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チャレンジャー・バンクとは、銀行との違い、メリット・デメリットを解説

最近はネットバンキングやオンライン銀行などが一般化して、銀行の在り方が変わってきています。紙の通帳から通帳アプリに切り替えて、ずいぶん経つという人も珍しくありません。

ここでは今注目されているチャレンジャーバンクについて解説していきます。どういった銀行なのか、どんな企業があり、どんな注意点があるのかをお話していきます。

1. チャレンジャーバンクとは

チャレンジャーバンクとは、銀行免許をとって銀行サービスをはじめる事業者のことです。日本よりもイギリスやアメリカでよく設立されている企業です。

(1) 銀行との共通点と違い

チャレンジャーバンクも銀行免許を取っているので、サービスそのものはふつうの銀行と同じです。

チャレンジャーバンク 銀行
お金の出し入れ
普通預金と定期預金
口座を持てる
為替取引できる
両替できる

また送金ができる、デビットカードが持てるのもチャレンジャーバンクと銀行の共通点です。このようにチャレンジャーバンクは銀行免許が必要な分、ふつうの銀行と共通点が多いです。

一方、違いは以下の通りです。

チャレンジャーバンク 銀行
利用履歴の確認 その場ですぐにできる 反映されるまで数日かかる
紛失などで利用を止める アプリから手続き可能 電話で連絡をする

デビットカードを使った購入履歴が数分でアプリに反映され、スマホで確認できること、デビットカードを盗まれたり、失くしたりしたときもすぐに利用を止められることが大きなメリットです。

銀行の場合は通帳アプリを使っていても、紛失や盗難した時はサポートセンターへ問い合わせの電話をしないといけません。この必要がないのが便利です。

(2) ネット銀行、オンラインバンキングとの共通点と違い

ネット銀行やオンラインバンキングとの共通点は実店舗を持たないことです。セブン銀行や楽天銀行など、実店舗をもらずオンラインだけで運営している銀行と同じです。

そしてネット銀行・オンラインバンキングと、チャレンジャーバンクの違いは、チャレンジャーバンクはモバイルアプリ内でサービスをほぼ一通り提供していることにあります。

また、日本のネット銀行やネットバンキングは基本的にデジタルシステムが運営していますが、いざという時のためのコールセンターがある銀行が多いです。一方、チャレンジャーバンクは千差万別で、24時間コールセンターの対応をしている会社もあれば、コールセンターが存在しない会社もあります。チャレンジャーバンクを選ぶ際には留意する必要があります。

(3) チャレンジャーバンクはまだ種類が少ない

日本には都市銀行、地方銀行を合わせてたくさんの種類がありますし、オンラインバンクもセブン銀行や楽天銀行などさまざまな企業が参入しています。

しかしチャレンジャーバンクは世界では多くのサービスがはじまっていますが、日本ではまだ種類が少ないです。多くの選択肢から選ぶことができないので、自分に本当に合っている銀行を選べないというデメリットがあります。

(4) ネオバンクとの違いとは?

チャレンジャーバンクとネオバンクは、銀行免許の有無です。ネオバンクは銀行免許を持っていないので、他の銀行から免許を借りてサービスを行っています。

(5) 銀行とチャレンジャーバンクのシステムの違い

銀行とチャレンジャーバンクにはサービス以外にもシステムに違いがあります。

  • 銀行…顧客から預金を集め、貸し出しによって利益を得る
  • チャレンジャーバンク…事業者によって異なるサービス群で利益を得る

銀行は規模が大きいので、お金の貸し出しでメインの利益を得てデビットカードなどでもサブの利益を出しますが、チャレンジャーバンクは規模が銀行ほどではないので、取扱手数料、オーバードラフトなど利益の出し方はそれぞれです。

2. チャレンジャーバンクのメリットとデメリット

チャレンジャーバンクにはメリットとデメリットがあります。利用する前に知っておいてトラブルを防ぎましょう。

(1) 利用するメリット

利用するメリットは、安い料金で便利な金融サービスが受けられるところです。銀行のように高い手数料を払ったり、窓口で長い時間待たされたりする必要がありません。

(2) チャレンジャーバングの課題

ふつうの銀行に比べて利用している人が圧倒的に少ないのがチャレンジャーバンクを利用するデメリットです。登録前に実際に利用してみると、どんないいことがあって、どんな不便なところがあるのかが分かりにくいです。

また、会社によってはコールセンターもないため、いざという時は自力で情報収集をする必要があります。お金のトラブルが起こったときに、頼るサービスがないのは大きな不安要素となってしまいます。

3. チャレンジャーバンクに参入している主要企業

チャレンジャーバンクに参入している企業で、日本で有名なのは以下の3社です。馴染みのあるアプリや会社が多いので、利用しやすいのが嬉しいポイントです。

(1) LINE銀行

コミュニケーションアプリであるLINEが運営しているチャレンジャーバンクです。LINE Financial株式会社とみずほ銀行の共同出資によりはじまった銀行で、LINEPayと連携できるのが特徴です。

