会社の社長が交代する際には、どのような準備や手続きが必要なのかご存知でしょうか。また、大企業と中小企業によって手続きの違いはあるのでしょうか。
今回の記事では、会社の社長を交代するための準備や手続きのポイントについて解説します。社長交代に必要な書類や費用に関しても解説しているので、会社の社長交代を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
目次
- 1 会社の社長交代に必要な期間とタイミング
- 2 社長交代に必要な期間
- 3 社長交代に必要なタイミング
- 4 社長交代に必要な準備
- 5 経営の引き継ぎ
- 6 株式の引き継ぎ
- 7 社長交代の手続き
- 8 社内での決議
- 9 必要書類を集め登記変更
- 10 各行政機関へ届け出
- 11 銀行へ届け出
- 12 保険関連で代表者変更手続き
- 13 その他に必要なこと
- 14 社長交代に必要な書類と費用
- 15 社長交代の手続きで集めるべき書類
- 16 印鑑届出書
- 17 印鑑証明書
- 18 変更登記申請書
- 19 株主総会の議事録と株主リスト
- 20 代表取締役の就任承諾書
- 21 委任状
- 22 社長交代の手続きで必要な費用
- 23 社長交代を円滑にするポイント
- 24 経営状態と課題を明確化する
- 25 企業価値を上げる
- 26 社長交代には時間をかけた入念な準備が必要
会社の社長交代に必要な期間とタイミング
会社の社長交代とは、これまでの社長が現役を引退して次の社長へ経営を引き継ぎ会社を引き渡す、いわば事業継承と同意義になります。
会社の社長を交代するには、様々な準備や手続きが必要です。従って、完了までの期間は長くなるため、あらかじめ、どのタイミングで社長を交代するのか決めることが重要です。そして、そのことを社内で共有し、会社全体で社長の交代を意識しながら運営していくと良いでしょう。
社長交代に必要な期間
一般的に社長を交代するためには5年から10年の期間が必要と言われています。
そこで、現役社長が退任することを決めてから準備するのではなく、先代社長が元気な時から社長交代の準備を始めることをおすすめします。先代の社長が若くて元気であれば、社長交代の準備も先代社長が中心となりスムーズに進められるでしょう。
社長交代に必要なタイミング
人は誰でも年を取ると体力が低下し判断力も鈍くなります。働く威力や体力も低下し、若い時ほど働けなくなったと誰もが思うでしょう。さらに、高齢になればなるほど最先端の技術や新しい物事を取り入れることに対して免疫が低くなります。
結果として社長の年齢が高くなるにつれ、企業の業績は低下するのが一般的です。このことから会社の業績がピークの段階で社長交代を決定する方が、会社を託される後継の社長も抵抗を感じることなくスムーズに社長交代が進みます。
目安として、先代社長の年齢が60歳の時に社長交代を決定して準備を進め、70歳になる頃に準備完了、引退となれば安心でしょう。
社長交代に必要な準備
会社の社長を交代するには経営面と株式の面、両方で引き継ぎの準備をする必要があります。
経営面を担う代表取締役の交代と、株式会社の所有権を持つ株式の継承は本来別の話です。しかし、中小企業では、社長自らが会社の大株主となっていることも多いため、経営と株式、両方の引き継ぎ準備について解説します。
経営の引き継ぎ
経営の引き継ぎに関して重要なことは、先代社長が交代する10年後に会社がどうなっていたいかロードマップを明確にし、それを先代社長と後継の社長で共有することです。それに伴い実施する具体的な準備は以下の通りです。
- 事業継承計画書を作成
- 後継者の決定と意思確認
- 後継者を育成し、経営理念を伝え授ける
- 無形資産やノウハウの継承
株式の引き継ぎ
株式の引き継ぎに関しては、基本的に自社株式を後継者へ継承する準備をします。具体的な準備は以下の通りです。
- 自社株の引き継ぐ量を決定する
- 税理士に依頼し、株式の財産価値を測定
- 自社株の引き継ぎ方法(譲渡か相続・贈与など)と時期を決定
- 遺産分割争いを防止を考慮
社長交代の手続き
次に、会社で社長を交代する際の諸手続きについて解説します。手続きは以下の6つに分かれます。
- 社内での決議
- 必要書類を集め登記変更
- 各税務署へ届け出
- 銀行へ届け出
- 保険関連で代表者変更手続き
- その他手続き
1つずつ詳しく見ていきましょう。
社内での決議
まずは、社内の取締役会や株主総会で社長交代を決議します。
取締役会が設定されている会社の場合、代表選出決議にて後継者を選出します。取締役会が設定されていない会社の場合は株主総会の決議や互選により選出します。
必要書類を集め登記変更
社内での決議が終了したら必要な書類を集めて法務局で登記変更をします。登記変更で必要な書類には以下のものがあります。
- 取締役会株主総会の議事録
- 変更登記申請書
- 辞任届
- 就任承諾書
- 印鑑証明書
- 印鑑届書
登記変更の申請は、後継者を決定してから2週間位内に申請が必要です。手続きが完了すると登記簿が発行されます。
各行政機関へ届け出
登記簿が発行されたら、税務署・都道府県民税事務所・市町村役場の各行政機関で代表者の変更手続きをします。申告していない場合、納税手続きが滞ってしまう可能性があります。
