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WEB制作会社の事業、会社の特徴、今後の展望

世界のWEBサイトの数をご存知でしょうか。 インターネットが普及し始めた2000年には世界のWEBサイトの数は1,700万ありました。それから20年が経った現在、その数は17億を超え100倍以上になっています。WEBサイトの制作はビルダーやCMSなどが普及しており、素人でも簡単にWEBサイトを構築できるようになりましたが、多くのWEBサイトがWEB制作会社によるものです。

しかし、実は、近年の世界的なWEBサイトの数は停滞している傾向にあります。このWEBサイトの数というのは、ブログやページの数とは違ってサイト単位での数になるので、ブログやWEBサイトのページの数は圧倒的に増えていてもWEBサイトの数は増えていないのです。

100万社以上の企業情報を掲載するサイト、Baseconnectによると、現在、日本国内には17,000社以上のWEB制作会社が存在しています。フリーランスのWEBデザイナーも含めるともっと多いでしょう。世界的にWEBサイトが増えていない昨今、WEB制作会社の今後の展望はどうなるのか。事業の詳細や会社の特徴と併せて考察していきます。

1.WEB制作会社の業務

WEB制作会社はWEBサイトの構築やWEBアプリの開発を行うのが主な業務です。WEBアプリとは、ブラウザを使ったアプリケーションと表現すれば分かりやすいかもしれません。
例えば、音楽サイトのページURLを入力するだけで音源ファイルがダウンロードできるサービスや、画像ファイルをPDFに変換するオンラインサービスなどもWEBアプリに該当します。

WEBサイトを構築するにはビルダーやCMSを使えば特に専門的な知識は必要ありません。文言や静的なビジュアルを修正する場合は、比較的に簡単と言われているHTMLやCSSを使えばある程度は出来るため、ビルダーなどのツールが豊富になっている現在は、短期間の学習でWEBサイトの構築は可能です。
しかし、WEBアプリの開発となると、PHPやJavaScript、RubyやJavaなどの言語が必要になりますので、技術力の高いWEB制作会社はWEBアプリも開発できます。

WEB制作会社の商品はこの2点ですが、ただ単にWEBサイトの構築やWEBアプリの開発を行っているだけではありません。
まず、WEB制作を行うにあたってサイトURLとなるドメイン、そしてプログラミングされたファイルなどが保存されるサーバーが必要になります。CMSを利用しているWEBサイトや開発されたWEBアプリはMySQLなどのデータベース管理システムも必要です。WEBの構築や開発などが出来ても、ドメインやサーバー、データベースなどのとても複雑な分野を理解していなくては、セキュリティに問題が出てきたり、内部システムのアップデートにも対応することができないのです。

WEBサイトの構築するエンジニアをフロントエンジニアと言い、システムなどの仕組みを構築したり管理するエンジニアをバックエンドエンジニアと言います。フロントエンジニアの業務は、WEBに表示される側の構築を担当。HTMLやCSS、JavaScriptなどの記述をするエンジニア、画像の加工やイラスト、アニメーションなどを担当するデザイナーなどが役割を分担して一つのWEBサイトを仕上げています。

バックエンドエンジニアは、先述のデータベースなどの複雑なシステムを操作したり、他にも、例えば会員機能や買い物かごの導入などWEBサイトが機能するためのシステムを設計・構築などを担当します。

このように、様々な業務を分担して一つのサイトやアプリが完成されています。もっとも、フリーランスのWEBデザイナーや小規模のWEB制作会社は、1人もしくは少人数で仕上げているのですが、いずれにしてもある程度のプログラミング能力やデザイン力が業務には必要になります。

2.業界の特徴とWEB制作で有名な企業

WEB制作の業界は、開発力、技術力、企画・デザイン力などに長けた大手WEB作成会社と、ビルダーやCMSなどを使ってWEBサイトを構築する小規模の会社に分かれています。
前者はWEBアプリの開発なども可能で、WEBで実現できるほとんどを請け負いますが、後者は能力や実績などのいずれかで大手には及ばず、実現可能な案件を比較的安価で対応します。この二極化が進んだ背景には、CMSなどのツールを使えばある程度の学習で構築が可能になったことから、新規参入が増えてきたことが挙げられます。

