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企業価値を高める方法5つ!価値を高めるメリットや算定方法をあわせて解説

近年、一部の大企業だけではなく、日本全国の企業において企業価値の重要性が増してきました。

企業価値とは何か、どのようにすれば高められるのか学ぶことで、会社経営も非常に有利になるでしょう。では、企業価値を高めるためには具体的にどうすればいいのでしょうか?

この記事では、企業価値とは・算定方法や企業価値を高める方法について解説します。

企業価値とは?

企業価値とは、企業の価値を価格化したもので、数値化したデータです。数値化することで、誰にとっても分かりやすい情報となります。

会社の買収や上場企業の株価など、各企業にふさわしい価値を価格として表すことを求められる場面が多くあります。M&Aなどの経営戦略を立てる上で、その企業にどのくらいの価値があるのかは重要な判断材料です。

また、1つの視点からだけではなく、多面的に企業価値を考える必要があります。

そこで、企業価値を算出する際は、継続価値と清算価値それぞれの視点から算出する方法を用いて、企業価値を複合的に判断していきます。

将来を見据えた継続価値

継続的価値とは、企業が継続的に営業を行うことで得る収益やキャッシュフローをもとに将来性を加味して求める企業価値です。

後述するインカム・アプローチや一部のマーケット・アプローチにおいて継続価値を用いて算出します。

現状の清算価値

清算価値とは、企業が活動を停止し、個々の資産の売却を前提とした企業価値です。

後述するコスト・アプローチにおいて清算価値を用いて算出します。

時価総額と企業価値の違いは?

時価総額も、企業価値と同様に企業の価格を表す数値です。

時価総額とは、株価の総額の事を指します。

上記で説明した企業価値は、株式の価値に負債の価値を加えたものであり、時価総額とは異なります

自己資本比率100%の企業のみ、時価総額と企業価値は等しくなります。

EVと企業価値の違いは?

EVとは、Enterprice Valueの略称で、マーケット側から見た企業の事業価値になります。

EVは、時価総額に純資産利子負債を加えたものになるので、上記で説明した企業価値とは異なります。

純資産利子負債とは、有利子負債から非事業資産価値を引いたものです。

EVと企業価値が同じと考えている人は多いので注意しましょう。

企業価値の3つの算定方法

企業価値を求める算定方法は大きく分けて以下の3つになります。

  • 企業の現状を重視したコスト・アプローチ
  • 企業の将来性を重視したインカム・アプローチ
  • 株式市場を重視したマーケット・アプローチ

それぞれの算定方法についで紹介します。

企業価値の算定方法1.コスト・アプローチ

コスト・アプローチとは、企業が保有している資産、負債を基準に企業価値を算定する方法です。

コスト・アプローチは大企業のM&Aよりも中小企業のM&Aで採用されることが多くあります。メリットは、算出された価値が客観的で、誰が計算しても同じ結果が得られる点です。