必要な書類は各行政機関によって異なるため事前にホームページなどで確認し、準備しましょう。
銀行へ届け出
銀行や金融機関などの口座を先代社長の名前で開設している場合には、代表取締役の名義を変更します。名義変更の際には登記簿の写しを提出するよう求められるので事前に準備しておくと良いでしょう。
保険関連で代表者変更手続き
保険関連でも代表者変更手続きが必要です。健康保険組合・年金事務所などの社会保険関連に加入している場合には、忘れずに手続きをしましょう。
その他に必要なこと
その他に必要な事柄や手続きには以下のものがあります。
- 社内への通達
- 取引先への通知
- 会社のWebサイトを修正
- 連帯保証人の変更
- 契約の再締結
- 請求書の修正
- 関係者への挨拶
社長交代に必要な書類と費用
次に、社長交代に必要な書類と費用についてまとめました。1つずつ詳しく見ていきましょう。
社長交代の手続きで集めるべき書類
社長交代の手続きで必要な書類は多くあり、集めるのに時間を有するため、あらかじめ準備しておくことをおすすめします。また、書類に不備があれば申請し直さなければならなくなり、さらに時間がかかってしまうため慎重に進める必要があります。
必要な書類は以下の通りです。
- 印鑑証明書
- 印鑑届出書
- 変更登記申請書
- 株主総会の議事録・株主リスト
- 互選書
- 定款
- 代表取締役の就任承諾書
- 委任状
印鑑届出書
印鑑届出書は、実印を印鑑登録するための書類で代表印の印鑑を届け出るために必要です。会社の場合は法務局に登録します。印鑑登録することで、印鑑証明書を発行できます。
印鑑証明書
印鑑証明書は役所や郵便局、コンビニなどで取得できます。印鑑証明書を用意する人は、代表取締役を辞任する先代の社長と新たに代表取締役に就任する後継の社長、さらに事務手続きをする取締役です。
変更登記申請書
会社の社長や代表取締役に変更があった場合に申請するための書類です。法務局のWebサイトや窓口で取得します。書類には必要事項を記入した後、管轄の法務局へ提出します。
株主総会の議事録と株主リスト
会社の最終意思決定機関が株主総会や取締役会である場合、その旨を示す書類が必要です。株主総会や取締役会で新たな代表取締役を選任した場合、これを適正に議決したことを示す書類を作成します。
議事録には新たに選任された代表取締役の氏名、会議の開催日時と場所、内容、参加者などを記載します。
代表取締役の就任承諾書
後継の社長が新しい代表取締役に選任されたことに対して、就任承諾の意思を示す書類です。承諾の旨と専任された株主総会の日付、作成日、住所、氏名などを記載します。
委任状
社長交代に関わる申請を代理人に委任した場合、委任状を作成する必要があります。委任状には委任者に託した理由、委任者・受任者それぞれの氏名と住所、委任した日付を記載します。
社長交代の手続きで必要な費用
社長交代の手続きで必要な費用については、以下の表にまとめています。
項目 | 費用 |
登録免許税 | 10,000円(資本金が1億円以下) |
30,000円(資本金が1億円以上) | |
印鑑証明書の発行手数料 | 1通300円 |
代表印作成 | 900円~ |
士業への依頼 | 5万円〜 |
士業への依頼内容は書類の作成や取得などを指します。
社長交代を円滑にするポイント
最後に会社の社長交代を円滑に進めるためのポイントを紹介します。紹介するのは以下の2つです。
- 経営状態と課題を明確化する
- 企業価値を上げる
詳しく見ていきましょう。
経営状態と課題を明確化する
会社の社長交代をスムーズに進めるためには経営について、現時点での課題を明確にしておく必要があるでしょう。経営状況や課題、資源などを見える化して現状を正確に把握します。
社長交代までに時間がある場合には、これらを見える化して会社全体で意識していくと良いでしょう。普段から会社の経営について意識できていれば、社長交代の際の課題も見えやすくなります。
企業価値を上げる
近年の日本では親族内で会社を継ぐ事例が減少しています。その理由の一つに会社の将来が不透明で、後を継ぐことに対して不安を抱くことが挙げられます。どんな人でも経営状況が不安定な会社を任せられることに対して懸念を抱くのは当然でしょう。
この問題に対して、普段から企業価値を上げる努力をし、後継者が跡を継ぎたくなるような会社作りが不可欠です。普段から事業の磨き上げをして企業価値を上げることで、万が一親族が跡を継がない結果になったとしてもM&Aなどで会社を継承できる可能性も高まるでしょう。
社長交代には時間をかけた入念な準備が必要
今回の記事では、会社の社長交代について必要な手続きや書類・費用について紹介しました。さらに、円滑に社長交代を進めるためのポイントについて解説しました。
社長の交代は思う以上に時間を有し、手続きでは必要な書類なども多く複雑です。これらの作業を修行に依頼するのも方法の一つと言えます。社長交代をスムーズに進めるためには普段からこれを意識し企業価値を上げておく必要があります。
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