業界内で技術力の低い新規参入者は、ほとんどがCMSを利用しています。CMSの中でも特にWordpressは国内でも82.4%を超えるシェアを誇っており、実際にほとんどのWEB制作会社はWordpressを利用して構築しています。 小規模のWEB制作会社は開発力が乏しいのでWordpressを利用するのですが、デザイン性やSEO対策、そして安価な提案をすることで差別化を図っています。
一方で、大手のWEB制作会社もwordpressを利用するケースは多くありますが、自社で開発したCMSを使っていたりシステムごと構築するケースもあり、独自性、デザイン性、利便性、さらにはセキュリティの面でも優れたWEBサイトを構築しています。

このようにWEB制作会社が二極化しているという特徴の他に、もう一つ特徴があります。それは、WEB制作を専門としている大手が少ないということです。
WEB制作を業務の一部として掲げている東証一部上場企業は21社しかありません(2020年5月現在)。
クラウドサービスを展開するGMOクラウド株式会社、印刷やイベント企画を行う株式会社廣済堂、人材ビジネスの株式会社ワールドホールディングスなど、様々な業種の大手が技術やノウハウを生かしてWEB制作の事業に参入しています。
東証一部上場企業にはWEB制作だけに特化した企業はなく、WEBサービスは他の事業と密接に汎用するので、今後もWEB制作一本の専門会社で一部上場する企業は現れないでしょう。
それでは、実績のあるWEB制作を専門とした未上場の大手企業を数社挙げてみます。

(1)株式会社キノトロープ

https://www.kinotrope.co.jp/
これまで1,000社を超えるクライアント、さらにその75%が上場企業という業界の中でもかなり評価の高いWEB制作会社です。
社員の95%が制作に携わっていて、これまで独立した社員は60人もいます。それだけ技術力の高い人材がそろっており、書籍の出版やセミナー開催も積極的に行っています。
これまでの主な制作実績には、竹中工務店、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、日本たばこ産業(JT)、大塚製薬などのWEBサイトがあります。

(2)株式会社フォーデジットデザイン

https://www.4digit.com/
大手WEB制作会社の中でも圧倒的にデザイン性が評価されているフォーデジットデザイン。従業員は約200名在籍しており、東京、大阪、タイのバンコクにオフィスを構えています。
Yahoo!JAPANのインターネットクリエイティブアワードで特別賞を受賞するなど、これまで数々の賞を受賞しています。
これまでの主な作成実績は、ユナイテッドアローズのEC、トヨタのホームページ、ミクシィの採用サイトなど。

(3)株式会社ミツエーリンクス

https://www.mitsue.co.jp/
新宿に本社を置き、大阪、仙台にもオフィスを構える大手WEB制作会社です。従業員数は約400名、設立30年を迎える老舗ですが、もともとは音声系のコンテンツを扱う会社で、WEB制作は25年目。スタジオも自社で持っていて、WEBの制作で欠かせない動画などの制作も強いのが特徴的です。
これまでの主な実績は、インテルジャパン、NTTのバーチャルモールサイトなど。近年はWEBを使ったシステムやアプリの開発が目立ちます。

(4)株式会社LIG

https://liginc.co.jp/
デザイン力や技術力はもちろん、納品後のマーケティングなどのアフターサービスも高評価の大手WEB制作会社。従業員は230名で、サイトだけで年間に150もリリースしています。一つのサイトにディレクターからデザイナー、エンジニア、コンサルタントまで総勢100名の英知を集めて構築するため、完璧なWEBサイトができると評判です。
これまでの実績には、JTBやANAのホームページ、サイボウズのオウンドメディアなど多数のWEBサイト構築の実績があります。

このように、大手と呼ばれる従業員が100人以上のWEB制作会社は、有名サイトや大企業の案件などの実績が豊富です。
薄利多売の小規模WEB制作会社とはサービス内容のスケールが全く違うため、今後も大きな案件は大手WEB制作会社に集中し、彼らがこの業界を牽引していくでしょう。

