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M&Aにおける売却のリスク(売り先が見つからない、情報漏洩、敵対的買収)と、リスクを最小限にする方法を解説

M&Aは買い手、売り手双方にメリットがあります。買い手の主なメリットは、事業におけるシナジー効果、売り手の主なメリットは事業承継問題の解決などを挙げることが出来ます。

しかしメリットがある一方で、当然ですがリスクもあります。M&Aには、買い手、売り手双方にリスクがあります。
今回は、M&Aの売り手のリスクやリスクを最小限にする方法について説明していきます。

▼M&Aの買い手のリスクおよびリスクヘッジにつきましては、こちらの記事をご覧ください

「M&Aの際に考えられる買い手側のリスクとリスクヘッジについて解説」

1. M&Aにおける売り手の主なリスクとは

M&Aにおける売り手の主なリスクは、3つあります。今回挙げるリスクは、どれもM&A の成功させるために避けては通れない大きなものになります。

(1) 売却先が見つからない&売却価格が低い

M&Aにおける売り手のリスクの1つ目は、売却先が見つからないリスク、もしくは売却価格が低いというリスクです。

このリスクは、M&Aを行う上で最も大きなリスクかもしれません。事業承継などのために企業を売却したくても企業の買い手が付かなければ売り手企業の経営者が想定している期間内にM&A成約に至らない場合があります。

また売り手企業のほうに後継者がおらず事業承継を望んでいたり経営状況が悪い等の理由からM&A をしたい場合などは、買い手が交渉上有利になることが多く、一般的に売却価格が安くなってしまう傾向にあります。

(2) M&Aの情報が事前に漏れるリスク

M&Aにおける売り手のリスクの2つ目は、M&A の情報が事前に漏れるリスクがあることです。

M&Aは、成約するまで交渉していることを明かしてはいけません。なぜなら M&A の交渉を行っていることが外部に分かってしまうことにメリットはなく多くのデメリットが存在するからです。

例えば、M&Aを検討していることが分かることによって有力な社員が退職してしまう可能性などがあります。売り手側の社員から見ると会社を他社に売り払うというイメージがあるのでネガティブなイメージがあるためです。またM&Aの後に会社の組織が変わることを懸念して会社を辞めてしまう可能性もあります。

(3) 敵対的買収のリスク

M&Aにおける売り手のリスクの3つ目は、敵対的買収のリスクがあることです。

日本では、買い手、売り手両者の同意する友好的なM&Aが一般的です。しかし、まれではありますが、日本のM&Aにも敵対的買収があります。
敵対的買収の場合、買収された後の売り手企業の扱いが読めないため売り手企業にとっては大きなリスクになります。

2. M&Aの売り手のリスクを最小限にする方法

前の章では、M&Aにおける売り手の主なリスクについて説明をしました。この章では、これらのリスクを最小限にしていく方法について説明をします。

(1) 売却先が見つからない場合や売却金額が低い場合についての対策について

まず売却先が見つからない場合ですが、取引している金融機関や M&A 仲介業者に依頼する方法があります。

また売却金額をあげる方法としては、経営努力によって企業価値を上げることが一番ですが、急に企業価値をあげるといってもなかなか難しいと思います。
売却先が見つからない場合&売却金額が低い場合の対処法としては、M&A仲介業者に依頼し、なるべく多くの買い手候補先を探し、交渉上のイニシアティブを獲得することや、交渉力の高いM&Aアドバイザリーを介して買い手企業に希望条件を伝えることが有効な方法になります。

(2) M&Aの情報が事前に漏れないようにするための方策

M&A の情報を事前に漏れないようにするためには、M&Aに関わる人を最少限にすることや秘密保持契約(NDA)の締結と履行が重要です。

M&Aに関わる人を最少限にすることで有力社員の退職なども防ぐことが出来ます。その上で、M&Aに関わる人とNDAを締結し、厳格なNDAの履行を行うことで、必要以上にM&Aに関する情報が流出することを防ぐことができます。
M&Aに関わる人が多くなると、どうしても情報は漏れやすくなります。事前に情報を洩れないようにするためには、必要最小限の人のみで M&A を進めていくことが重要です。

(3) 敵対的買収からの防衛方法

敵対的買収のリスクを防ぐためには、平時から予防を行なっておくことが重要です。敵対的買収からの防衛方法には様々な方法がありますが、ここでは主な敵対的買収からの防衛方法について説明をします。

敵対的買収からの防衛方法はたくさんありますが、今回はゴールデンパラシュートという手法について説明をします。

ゴールデンパラシュートとは、あらかじめ取締役の退職金を高額に設定する防衛策です。敵対的買収は、成功をすると多くのケースで現在取締役は解任されます。その点に着目し現在の取締役の退職金を高額にしておきます。
退職金を高額に設定しておけば、買い手の企業の財務内容を圧迫させることになるので敵対的買収の抑止力になります。

その他にもポイズンピルやホワイトナイトなど様々な手法があります。自社にあった手法を選ぶことが重要です。

3. まとめ

今回は、M&Aにおける売却のリスクを最小限にする方法を解説していきました。M&Aにはたくさんのメリットがある一方、リスクもたくさんあります。
是非今回の記事を参考にM&Aにおける売却のリスクについての理解を深めて頂ければ幸いです。

4. 関連記事のご紹介

「売り手のリスク」に関して、下記の記事もご紹介しておりますので、併せてご覧になってください。

(1)【M&Aアドバイザリーの形式、種類とその業務】

https://paradigm-shift.co.jp/column/24/detail

M&Aにおける売り手のリスクとして、売却先が見つからないリスクと売却価格が低いと言うリスクを挙げさせていただきました。それに関して、M&Aアドバイザリーに関する記事をご紹介します。
M&Aアドバイザリーは、「M&Aコンサルタント」や「ファイナンシャルアドバイザー(FA)」とも呼ばれます。上記記事では、M&Aアドバイザリーの形式、種類や、その業務内容ついて解説しております。

(2)【東芝のTOBとHOYAの敵対的TOBについて解説】
https://paradigm-shift.co.jp/column/68/detail

M&Aにおける売り手のリスクとして、敵対的買収の可能性を挙げております。
それに関して、敵対的買収(TOB)の事例を上記記事にて紹介してます。

上記記事ではTOBの仕組みについて解説した上で、東芝のTOBについて背景とその狙いについて解説しております。TOBの仕組みと、東芝の子会社の実力や将来性について理解できます。

(3)【M&Aの際に考えられる買い手側のリスクとリスクヘッジについて解説】
https://paradigm-shift.co.jp/column/22/detail

本記事では売り手のリスクについて記載しておりますが、反対側の買い手のリスクについてご紹介してます。
M&Aの買い手のリスクやリスクに対するヘッジ方法について説明しております。

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