フィンテックサービスとは、フィンテック(Fintech)と言われる新しい分野のサービスです。
金融サービスとIT技術を掛け合わせたサービスの総称を指します。
スマートフォンの発達やIT企業の金融分野への参入によって、スマホ一台で決済や送金、資産運用などの金融サービスを受けられるようになりました。
日本では、経済産業省や大手金融機関を中心にIT活用を推進し、様々なサービスが誕生しています。
この記事では、フィンテックサービスの特徴や11つあると言われる代表的な分野を紹介します。現状と今後についても解説しますので、参考にしてください。
目次
フィンテックサービスとは
フィンテックサービスとは、インターネット上で提供される銀行や証券、保険などの金融サービスの総称。
IT技術と金融サービスを組み合わせることで誕生した革新的なサービスです。
スマホやパソコン上でサービスを受けることが可能です。
フィンテックとは?
日本銀行は、フィンテックについて、「金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動き」と定義しています。
身近な例としては、スマホを利用した銀行振込や銀行口座と連動する家計簿アプリなどがあります。
既に1980年代からオンラインバンキングが登場し始めました。
しかし、フィンテックという言葉が広く使用されるようになったのは2008年のリーマンショック以降です。
金融機関で勤務する優秀な人材がIT業界へ流れたことで、金融×IT技術のサービスが続々と登場しました。
フィンテックの現状と今後
野村総合研究所によれば、2015年は日本のフィンテック元年であり、官民問わずフィンテック分野への投資が加速しています。
日本では、「現金主義が根強く、フィンテックが浸透しない」と言われていました。
しかし、スマートフォンの爆発的な普及やIT企業の金融分野への参入によって、キャッシュレス決済やネット専業銀行・証券の利用者が増えています。
2020年から始まった新型コロナの感染拡大によって非接触ニーズは拡大しており、銀行や証券会社が提供しているサービスのIT化・オンライン化がさらに進んでいます。
今後もフィンテック市場の成長は続くでしょう。
フィンテック分野の代表的なサービス
経済産業省は、国内のフィンテック動向について様々な調査結果を発表しており、その際にフィンテック関連のサービスを11つの分野に分類しています。
決済や保険、融資などから成るこれらの分野は私達の生活に密接に関連しています。
これらのサービスは、どのように金融のあり方を変え、人々の生活や企業活動に変化をもたらしたのでしょうか。
決済や送金
現金を使わない決済手段として、クレジットカード決済やQR決済などが普及しています。
QR決済はスマホ決済とも言われ、スマホでアプリを起動すると表示されるQRカードを提示すると決済が完了します。
中国や一部の欧州諸国では、キャッシュレス決済が主流となっているようです。
銀行送金に替わる新しい送金サービスも登場しています。
同じ決済アプリを利用している個人間で振込や飲み会などの費用の割り勘などができるサービスです。
1円単位でお金のやり取りが可能で、お金の計算や回収が大幅に簡略化されました。
融資やローン
従来、銀行の専業であった融資やローン業務にもフィンテックが参入しています。
事業者向けの融資サービスとして、Amazonや楽天などのECサイトが担保や保証人ではなく、ECサイト上での決済データを基にした融資サービスを始めています。
個人向けのサービスの代表例は、住宅ローンです。
消費者がインターネット上で資産状況や物件情報などを入力するだけで、AIが最適な住宅ローンを提案してくれるサービスなどがあります。
金融機関側もビッグデータを活用して借り手の信用を測定したり、融資限度額を決定できるようになったりしました。
経営支援・会計財務
従来、企業の経理や財務の業務では、請求書などの取引情報から数字を拾い上げて手作業で入力していました。
しかし、会計処理や財務管理のクラウドサービスを利用することで、会計処理や財務管理が自動化できます。
結果的に業務時間の短縮や人的ミスの削減、会計状況の見える化などにつながりました。
個人事業主の会計サービスも誕生し、簡単な質問に答えるだけで確定申告書を作成し、見積書・請求書・納品書を発行してくれます。
膨大な時間と労力が必要であった個人事業主の会計処理がほとんどゼロになりました。
人的ミスの削減もできるので、税務署との無駄なやり取りもなくなります。
暗号資産(仮想通貨)
暗号資産は、仮想通貨とも呼ばれ、デジタル通貨の一種です。
円やドル、ユーロのように特定の国家が保証するものではなく、電子データのみでやり取りされる財産的価値です。
日本では、ビットコインが暗号資産の代名詞として知られています。
暗号資産にはブロックチェーンというフィンテック技術が使われています。
法定通貨のように中央政府が管理しているわけではありませんが、取引データを「箱」ごとに分散して管理し、ネットワークの参加者で取引情報を共有するのです。
ブロックチェーンによって、サーバールームが必要なくなり、システム運用のコストが大幅に削減されます。
