「IT企業などでさまざまな取引形式があると聞いたけど、ひととおり知りたい」「BtoBやCtoCって何? 具体的にどんな仕事をするの?」など、取引形式について疑問に思う人も多いでしょう。BtoBやCtoCに限らず、商品を売る仕事にはさまざまな形があります。
今回はIT企業などの取引形式をひととおり学びたい人のために、現在有名なやり方を紹介します。代表事例となるジャンルや企業も紹介するので、読めばビジネスのあり方が分かるでしょう。
1.BtoBやCtoCの言葉の成り立ちは?
世の中にはさまざまな取引形態があり、多くは「○to○」という表現です。toを間におき、左側はサービスを提供する側、右側は受ける側と覚えましょう。
一般的なのはBtoCで、「Business to Customer」の略です。ビジネスを行う企業側が、消費者にサービスを提供します。
しかし現代社会は、企業が企業にものを売ったり、消費者同士で取引を行ったりなど多様化しています。IT技術の向上などが背景にあり、新感覚のサービスが続々と世に出ている状況です。これから起業を考えている人も、ビジネスの形式や代表例をひととおり学びましょう。
2.商品の取引ルート一覧
商品の取引形式は多種多様で、以下の12種類が挙がります。
・BtoB
・BtoC
・BtoE
・BtoG
・CtoC
・DtoC
・GtoC
・OtoO
・MtoM
・OMO
・BtoBtoB
・BtoBtoC
今回の記事ではそれぞれの意味や特徴、代表的な企業などをまとめました。
(1).BtoB
BtoBとは「Business to Business」という意味です。企業間取引とも呼び、法人相手のサービスをメインにしています。
ターゲットや取引先が限定的なので、BtoB商品の大衆的なプロモーションは少数です。しかしリスティング広告やテレマーケティングなど、顧客としての企業にアプローチするために専門的なテクニックを用います。
たとえば京セラは、半導体を電化製品メーカーに、工具や掃除用具を作業メインの仕事を行う会社などに提供しています。融資事業や保険サービスも個人だけでなく法人向けのプランがあり、BtoBの一例です。
他にも旅行会社による社内旅行プランの提供など、BtoBのパターンが増えています。
BtoBオウンドメディアの成功事例については、こちらの記事で詳しく解説されています。
あわせてご確認ください。
参考:BtoBオウンドメディアの成功事例20選!運営方法、手順を解説 |大阪 リードナイン株式会社
BtoBマーケティングの基本と活用法については、こちらの記事で詳しく解説されています。
合わせてご確認ください。
参考:BtoBマーケティングの基本と活用法|フレームワークや成功事例も解説|Sales Enablement Media
(2).BtoC
BtoCとは「Business to Customer」の略で、企業から消費者へのサービス提供を意味します。CMなどを使い、大衆向けのプロモーションを行うことも多いのが特徴です。テレビ、インターネット、雑誌など宣伝方法も多種多様です。
現代社会の商取引においてスタンダードな形式といえるでしょう。Amazonや楽天などのネットショップが、BtoCの新しい形として話題です。他にもスーパーマーケットや百貨店、学習塾、エステなどさまざまなBtoCが世に出ています。
(3).BtoE
BtoEとは「Business to Employee」の略で、企業から従業員へのサービスを意味します。企業は自社製品を一般の消費者だけでなく従業員に提供するケースがあり、他社の従業員をターゲットにする会社もあるほどです。
企業が売る商品を、自社が従業員割引などで買えることがBtoEの代表例です。従業員向けの福利厚生サービスの多くがBtoEで、働く人にとっても企業の活動だけでなく、売上にも貢献することになるのでモチベーションにつながるでしょう。
テレビ局などの社員食堂やケータリングサービスなどもBtoEに当てはまります。他社向けのBtoEでは、「シャショクラブ」のようなオフィスへのランチ宅配サービスが代表例でしょう。
(4).BtoG
BtoGは「Business to Goverment」、つまり企業から行政へサービスを提供する流れです。ターゲットが政府や自治体などがポイントで、国会の政策や、行政のプロジェクトを進められるように必要な道具やアイデアを提供するものと考えましょう。
自治体が地域内の交通を整備したいときに、道路を工事してもらうことがBtoGの代表例です。政治などの仕事で使う筆記用具やノートなどの提供も当てはまるでしょう。
LINEでは自治体が公式アカウントを登録し、公共サービスの手続きをLINEで行えるシステムを作れます。事業者側であるLINEが自治体にアカウント登録の機会を提供する意味でBtoGといえます。
(5).CtoC
CtoCは「Customer to Customer」という意味で、消費者から消費者へサービスを提供するケースもあります。企業や店舗を持たない一般人が、他の人にものを売ることもあることに注目です。
消費者間の取引では消費税がかからないなどのメリットがありますが、商品が届かないなどの詐欺トラブルもCtoCで特に起きやすいので注意しましょう。CtoCサービスを提供する企業は、会員としての月額利用や落札手数料などで収益を確保します。
フリーマーケットアプリ「メルカリ」は、外出せずに商品を売れるCtoCサービスとして人気を得ています。他にヤフオクなどのネットオークションや、民泊などもCtoCです。
