M&A

LINEはなぜ上場廃止?Zホールディングスとの提携で変わることは

12月29日にLINEが上場廃止すると聞いて、驚いた人は多かったでしょう。このニュースを聞いて、「LINEの経営が不調なの?」「何で上場しなくなったか知りたい」と考えていませんか。

今回の上場廃止は、インターネット大手のYahoo!の親会社「Zホールディングス」との経営統合が関係しています。つまりLINEは事業を縮小するのではなく、利用者がより楽しめるように、会社として新しい道を進むのです。

今回はLINEの上場廃止で不安になっている人のため、その背景や今後の動向、Zホールディングスとの提携で想定される影響などを解説します。これを読めばLINEの現状を正しく理解できるでしょう。




1.12月29日にLINEが上場廃止した理由

2020年12月29日にLINEは上場廃止しました。これがなぜ、どのように決まったかが気になる人は多いでしょう。また、LINEの株を持っている人は、売買ができなくなって損をするのではと不安ではないでしょうか。上場廃止にいたるまでのプロセスや社会的背景について解説します。

(1).LINEの上場廃止はどうやって決まったか

LINEは2020年12月29日に上場廃止が決定しました。その前の15日からは、臨時株主総会により整理銘柄への指定を受けています。

2019年11月にLINEは、インターネット大手のYahoo!の親会社であるZホールディングスとの経営統合が決まりました。2020年8月4日~9月15日にはZホールディングスの親会社であるソフトバンク、LINEの親会社であるNAVERの共同で、LINE株主から1株5380円による公開買付が行われています。

このような経営統合への準備が進む過程で、2020年12月にLINEは上場廃止になったのです。

(2).上場廃止の理由は?

LINE上場廃止の理由は、Zホールディングスとの経営統合です。2020年12月15日にLINEが臨時株主総会で、Zホールディングスとの統合を正式に可決することで決まりました。2つの会社は、2021年3月に正式な統合を迎える予定です。

LINEはZホールディングスとの傘下に位置づけられ、Yahoo!とはグループ内で同じポジションになる見通しです。今回の統合により、Zホールディングスは、アメリカのGAFAや中国のBATなど、巨大プラットフォームへの対抗力を身につける狙いも見られます。

LINEもYahoo!も日本では有名なプラットフォームですが、世界規模の競争力を得るために、協力に同意したと考えられます。

(3).上場廃止で株はどうなる?

12月29日の上場廃止により、LINEの株式はもう新規の売買ができません。現在株式を保有している場合、発行会社からの買い取りや、Zホールディングスとの株式交換が考えられます。

実際にZホールディングスは2021年1月のプレスリリースにおいて、LINE株式の公開買付を行うことを、同社株主の判断に任せるとの見解を示しました。

2020年8月~9月にあったソフトバンクとNAVER共同による公開買付は終わっています。整理銘柄の期間も2020年12月15日~28日なので、すでに過ぎました。その時点でも株を保有している場合は、Zホールディングスの株主の公開買付を待つ必要があります。

2.LINEと経営統合するZホールディングスとは?

LINEとの経営統合を決めたZホールディングスの特徴を解説します。こちらはYahoo!の親会社であり、過去にもさまざまな企業とM&Aを成立させてきました。今後のLINEの動向は、Yahoo!から影響される可能性が大きいため、その親会社であるZホールディングスの概要も学びましょう。

(1).Yahoo!の親会社

ZホールディングスはYahoo!の親会社です。毎日パソコンを使っていて、ニュースや検索などのためにYahoo!JAPANを使っている人も多いでしょう。ZホールディングスはYahoo!を子会社化するとともに、会社本体としてもさまざまなインターネットビジネスを手がけているのです。

ちなみにZホールディングス自体は、携帯電話大手であるソフトバンクの子会社でもあります。グループの一番上がソフトバンクで、二番目がZホールディングス、三番目をYahoo!とし、デジタル事業における巨大グループとして活躍中です。

(2).2019年10月に「ヤフー株式会社」から改名

Zホールディングスは、2019年10月1日に「株式会社ヤフー」から改名しました。

改名前の会社は、Yahoo!JAPANの運営を主目的になっています。他にもオンラインメディアのBuzzFeed JAPAN、動画配信サービスのGYAO、キャッシュレス決済サービスのPayPayなどを子会社化して運営していました。

しかし2019年10月に旧ヤフーは子会社のコントロールに集中するため、Yahoo!JAPANの事業を新会社に譲渡しています。譲渡を受けた新会社が「ヤフー株式会社」の名前も受け継ぎ、子会社を運営する旧ヤフーが「Zホールディングス」に改名しました。

つまり新しい「ヤフー株式会社」でYahoo!JAPANの運営をスムーズに進めながら、他の子会社の管理に集中できる会社としてZホールディングスの名前が生まれたのです。

(3).LINE以外にもさまざまな企業とM&Aを成立

Zホールディングスは、LINE以外にもさまざまな企業とのM&Aを成立させています。たとえば2009年に動画配信サービスのGyaOは2009年に約5億円で、2012年にサイバーエージェントFXを約210億円で買収していました。

しかし2019年に入ると、5月にソフトバンクの連結子会社になり、9月には話題のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOを株式公開買付として約4007億円を投資しています。このように近年になってから、M&Aの動きが活発化しています。

