々の疑問が起こり、マイクロソフトの収益には貢献できないとも指摘された結果、買収を断念することになりました。
Walmart(ウォルマート)の目的
マイクロソフト社が争奪戦から脱落した後、Walmart(ウォルマート)はByteDance(バイトダンス)と交渉し提携にこぎつけることに成功しました。
TikTokの国際事業を分離し、設立する新会社にオラクル社とウォルマート社が合わせて20%を出資することが決定となりました。
ウォルマート社がTikTokの運営に出資した目的は、ライブコマースの分野が拓かれるようになり小売りのDX化を促進できるからです。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、ライブコマースは中国市場などではすでに人気が出ていました。アメリカではAmazon、Instagram、Facebookなどがライブコマースを開始し力を入れています。
ウォルマート社のような小売り大手であれば、TikTokのEコマース事業をより強力に推し進めることができます。これにより、大手ECのAmazonやSNSのFacebookに並ぶライブ配信機能付きのショッピングアプリを作ることが期待されました。
買収決定後にTiktokは驚きの声明を発表
オラクルがTiktok買収したことで幕引きと思われましたが、中国政府はニュースで「最終的に買収は認めず、テクノロジープロバイダー(業務提携)として着地した」と驚きの発表をしました。
Tiktokの親会社であるByteDance(バイトダンス)のホームページでは、「Tok Globalの株主の過半数がアメリカ人となりByteDanceが支配権を失うというニュースが流れているが、TikTok GlobalはByteDanceの100%子会社で本社をアメリカに置くだけである」と書かれている。
まとめ:Tiktokは実質的にオラクルとウォルマートが買収!認めたくない中国政府が反抗
Tiktokの国際事業は、アメリカ企業のオラクルとウォルマートが立ち上げた新会社の実質的な買収で落ち着きました。
この買収により、Tiktokは大統領令を免れてアメリカで事業を展開できるようになり、オラクルはTiktok Globalの株式を12.5%、ウォルマートは7.5%、合計20%を取得することになりました。
Tiktok Globalの株主の過半数がアメリカ人となったということは、実質的にTiktokのアメリカ事業を左右するのは中国ではなくアメリカとなりました。
しかし、これを認めたくないByteDanceは自社ホームページで「Tiktok GlobalはByteDanceの100%子会社で本社をアメリカに置くだけである」と強く主張しています。
買収したオラクルは、クラウドコンピューティング分野やTiktokの相乗効果、AI解析、顧客企業の営業、マーケティング支援に力を入れていく見込みで、ウォルマートは大手の小売業としてTiktokのパーソナライズされた個人データを活用していく予定です。
世界でもっとも利用者・ダウンロード数の多いTiktok、今後どのような事業とタッグを組むのか注目してください。
パラダイムシフトは2011年の設立以来、豊富な知識や経験のもとIT領域に力を入れ、経営に関するサポートやアドバイスを実施しています。
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