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ソフトウェアの譲渡とは?譲渡のメリットや方法を解説

インターネットやスマートフォンの発達によって、ソフトウェアは急成長している分野です。

クラウド、ビックデータ、IoTなど様々な事業領域が次々と誕生し、人々の生活に不可欠なものになっています。

事業やビジネスの譲渡と言えば、大企業の話と思われがちですが、個人でソフトウェアを譲渡することも可能です

この記事では、ソフトウェア譲渡の概要やメリット、具体的な手続きについて解説します。

ソフトウェアの譲渡とは?

ソフトウェアの譲渡とは、ソフトウェアを有料または無料で第三者に譲渡することです。

プログラミングスキルがあれば、個人でソフトウェアを開発することも可能ですので、法人・個人問わずソフトウェアを譲渡しています。

ソフトウェアとは、コンピューターを動かすシステムやプログラムを指す言葉で、アプリやプログラミングソフトなどを指します。

身近な例では、LINEなどのSNSやWordやExcelなど文書作成アプリなどがアプリケーション・ソフトウェアと呼ばれているようです。

例えば、オリジナルゲームのアプリを開発して、販売している人もいるようです。

ソフトウェアは、プログラムやイラストと並んで、制作者に著作権があるので、一定の手続きによって著作権を譲渡する必要があります

ソフトウェア会社の譲渡

「ソフトウェアの譲渡」と言う時にソフトウェア会社をM&Aによって譲渡することを指すこともあります。

ソフトウェア会社とは、Slerと呼ばれるシステム開発会社やソーシャルゲームなどを販売するゲーム会社などを指します。

ソフトウェア業界では、大規模なシステムを開発する大手企業から、下請け企業として活動する小規模な企業まで様々です。

大手が小規模な会社を買収したり、他業界の企業がソフトウェア業界への新規参入のために小規模な企業を買収することがあります。

ソフトウェア業界のM&Aの動向

ソフトウェア業界におけるM&Aは盛んであると言えます。

大きな要因として、ソフトウェア業界が成長産業であることが挙げられるでしょう。

「モノのインターネット」と言われるIoT分野の成長は著しく、ソフトウェアに対する投資が増加しています。

ソフトウェア会社の買収によって、自社に不足する技術や機能を補完しようという動きがあります。

また、エンジニア不足も要因の一つです。

IT業界に共通する課題ですが、エンジニア不足によって商品開発に遅れが出ることも珍しくありません。

受注や需要はあってもエンジニア不足によって依頼を断ったという経営者もいるようです。

ソフトウェア会社のM&Aによって、優秀なエンジニアを多数確保でき、人材不足を解消できます。

個人でソフトウェアを譲渡するメリット

基礎的なプログラミングスキルさえあれば、ソフトウェアを開発することは難しくありません。

今では、ソフトウェア作成ツールがあり、最短で5分程度で作成できるソフトウェアもあるようです。

専門知識がなくても個人でソフトウェアを譲渡することができます

個人でソフトウェアを作成し、譲渡することによるメリットはなんでしょうか。

スキル次第で大きな金額を稼げる

ソフトウェアは作成ツールを使えば、容易に作成できますが、需要の高いソフトウェアは複雑で、作成が難しい場合があります。

フリーランスを募集するサイトでは、このような専門知識が要求されるソフトウェア開発に高い報酬が設定されています

エンジニアとして働いた経験があり、ソフトウェア開発の経験が豊富であれば、大きな金額を稼ぐことが可能です。

エンジニアとして独立して、ソフトウェアの開発と譲渡を繰り返すことで、会社員の時以上の収入を目指すことができるでしょう。

場所を選ばずに働くことができる

コロナ対策として、リモートワークが普及していますが、職種によってはリモートワークが難しいこともあります。

ソフトウェアを開発し、譲渡するエンジニアはコロマ前からリモートワークが普及していた数少ない職種の一つです。

パソコンとインターネット環境さえあれば、日本全国もしくは海外にいても働くことができます

好きな時に好きな場所で、スキルを活かして、ソフトウェアを開発し、譲渡することができる点が魅力です。

ソフトウェアの需要が拡大している

経済活動のデジタル化やインターネットの普及によって、ソフトウェアの需要が高まっています

最近では、人々の働き方も変わり、オンライン上で機密情報を共有する機会も増え、セキュリティ対策の重要性も高まっています。

今や人々の生活や経済活動にソフトウェアは必要不可欠な存在であり、ソフトウェアの開発、譲渡をフリーランスエンジニアに依頼する企業も増えているようです。

ソフトウェアを開発、譲渡することで得られる経済的な利益が拡大していると言えます。

ソフトウェアを譲渡する方法

個人で開発したソフトウェアを譲渡する場合、通常の売買契約とは異なる方法が必要になります

ソフトウェアは著作物です。

著作物には、著作権があり、第三者に権利ごと譲渡する適切な手続きを踏まないと、後で権利トラブルの元になります

正しく著作権を譲渡することによって、第三者は、著作者の許可なくソフトウェアを使用することができます。

著作権譲渡契約書を作成する

著作権譲渡契約書とは、ソフトウェアなどのプログラム、ロゴやイラスト、動画といったコンテンツを第三者に譲渡する時に作成する契約書です。

著作権法第10条では、「プログラム」について著作物に含めています。

ソフトウェアはプログラムの一種であり、ソフトウェアの譲渡は著作物の譲渡になります

したがって、ソフトウェアの譲渡にあたっては、著作権法に従った譲渡方法が必要になります。

著作権法第61条では、「著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。」と規定しているので、著作権の範囲を明確にする必要があるのです。

著作権の範囲を明示するために、著作物の譲渡においては、著作権譲渡契約書を作成することが常識です。

なぜ著作権譲渡契約書を作成するのか?