個人財務管理(PFM)
PFMとは、”Personal Financial Management”の略称で、日本語では個人財務管理と言われています。
身近なサービス事例として家計簿アプリが挙げられます。
家計簿アプリを銀行口座やクレジットカード、ポイントカードと連携させることで、決済情報や送金情報などを自動的に収集し、家計簿を作成してくれるのです。
毎月の支出や収入を可視化して、家計改善のヒントをくれることもあります。
さらに証券口座などと連携することで、資産ポートフォリオを作成、管理し、資産形成のアドバイスまで提供してくれます。
アプリによっては、位置情報や家族構成を共有することで、支給対象の給付金の情報や近場のスーパーの割引情報を通知してくれるのです。
個人資産運用
スマホやパソコン一台で簡単に投資できるサービスです。
ネット専業の銀行や証券会社が登場し、インターネット上で株式や投資信託の検索・購入ができます。
また、注目されているのがAI投資です。
AIを搭載した投資一任型ロボアドバイザーが、投資をすべて代行してくれます。
資産状況やリスク許容度をAIに共有することで、投資アルゴリズムに基づいて金融商品の選定から購入までをしてくれます。
投資を完全自動化することができ、投資初心者でも安心して投資を始めることが可能です。
AIは金融マーケットの膨大な情報を収集、分析して投資を行うので、人の予測よりも高い精度で資産運用が可能である場合があります。
クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、群衆という意味の”Crowd”と資金調達を意味する”Funding”を組み合わせた造語です。
インターネット上で自分の活動や夢を発表し、賛同してくれた不特定多数の人々から広く少額ずつ資金を集める仕組みです。
クラウドファンディングには、「寄付型」「投資型」「融資型」「購入型」の4つのタイプがあります。
共感性のあるアイデアを公表することで、想いに共感した人が資金を提供してくれるので、人気の案件であれば数時間で数億円を集めることもあります。
従来の銀行融資と比較した圧倒的な手軽さや拡散性が特徴で、企業の商品開発や地域の町おこし、途上国支援まで幅広いプロジェクトの支援に活用されているようです。
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングは、クラウドファンディングの一種であり、「融資型クラウドファンディング」とも呼ばれています。
資金調達をしたい企業と融資の利息でお金を増やしたい投資家をマッチングする仕組みです。
インターネット上で両者がマッチングして、投資家がソーシャルレンディング事業者と匿名組合契約を締結することで、企業に出資が可能です。
企業は事業成長を通じて、ソーシャルレンディング事業者に元本と利息を返済します。
投資家は出資した金額に応じて、ソーシャルレンディング事業者から定期的に分配金を受け取ることができます。
セキュリティ
フィンテックサービスの拡大によって、スマホ一台で金融サービスを受けられるようになりました。
オンラインでの金融取引が増えたことで、サイバー攻撃や不正アクセスから利用者を守るセキュリティ対策の重要性が増しています。
セキュリティ分野のサービスには、以下のような事例があります。
- 指紋を使った生体認証システム
- 顔認証を使った本人確認サービス
- フィッシング攻撃対策
- 不正ログイン検知システム
このようなサービスを利用することで、高いセキュリティが確保された金融取引が確保されました。
金融情報
投資家が投資判断をする時に金融マーケットや消費動向といった金融情報が必要になります。
消費指数や物価指数、決算情報といった経済、金融関連の膨大なデータを収集・分析し、投資に役立つ情報を投資家に提供するサービスが登場しています。
これらの情報はスマホ一台で閲覧可能です。
保険
保険分野のフィンテックは、”Insurance”(保険)と”Technology”(技術)を掛け合わて、”InsurTech”(インシュアテック)と呼ばれている注目の分野です。
従来、保険外交員の勧誘が販売形態の主流でしたが、インターネット上で加入できる保険が増えています。
資産状況や家族構成、健康状態を入力するだけでAIが最適な保険商品を教えてくれるサービスがあるのです。
また、走行距離や運転スタイルといったデータをAIが分析して保険料を決めるシステムやガンと診断された契約者数を基に被保険者の保険金を割り勘する新しい保険などが登場しています。
フィンテックサービスが金融業界を変える
この記事では、フィンテックサービスの特徴や11つのフィンテックの代表的な分野を紹介しました。
フィンテック技術はこれからの金融業界のサービスの在り方を大きく変える潜在的な可能性を秘めています。
フィンテックサービスについて詳しく知りたい場合には、株式会社パラダイムシフトに相談しましょう。
株式会社パラダイムシフトは、2011年の設立以来、一貫してM&Aのサポートを実施しているIIT領域のM&Aのエキスパートです。