LINEPayポイントが最大で5%つき、QRコード決済で3%のポイントがつきます。LINE銀行、LINEPayの他にはLINEほけん、LINE スマート投資などもあります。LINEほけんなどに登録している人は連携できるメリットがあります。

(2) じぶん銀行

ネット銀行であるじぶん銀行は、KDDIと三菱UFJ銀行が共同出資して設立しました。正式名称はauじぶん銀行でATMでの入金が何度でも無料です。三菱UFJ銀行への入金も何度でも無料です。

口座開設は3分程度で済むので、誰でもすぐに利用をはじめられます。アメリカドル、オーストラリアドル、中国元など7通貨での取引ができ、外貨定期預金に円から預ける場合は金利が高くなります。

ただカードレス決済なので、デビットカードは発行されません。

(3) Kyash

誰でもプリペイド式のKyash Visaカードを発行できるのが特徴のKyashは、いつでも0.5%〜1%のポイント還元があるのが特徴です。アプリで簡単にオンライン決済を済ませたり、割り勘や送金ができます。

Kyashのカードは1回の上限金額が30万円と5万円の2種類があり、どちらもタッチ決済ができます。またカードを発行しなくてもスマホアプリで1回につき、3万円の決済ができます。リアルタイムで決済の履歴が届くので、預金を管理しやすく、使い過ぎを防げます。

4. 日本はアプリ内で完結するサービス

海外のチャレンジャーバンクはアプリ内だけではなく、オンラインサロンなどのサービスもありますが、日本のチャレンジャーバンクはアプリ内で操作が完結するものがほとんどです。

ユーザー同士が意見交換をする場などがないため、企業が提供するサービスを受ける形になります。ユーザーの意見が反映されるのには時間がかかるシステムです。

5. チャレンジャーバンクの主な体制

チャレンジャーバンクの主な体制は、以下の3種類です。それぞれのシステムごとの違いを知っておきましょう。

(1) 完全内蔵モデル

完全内蔵モデルは銀行のサービス、アプリのデザインなどのプロダクト部分と、為替取引や決済システムによる外部との接触なども自社開発しているチャレンジャーバンクです。海外では、monzoのような銀行があります。

MonzoはオンラインコミュニティやTwitterアカウントで自分の希望や要望を伝えると、monzo側で吟味してもらえ、プロジェクトにするためのロードマップがつくられます。他のユーザーも見られるので、投票によって実現するかどうかが決まります。

自分たちでサービスをつくっているという感覚になるため、ファンを順調に獲得しているのです。

(2) Baasモデル

銀行の機能をソフトウエアにし、他社に提供することをBaasといいます。このBaasを利用したチャレンジャーバンクもあるので、知っておきましょう。海外の銀行ではSTASH、green dotなどがあります。

5. 日本では銀行と連携する形がメイン

日本のチャレンジャーバンクは、すでに成功している有名な銀行と連携してサービスを提供することがほとんどです。

これまで使っていた銀行と連携しているチャレンジャーバンクを選んだり、これまで使ってきたアプリの会社を選んだりと身近なものから選択することが多いです。

ただ銀行アプリと違い、問い合わせなどもアプリ内からできるので、忙しい人がビジネス用口座として使うのに向いています。

(1) 世界的に人気なのはブラジルの会社

世界的にはブラジルのNubankがトップの人気を誇っていて、Revoltやmonzoのようなアメリカのチャレンジャーバンクが世界的な人気会社の上位のほとんどを占めています。

Nubankは、2016年にはクレジットカードユーザーが300万人を超えています。支払われた側の企業が払うインターチェンジ料、カードローンの利息で得る利益で運営しています。

ただ日本は、まだサービス圏内に入っていないので利用できません。もしサービスがはじまっても、馴染みのない海外の会社にお金を預けることになるのが理由で、おすすめしません。

(2) 日本に参入している海外バンク Revolt

日本に参入しているのはアメリカのRevoltです。「Revoltビジネス」としてビジネス向けのアプリが配信されています。英語以外にも、日本語でも使えるのが特徴で、オーストラリア、カナダ、シンガポール、スイスなど世界中にユーザーがいます。

スタンダード、プレミアム、メタルというプランがあり、利用したいサービスによってプランを選びます。プレミアム以上は海外の医療保険にも加入できるので、保険を追加することを検討している人にもおすすめです。

手続きはとてもかんたんで数分で終わり、その日のうちに口座を開設できます。新しい銀行口座が急遽必要になった場合も安心です。

ただポイント還元はヨーロッパ内で0.1%、ヨーロッパ外で1%なので、LINE銀行の方がポイント還元率が高いです。

6. まとめ

このようにチャレンジャーバンクはまだ日本では利用者が少ないですが、世界規模で見ると市場がどんどん拡大しています。今度ますます発展していくことが予想されるので、今のうちから仕組みなどを理解しておきましょう。

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