著作権侵害の事例は枚挙に暇がありません。

例えば、無料動画サイトで映画の内容を要約したものを公開して、逮捕された事例が有名です。

映画同様にソフトウェアも著作物であり、無断で複製したり、使用することは著作権の侵害となります。

著作権は目に見えないため、保護される範囲が不明確であり、しばしば侵害されるのが現実です。

譲渡後であっても著作権の範囲が不明確であるため、権利関係を巡るトラブルに発展することがあります。

著作権は非常に重要な権利であり、侵害すると刑罰に問われます。

したがって、譲渡に際しては、著作物の範囲、著作権者、譲渡対象者を明確にする必要があるのです。

著作権の譲渡自体は口約束でも可能ですが、契約内容の証拠を残し、著作権の範囲を明確にするために著作権譲渡契約書を作成します

著作権譲渡契約書の記載事項

著作権譲渡契約書に著作権の範囲等を明確にするために、詳細な記載事項を入れます。

一般的な記載事項は以下の通りです。

  • 契約の目的
  • 譲渡代金の支払い(金額と時期)
  • 著作権譲渡の範囲
  • データの引渡し
  • 著作者人格権の不行使
  • 著作物が第三者の権利を侵害しないことの保証
  • 契約解除
  • 損害賠償
  • 反社会的勢力の排除
  • 著作権譲渡の登録に関する譲渡人の協力
  • 契約終了後の措置
  • 合意管轄

特に重要な事項は「著作権譲渡の範囲」と「著作者人格権の不行使」です。

「著作権譲渡の範囲」とはなんでしょうか。

著作権法第27及び28条では、「翻訳権」について規定していますが、この権利は複雑なので、著作物がソフトウェアであり、「翻訳権」に該当しないことを明記します。

「著作者人格権の不行使」とは、なんでしょうか。

著作者人格権とは、著作権自体を譲渡しても、譲渡されない権利であり、簡単に言えば、制作者の「名誉」を守る権利です。

例えば、著作物を性風俗営業の広告に使用することを禁止する権利などが該当します。

そこで、ソフトウェアの譲渡を受ける人は著作者が著作者人格権を行使しないことを約束してもらう必要があるのです。

ソフトウェアを譲渡する時の注意点

ソフトウェアを含む著作権は目に見えない権利ですので、侵害のボーダーが曖昧です。

この特徴は著作物を公開した時だけではなく、譲渡した時にも問題になります。

ソフトウェアを譲渡した側もされる側も相手の権利を侵害しないために注意すべき点とはなんでしょうか。

譲渡後は著作者は権利を喪失する

当然のことですが、ソフトウェアの譲渡後は著作者はソフトウェアの著作権を喪失します

ソフトウェアに係る著作権を譲渡した後もソフトウェアのデータは著作者の手元に残ることになります。

著作者の観点では、自分が制作したソフトウェアを使用できることは当然だと考えるかもしれません。

しかし、ソフトウェアに係る著作権の譲渡を行うと、著作権自体が譲受人に移転します。

譲受人はソフトウェアを独占的に使用することができます。

したがって、たとえ著作者であっても著作物を譲受人の許可なく使用することは不可能です。

もし著作者が譲受人の許可なくソフトウェアの使用を続けると、著作権侵害となります

必ずアンインストールして譲渡する

著作権譲渡契約書では、ソフトウェアの譲渡について、著作者の手元にデータを残さないことを規定する場合があります。

その場合、データをアンインストールしないでソフトウェアを譲渡すれば、契約違反です

ここで注意したいのが、アンインストールした場合であっても、ソフトウェアのバックアップが取れていれば、手元にデータが残っていると同じことになります。

契約書でデータの削除について規定していない場合でも著作者の手元にデータが残っていれば、不正使用の原因になります。

たとえデータがあっても権利は既に譲渡されていますので、トラブルの元になるものを残しておく必要はないでしょう。

ソフトウェアを譲渡する際にはデータはアンインストールした上で譲渡しましょう。

ソフトウェアの譲渡ニーズが高まっている

この記事では、ソフトウェアを譲渡するメリットや注意点、具体的な手続きについて解説しました。

インターネットの普及や人々の経済活動のデジタル化によってソフトウェアを譲渡することの需要は高まっています。

しかし、著作権という性質上、ソフトウェアの譲渡に際しては細心の注意が必要です。

ソフトウェアを含む著作物を譲渡する時には弁護士や譲渡に詳しい専門家に助言を求めることが適切です。

ソフトウェアの譲渡を検討している方は、株式会社パラダイムシフトに相談しましょう。

株式会社パラダイムシフトは、 IT領域に特化したM&Aアドバイザリー事業を展開しています。