コスト・アプローチには簿価純資産法時価純資産法が使われます。

簿価純資産法

簿価純資産法とは、企業の資産と負債の帳簿価格に基づいて純資産を算定する方法で、以下の公式にあてはめ算出します。

  • 簿価純資産=資産合計ー負債合計

帳簿上の資産合計額から負債合計額を引いた値が純資産となります。

時価純資産法

時価純資産法とは、企業の資産と負債を時価に置き換えて算定する方法で、以下の公式に当てはめて算出します。

  • 時価純資産額 = 時価評価された資産 – 時価評価された負債

時価純資産法では、資産合計額と負債合計額を時価に置き換えることで、簿価純資産法よりも企業の現状の情報として正しい評価を下すことが出来ます。

企業価値の算定方法2.インカム・アプローチ

インカム・アプローチは、企業の将来性を加味して企業価値を評価する方法です。大きなメリットは、その企業の将来性を加味した企業価値を反映して算出できる点です。

よって、他の算定方法に比べて柔軟性が高く、現状成果の芳しくない企業であっても、企業価値を高く算出する可能性があります。

M&Aの際に、中小企業や成長中のベンチャー企業の価値を算出するときに採用されることが多くあります。

インカム・アプローチで、企業の将来性を計る指標は、以下の3つです。

  • キャッシュフロー
  • 収益
  • 配当額

この3つのどの要素を重要視するかによって、インカム・アプローチの中でもDCF法、収益還元法、配当還元法の3つの方法に分かます。

DCF法

DCF法は、最もよく使われている方法で、将来的に予測されるキャッシュフローを現在の価値に変換して企業価値を算出します。DCF法の計算方法は以下の通りです。

  • 企業価値=FCF÷割引率
  • FCF=EBIT×(1-法人税率)+原価償却費ー設備投資ー△運転資本

FCFとは、フリーキャッシュフローのことで、企業が事業活動において自由に使える額を表します。EBITは、法人税によって割引される前の企業利益のことです。

収益還元法

収益還元法とは、将来企業が生み出す収益を現在の価値に変換して、企業価値を算出する方法です。

収益とは、会社にどれくらいの利益があるかを表す指標であり、キャッシュフローは、会社の資金の動きを表す指標となっています。よって収益とキャッシュフローは、異なる指標を表しています。

収益還元法の算定方法は以下の通りです。

  • 企業価値=平均収益÷資本還元率

平均収益の値を使うことから、ベンチャー企業のような収益の変化が大きい場合には、正確な値を算定することは難しくなります。

配当還元法

配当還元法とは、将来の配当額の予想をもとに企業価値を算出する方法です。

配当還元法では、直前期以前の2年間における年平均1株当たりの配当金額を10倍した金額を算出して企業価値を計る評価額となります。

株式が多い大企業では予想が困難なため、大企業のM&Aには不向きです。

株式が少なかったり、株式非公開の企業であったりする際には株価の配当額の変動が少ないため利用されることがあります。

企業価値の算定方法3.マーケット・アプローチ

マーケット・アプローチとは、企業価値を類似企業や株式市場の株価をもとに算定する方法です。

マーケット・アプローチは、企業価値を客観的に見ることが出来るだけでなく、市場環境も織り込んだ値となります。

マーケット・アプローチには、以下の3つの方法があります。

  • 類似会社比準法
  • 類似業種比準法
  • 市場株価法

類似会社比準法

類似会社比準法とは、非上場企業のM&Aで頻繁に使われる算定する方法です。非上場企業では、市場価値を持っていないため類似する上場企業を参考に算定します。非上場企業でマーケット・アプローチを使う際は、類似会社比準法を使うことが多くなります。

類似業種比準法

類似業種比準法とは、業種が似ている企業の財務指標を使い算定する方法です。相続税が高くならないようにするための算定方法であり、経営者が亡くなった際に使われることがあります。

市場株価法

市場株価法とは、上場企業において株価をもとに算定する方法です。この方法は、非上場企業において採用することはできません。

企業価値を決める要因とは

次に企業価値を決める要因について解説します。企業価値を決める要因は、日本公認会計士協会「企業価値評価ガイドライン」が定めた以下の5つがあるといわれています。

  • 一般的要因・・・景気の動向や政治の動向など社会全般
  • 業界要因・・・所属する業界の状況
  • 企業要因・・・企業の収益性や財政状況など企業単体
  • 株式要因・・・株式の発行状況や株主との関係
  • 目的要因・・・何の目的で企業価値を評価するのか

 

一般的要因は、景気の動向や政治の動向など社会全般を、業界要因は、所属する業界の状況を要因としています。例えば、建築関係の企業であれば建築業界の全体動向が評価対象です。

企業要因とは、収益性や財政状況など企業単体を要因としており、企業努力により最も大きく変動します。

株式要因は、株式の発行状況や株主との関係を要因としています。

目的要因とは、何の目的で企業価値を評価するのかです。M&Aであれば、取引目的で企業価値を必要とします。目的によっても、企業価値は変動するということです。

この5つの要因のうち、企業要因だけは1つの企業だけで企業価値を高めることが出来ます

また、1つの企業が大きな収益を生むことで、業界や社会全体に影響を与えることもあります。企業価値である5つの要因を意識して、経営することが重要です。

企業価値を高める2つのメリット

企業価値を高めることは非常に重要です。この章では、企業価値を高めるメリットを2つ紹介します。

企業価値を高めるメリット1.M&Aを有利にする

1つ目は、M&Aの実施を有利に進められる点です。M&Aを成功させるために、企業価値は重要な要素の1つです。

買い手企業と売り手企業双方にとって、相手の企業価値は必ず算出して確認します。企業価値が高いということは、それだけで信頼の担保になるためです。

売り手企業の企業価値が高いと、M&Aにおける交渉も強気で高い金額を提示しやすいのではないでしょうか。対して、買い手企業にとっては、M&Aの金額が適正かどうか判断する材料となります。