3.今後のWEB制作における需要と業界の展望

(1)ビルダーやCMSなどの簡単にWEBサイトを構築できるツールはまだまだ開発される

ジャストシステムが開発・販売しているホームページビルダーで言えば、1994年にバージョン1.0が登場しており、2020年4月にはホームページビルダー22が発売されています。初心者でも簡単にホームページを構築・管理できるように開発されていて、今後もバージョンアップを繰り返しながら、より簡単に、より良いホームページを作ることができるように進化をし続けます。
全世界の3分の1以上のWEBサイトで使用されているWordpressは、2003年に初版がリリースされてから現在もアップデートを繰り返しており、無償で提供されるプラグインなども増え続け利便性はかなり向上しています。さらに、テーマと呼ばれるテンプレートはWordpressで公開されているだけでも7,500種類もリリースされていて、CMSの中では一強と言われています。
今後、WEBの需要が続く限り、これらのようなビルダーやCMSだけではなく、他のWEBサイト構築ツールやアプリは開発されると考えられます。現在でも、WIXやjimdoのように初心者でも割と簡単にホームページを開設することはできるのですが、更に簡単にそれを実現できる新しいプログラム言語の開発やAIの発達などにより、遠くない将来にはwordやexcel、power pointと同じような感覚でWEBサイトを作る時代が来るはずです。

(2)コーポレートサイトは飽和状態。WEBアプリもスマホアプリに

総務省は毎年「通信利用動向調査」を行い、その中で企業のホームページ開設状況を公開しています。それによると、2016年は87.8%の企業が自社のホームページを開設していることがわかりました。
この割合はここ数年は大きな変化はなく、90%弱で推移しています。統計を開始した2001年は77.7%だったので増えてはいるのですが、現在のホームページ開設率9割というのが頭打ちだと考えられます。
100%に近づかない理由には、ホームページを必要としない小規模の企業などはインターネット上で発信したい情報をFacebookなどのSNSで完結させているという傾向があります。
コーポレートサイトは飽和状態にある上に、WEB作成会社に依頼しなくても自社で対応できるようになってきているので、これから先はWEB制作会社にとって新規案件の獲得は難しくなっているということです。
WEBアプリにおいても、現在はスマートフォンユーザーが増え、WEBではなくスマホアプリの方が圧倒的に需要が高くなっているためWEBアプリの開発件数も以前より落ちています。

(3)予想通りにWEB制作会社の数は減少し続ける

このように、WEBサイト、WEBアプリのニーズが減少してくると簡単に予想されるこの業界において、国内で17,000社もあると言われるWEB制作会社は間違いなく減少し続けます。似たような業種の歴史で言えば、印刷会社に近いかもしれません。
印刷会社はバブル期には13兆円産業でしたが、インターネット化とペーパーレス化、紙媒体の減少により市場縮小が顕著に進んできました。現在は5兆円程度まで落ち込んでいると言われています。WEB制作の市場も同じようにして、今後は規模が縮小していくでしょう。
もちろん、仕事がなくなるということは考えにくいのですが、WEB制作会社で働きたい人が減少して人材不足が予想されます。その結果、小規模のWEB制作会社の閉店や、比較的大手であっても黒字倒産も有り得る話かもしれません。いずれにせよ、WEB制作だけでの存続は厳しくなり、小規模WEB制作会社が淘汰され新規参入も減少していくと考えられます。

(4)クライアントの業務に深く関わり、有益な提案が必要になる

新規案件が取れなくなるWEB制作会社が生き残るために最も必要なことは、クライアントの業務に深く関わっていくことです。
制作物のSEO対策や効果的なデザインの変更などは以前から商品として提案されてきていますが、WEBサイトをもっと有益に活用させるための広告の提案など、クライアントにとってメリットのある商品を案内することで活路を見出せます。つまり、今後はコンサルの性格を持ったWEB制作会社が生き残る時代になると言えそうです。

例えば、コーポレートサイトを持って商品を案内しているだけでなく、

  • SNSを活用してより幅広い層に商品をPRする提案
  • Google広告だけでなく、アフィリエイト広告やテレビや新聞などの他媒体での広告の提案
  • 採用サイトを開設するだけでなく、人材派遣会社とのマッチングの提案
  • 業務の委託に有効な補助金や助成金の提案

など、クライアントの業務に深く関わることによって、ノウハウがあれば様々な提案ができます。

会社の規模に関係なく、このような提案力が求められる時代になっていくでしょう。既に現在、ひとつの業種に特化したコーポレートサイトを構築するWEB制作会社も見かけるようになりました。実績が多いほど、その業種のターゲット層やユーザー動向などを熟知しているため他のWEB制作会社よりも優れた企画・提案ができるのが魅力です。

新規参入が少なくなり業界全体が縮小化しているWEB制作業界ですが、今後は「技術・開発」「デザイン・創造力」「企画・提案・コンサルティング」のいずれかで強みがないと小規模のWEB制作会社は生きていけないでしょう。

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