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マイクロソフトの買収事例を一覧で紹介!事業拡大の歴史とは?

マイクロソフトは、アメリカの多国籍テクノロジー企業です。

世界最大のソフトウェアメーカーであり、Google、Amazon、Apple、Metaと並ぶアメリカの情報技術企業ビッグ5の1つです。

しかし、マイクロソフト事業拡大の歴史には、買収の積み重ねが関係していることあまり知られていません。

この記事では、200以上ある買収事例のうち特に有名な案件を一覧で紹介します。マイクロソフトの歴代CEOの買収戦略についても触れますので、参考にしてください。

買収によって事業拡大に成功したマイクロソフト

マイクロソフトは、世界最大のソフトウェア企業であり、GoogleやAmazon、Apple、Metaと並んでGAFAMと称される巨大企業です。

売上高約1,700億ドル、日本円ベースで約2兆円を超えています。

マイクロソフトが巨大企業に成長した背景には買収を軸とする経営戦略があります。

その成長の過程でマイクロソフトは数多くのスタートアップ企業を買収しているのです。

1994年以降だけでも大小のM&Aを合わせて200件を超えています

全米26州、世界21の国で買収を実施し、買収対象企業はソフトウェアが半分以上を占めています

2020年から2022年にかけても盛んにM&Aが実施されており、コロナ禍でもM&Aによる事業拡大という経営戦略に変更はありません。

マイクロソフトの買収戦略

マイクロソフトはCEOによって買収戦略に微妙な違いがあるようです。

2000年から2014年にかけてCEOを務めたボルマー氏の時代には100社以上の買収を実施しています。

大量の買収を実施していますが、買収金額以上の効果をもたらさなかったと批判されることもあるのです。

特に2007年に実施されたデジタルマーケティング会社であるaQuantiveの買収は60億ドルが費やされていますが、買収以降もオンライン広告が低迷し、2012年には約62億ドルの減損処理を行っています。

ボルマー氏の跡をついで2014年にCEOに就任したナデラ氏は「数よりも質」を重視する戦略で、Linkedin(260億ドル)やActivisionBlizzard(687億ドル)といった大型M&Aを実現しています。

このM&A戦略は成功し、売上高及び株価は急成長を遂げているのです。

マイクロソフトによる買収事例の一覧

マイクロソフトは、すでに200を超える買収案件を実施しています。

マイクロソフトはM&Aによって成長した」と言っても過言ではありません。

なかでもマイクロソフトやソフトウェア業界に大きな影響を与えた買収事例を解説します。

1987年:Forethought

Forethoughtの買収はマイクロソフトの歴史で初の大規模な買収計画であり、最も成功した買収として知られています。

今や誰でも知っているOfficeソフトであるパワーポイントを開発したのがForethoughtです。

初めてMicrosoft Windowsが発売された1985年から2年後の1987年にマイクロソフトは、Forethoughtを買収しました。

買収価額は1,400万ドルという当時としては莫大な価額です。

当初、マイクロソフトの買収打診に対して、Forethoughtが難色を示したため、ビル・ゲイツは乗り気ではありませんでした。

しかし、最終的に当初提示した売却価額の3倍に相当する1,400万ドルで買収に合意しました。

今や世界中の10億を超えるパソコンに搭載されているパワーポイント事業を買収した案件は世界の買収事例の中でも最も成功したと言えるでしょう。

1997年:Hotmail

Hotmailは無料電子メールサービスを提供していた会社です。

この電子メールサービスこそが後のOutlookです。

マイクロソフトが1997年12月に4億5,000万ドルで買収しました。

当時は電子メールサービスが登場したばかりの黎明期であり、当時最大規模の買収は世界を驚かせました。

買収当時ホットメールの利用者は約900万人です。

今ではOutlookは世界中のビジネスマンの半分以上が利用していると言われており、現在から見て最も成功した買収事例です。

2011年:Skype

2011年にマイクロソフトはSkypeを85億ドルで買収しました。

買収価額は将来のポテンシャルを見込んで実際の価値の約3倍になったと言われています。

FacebookやGoogleのメッセージサービスに対抗する手段として、マイクロソフトが賭けに出たのです。

しかし、この買収は当時から「投資に見合う売上や利益が期待できない」と様々な投資家やメディアから批判されてきました。

残念ながら、これらの批判は当たっていると言われています。

Skypeはアクティブユーザーが1億人を突破するメッセージアプリですが、Zoom(3億人)やWhatspp(16億人)、Teams(2億7,000万人)など競合アプリの後塵を拝しています。