企業を見る上で技術力など数値化しにくいものも多くあるので、数値化できる企業価値は、M&Aにおいて非常に重要でしょう。

企業価値を高めるメリット2.倒産リスクが低下する

企業価値が高める2つ目のメリットは倒産リスクが低下することです。

企業価値とは、「その企業が社会においてどのくらい必要とされているか」という指標でもあります。

必要度が高ければ、商品やサービスの収益は大きくなります。仮に支出が増えたとしても、企業価値が高い企業であれば、金融機関が融資してくれる可能性は高くなります。金融機関から見ても、企業価値が高い企業へ融資したいと思うためです。

以上のことから、企業価値が高めることで倒産リスクは必ず低下していくでしょう。

企業価値を高める方法5つ

では、実際に企業価値を高める方法にはどのような方法があるのでしょうか。具体的には以下の5つです。

  • 事業の収益性の向上
  • 投資効率の最適化
  • 財務状況の見直し
  • エンゲージメントを高める
  • 無形資産の把握・活用

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

事業の収益性の向上

企業価値を高める方法の中で、一般的に最も簡単で効果的な方法です。事業の利益性を向上させるためには、しっかりとした経営戦略を立てて、営業力をつける必要があります。

日々の業務は、思わぬ点で生産性の低下が起こっていたり、停滞していたりすることもあります。場合によっては事業モデルの再検討も必要かもしれません。広い視野を持ち、利益率の向上について検討しましょう。

さらに、生産コストを見直すことで利益性を向上させることもできるでしょう。

投資効率の最適化

営業の観点だけでなく、投資効率の最適化を図ることも企業価値を高めることに繋がるでしょう。必要のない資産があるなら売却を検討したり、在庫を見直したりすることで投資効率が上昇します。

財務状況の見直し

企業価値を高めるために、財政状況を改善するのも1つの方法です。企業価値は冒頭で説明した通り、株式の価値に負債の価値を加えたものです。

負債を減らすことができれば、企業価値は自ずと高まることになります。

エンゲージメントを高める

エンゲージメントとは、企業と従業員のつながりの強さを表すものです。エンゲージメントが高い企業は従業員が会社の経営理念を理解し、信頼度や貢献意欲も高い状態が整っています。さらに、人材が他社に流出する可能性が低く、会社の生産効率も良くなります。

従業員の信頼度を上昇させて、企業価値を高められるように労働環境や給与制度を見直すことを検討してみても良いでしょう。

従業員のストレスケアや福利厚生の改善、キャリアパスの再構築などで少しずつエンゲージメントを高めていくことができます。

無形資産の把握・活用

無形資産とは、実態のない資産です。例えば、特許知的財産権、従業員のノウハウなどが挙げられます。

会社や社員の持つ技術やスキルを改めて把握して活用する方法を考えること、即ち、無形資産の利益効率を把握することで、企業価値を高めるためのヒントが見つかるかもしれません。

企業価値を高めM&Aを有利に

今回の記事では、企業価値の算出方法や企業価値を高める方法について紹介しました。企業価値が高いことは、M&Aにおいても重要な要素の1つです。

企業価値には、以下の3つの算定方法があります。

  • コスト・アプローチ。
  • インカム・アプローチ。
  • マーケット・アプローチ。

それぞれに重要視しているポイントが異なるので、企業価値は多面的に見ることが重要です。

また、M&Aを実施する上で、企業価値を高めることは売り手企業と買い手企業の双方にとって有利になります。今回紹介した方法を実施し、自社の企業価値を向上させていきましょう。

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