今回のLINEとの経営統合も、Zホールディングスが本格化させたM&Aの流れに乗ったものでしょう。

3.LINEの上場廃止にはメリットもある

LINEの上場廃止で、事業縮小を懸念する人もいるようです。しかし上場を取りやめることで生まれるメリットもあります。会社としての経費節約に加え、経営コントロールがしやすくなる面もあるからです。上場廃止のメリットについて見ていきましょう。

(1).上場を続けていたらかかるお金を節約できる

上場廃止により、会社としての経費を節約できるメリットがあります。上場を続けた場合でも、特有のコストがかかるからです。

たとえばこのままLINEが株式上場を続けていた場合、2021年以降も四半期ごとに決算開示が必要です。そのときは有価証券届出書のような特殊な書類を作らなければいけません。他にも監査法人への支払いや広報、コーポレートガバナンス管理など、上場会社ならではのコストは膨大になります。

以上からZホールディングスとの統合をきっかけに上場廃止したLINEの判断は、会社のためになるでしょう。

(2).経営のコントロールがしやすくなる

LINEは2020年12月に上場を止めたことで、2021年からは経営がコントロールしやすくなるでしょう。会社が別の会社との統合を受けると、経営体制も変わりますが、このときの新体制や運営方針の決定がスムーズにいきそうです。

上場廃止になったLINEの株式は、もうどこの証券取引所でも売買できません。しかし株主は株を買って会社にお金を払っているのと同時に、経営に関する議決権をもらうことにもなります。

LINEは上場廃止により、社外の人間が議決権を持つ機会をなくすので、会社の運営に関する意見を社内でまとめやすくなるのです。以上からLINEは上場廃止により、経営の見直しがスムーズに進み、新しい道を見つける可能性が高いでしょう。

4.LINE上場廃止で注意すべきデメリット

LINEの上場廃止はメリットばかりでなく、デメリットもあります。社会的な信用度や資金調達への影響が考えられるでしょう。上場廃止した会社にとってのデメリットを2つ挙げます。

(1).社会的な信用度が落ちる

上場廃止によりLINEの社会的な信用度が落ちる可能性もあります。株式の上場は会社にとってのステータスなので、それがなくなればネガティブなイメージにとらえられがちです。

LINEにもこれまでさまざまな会社と取引を進めることで、通話アプリや店の予約、キャッシュレス決済などのサービスを実現してきたといえます。しかし上場廃止で取引をやめる会社が出れば、特定のLINEのサービスが使えなくなる可能性さえあるのです。

以上から上場廃止によってLINEを取り巻く環境が変われば、サービス停止のような事業縮小が見られるかもしれません。

(2).公開株を投資家に売る形では資金調達できない

上場廃止が決まったことで、LINEは資金調達面で不利になる可能性があります。上場企業であれば、株を公開して買ってもらうことで資金調達ができますが、上場廃止になるともうできません。

上場廃止で世間一般の投資家からお金をもらう機会がなくなれば、新しい資金調達の方法を考えなければいけません。LINEは日本有数の企業なので、株式以外の資金調達の方法を確保している可能性は高いといえますが、調達額が減少すれば事業への影響も考えられます。

Zホールディングスとの経営統合という背景がありますが、LINEの上場廃止は資金調達面にも影響があり、今後の事業変化につながるかもしれません。

5.LINEとZホールディングスの経営統合で起きそうなこと

  

LINEとZホールディングスの経営統合では、キャッシュレスサービスの進化や防災アプリの発展などに期待がかかります。経営統合で考えられる影響を3つピックアップしました。

(1).それぞれのキャッシュレスサービスが進化する

LINEとZホールディングスの経営統合により、それぞれのキャッシュレスサービスが進化するでしょう。LINEではLine Pay、ZホールディングスはPayPayを子会社化しています。たとえばLINE PayとPayPayどちらでも決済できるお店が増えるなどの好影響がありそうです。

経営統合によるキャッシュレスサービスの進化は、LINE PayとPayPay両方のユーザーにとってお得でしょう。

(2).LINEからYahoo!のネットショップにアクセスできる可能性

経営統合によりLINEからYahoo!のネットショップにアクセスできる可能性もあります。同じグループになった2つの会社がそれぞれ展開するサービスに行き来できれば、ユーザーにとっては便利でしょう。

実際にYahoo!だけでなく、LINEでもネットショップを展開しています。同じ運営店舗がYahoo!とLINE両方からアクセスできるようになれば、ユーザーも目当ての商品にアクセスしやすくなります。経営統合によるネットショップ部門の変化にも期待しましょう。

6.まとめ

LINEは2021年3月にZホールディングスと経営統合する見通しです。これによりLINEは上場廃止になりますが、キャッシュレスやネットショップなどさまざまなサービスで進化を望めるでしょう。

上場廃止によりLINEが犠牲にするものもありそうですが、Yahoo!が属するグループと手を組むことで、インターネット業界そのものを変えそうです。今後のLINEの活躍に期待しましょう。

PLEASE SHARE

PAGE TOP

MENU

SCROLL

PAGE TOP

LOADING    80%

Please turn your device.
M&A Service CONTACT