2012年:Yammer

2012年にマイクロソフトは企業向けのソーシャルネットワーキングツールであるYammerを12億ドルで買収しました。

2013年には、Office365の利用者が利用できるように設計され、2016年にはOffice365のデフォルトに組み込まれました。

しかし、Yammerの買収が成功であったのか疑問視する声が多いです。

Yammerが買収されてから4年後の2016年にはMicrosoftTeamsが発表され、Yammerの機能をほとんどTeamsで代替できるようになりました。

また、同じく企業向けのメッセージサービスとしてSlackがありますが、Slackは18億人のユーザーがいるのに対して、Yammerは100万人程度です。

2013年:Nokia

2013年にマイクロソフトは、フィンランドの情報通信会社Nokiaを72億ドルで買収しました。

当時、Nokiaはサムスンに次いで携帯電話端末を販売しており、買収によるさらなる飛躍が期待されていました。

Nokiaは2000年代にフィンランドのGDPの4%を占める巨大企業であり、期待が大きかったのです。

しかし、買収後は携帯電話市場で苦戦し、現在ではほとんど撤退しています

2016年にマイクロソフトはノキアに対して支払った72億ドルの大半を償却する方針を発表しており、苦戦が続いているようです。

ただし、2020年時点でも世界の130カ国に展開し、年間で230億ユーロの売上高をマークするなど事業全体としては堅調に推移しています。

2014年:Mojang

2014年に実施されたMojangの買収はマイクロソフトの歴史上で成功した買収事例として知られています。

Mojangはスウェーデン初のゲーム開発会社であり、代表作である「Minecraft」で有名です。

買収価額は25億ドルという大規模なもので、実施された当時は費用対効果を疑問視する声もありました。

しかし、マイクロソフトによれば、2021年時点でMinecraftの月間アクティブプレイヤー数は最大1億3900万人に達しており、2億3800万本以上のMinecraftが世界で販売されています。

買収後に知名度が向上し、アメリカのゲーム愛好家の90%に認知され、北米とヨーロッパでは9〜11歳の子供の50%以上がMinecraftをプレイしているそうです。

2016年:LinkedIn

現在のCEOであるナデラ氏の体制下で実施された最大規模の買収事例がLinkedInです。

買収価額は262億ドルですが、買収時は利益1.6億ドルの赤字でした。

しかし、買収から5年後には年間売上高100億ドルを突破し、利益は3倍になりました。

2021年の第4四半期は売上高が前年比46%増加し、約30億ドルに達しました。

特にFacebookから広告事業で市場を獲得したことから、LinkedInの四半期広告収入は、最近の四半期で初めて10億ドルを超え、前年比97%増となっています。

ナデラ氏は2021年の第4四半期決算発表で「LinkedInは、B2B広告、プロフェッショナル採用、セールス・インテリジェンスといった複数の成長分野でリーダーになった」と述べています。

2018年:GitHub

2018年に75億ドルでGitHubの買収を実施しました。

GitHubは、世界中の人がソースコードを保存、公開できるサービスであり、多くの開発者や企業に利用されています。

ナデラ氏がCEOに就任してから、Officeシリーズをオープンソース化する流れがあり、この買収はその流れを反映したものです。

2018年6月に買収が実施された直後にGitHubは、オープンソースのサービスにおいて、アマゾンを抜いて1位になっています

月間のアクティブユーザーは6,500万人と好調に推移しており、買収は概ね成功したと見られています。

2022年:ActivisionBlizzard

2022年1月、世界のゲーム業界に激震が走りました。

マイクロソフトがゲーム大手のActivisionBlizzardを687億ドルで買収すると発表したのです。

ActivisionBlizzardは、「Call of Duty」「Warcraft」「Hearthstone」「Diablo」といったゲームファンの間で有名なゲームを抱える人気メーカー

買収額687億ドルはマイクロソフトの買収事例で過去最大規模であり、企業規模では、任天堂を買収したようなものです。

ゲーム業界の構造を変えるゲームチェンジャーとして注目されています。

しかし、このような大型M&Aを問題視する声もあり、アメリカの米連邦取引委員会は「市場独占」について憂慮するメッセージを発表し、独占禁止法に基づき調査を開始しました。

イギリスの競争・市場庁も同様に今回の買収について調査を開始すると発表しています。

マイクロソフト最大の買収が成功するかどうかは、これらの調査結果に左右されるでしょう。

マイクロソフトによる今後のM&Aに期待

この記事では、マイクロソフトの歴代CEOの買収戦略や過去の有名な買収案件について解説しました。

マイクロソフトはスタートアップ企業から大手まで幅広い企業の買収に積極的であり、今後のM&Aが期待されます。

当面の間は、2022年1月に発表されたActivisionBlizzardの買収が合意通りに実施されるかが注目されるでしょう。

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