(6).DtoC
DtoCは「Direct to Consumer」という意味で、メーカーが直接消費者に販売することです。こちらも現代社会ではよく知られたサービス方法で、メーカーが自社で作った製品を、店舗をとおさず直接お客さんに売る行動を意味します。
商品作りのノウハウは必要ですが、小売店などからの仕入れ代をカットできるのが魅力です。ネットビジネスの発達により、自社がECサイトを作り、お客さんに直接売る試みが世界中で多くなりました。
大手企業でも、ヴィトンなどの高級ブランドが正規オンラインストアをスタートさせて話題です。メルセデスベンツもオンラインストアをオープンしており、ネット限定販売の自動車が登場するなどで注目を引いています。
(7).GtoC
GtoCは「Goverment to Customer」で、行政から消費者・市民へのサービスを意味します。国が直接サービスを提供するのは、国民の義務である納税や教育など、生活と密接に関係するものが多いイメージです。
生活で必要な手続きの多くはGtoCにあり、受けないと不便になるケースもあります。住民票やパスポートの発行、確定申告などもGtoCのサービスにあたります。市や区立の学校も自治体が教育機会を子どもに提供しているとしてGtoCに入るでしょう。
(8).MtoM
MtoMは「Machine to Machine」の略で、機械同士のコミュニケーションを意味します。専用システムを使い、別の機械をコントロールすることです。人が一切介入することなくデータにもとづいて適切な行動を促したり、健全な状況を作るのがMtoMサービスの役目です。
たとえばVICSは、交通規制や渋滞などをデータ分析し、カーナビに情報を提供するサービスです。運転中の使用者に渋滞回避などの選択肢を与えられることから、MtoMの代表例といえます。
類似概念に「IoT」(Internet of Thing)があり、インターネットデータを別の機械で共有することを目的としていることから、MtoMの派生形です。
(9).OtoO
OtoOとは「Online to Offline」の略で、インターネットからオフライン領域へサービスを行き届かせることです。ターゲットとなるオフライン領域は顧客や店舗など多岐にわたります。
インターネットで商品やサービスを入手でき、現実世界で使えるようにするのが目的です。たとえば電子クーポンなら、ホームページ上から消費者が印刷して入手でき、店に持っていけば割引してもらえます。
ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイは「WEAR」というOtoOブランド運営でも有名です。消費者が店で買わなかった商品をネットで注文できるしくみをメインに、ウェブ接客などのサービスも使って売上を得ています。
(10).OMO
OMOは「Online Mergers with Offline」の略で、オンラインで得た顧客情報をデータ化したうえで、サービスを提供します。お客さんが正確なニーズを設定できるので、商品の選び間違いを起こしにくいことがメリットです。
スマートフォンで在庫検索や決済ができるしくみは、OMOに使えるでしょう。活動データを蓄積し、事業者側が分析し、顧客がニーズを申告できるようにサービス内容を決められるからです。データのおかげで顧客に無駄のない消費体験をさせられることが、OMOの強みでしょう。
たとえばメガネブランドのZoffは、顧客が度数やレンズの種類をチェックし、メガネの形式を自動入力し注文できます。希望する度数やレンズの種類が顧客情報になり、データにもとづいて商品を買うという体験が可能です。
(11).BtoBtoB
BtoBtoBは「Business to Business to Business」の略です。企業間取引のサポートが目的で、法人相手に企業間取引のアイデアやマッチングの機会を与えるのが主流です。
広告代理店が、他社の求人広告を代理販売することが代表例です。マッチング分野ではアイミツが有名でしょう。IT、営業、専門家などの複数ジャンルで展開しており、提携事業者を探す企業がプロフィールやサービス内容を提示するしくみです。探す側はニーズに合わせて絞り込み、理想の企業を見つけられます。
(12).BtoBtoC
BtoBtoCは「Business to Business to Customer」で、消費者相手のサービスを行う事業者をサポートする仕事です。
本来は商品の仕入れ業者などが、BtoCを行いたい企業にBtoBを行いますが、BtoBtoCでは、BtoCを行いたい企業側に、別の事業者が仕事や売り方をアドバイスしながらサービスを提供します。
たとえばI&Dは、IT製品に特化したBtoBtoC企業で、マーケティングオートメーションを提供しています。見込み客を管理し、受注へつなげるためのデータ管理システムです。ほかにも顧客データを管理できるCRMを提供する企業などもBtoBtoCに当てはまります。
3.複合ジャンルのビジネスにも注目
BtoBとBtoCなど、複数ジャンルをかけもっているビジネスにも注目しましょう。たとえば家電量販店なら、家庭向けにテレビや冷蔵庫などの生活に必要なものをBtoCとして提供します。しかしパソコンはデスクワークに使うものとして企業が求めていることもあるため、BtoB商品にもなりえます。
事業内容を決めるときは、ひとつのジャンルに絞ることが大切です。本題BtoCを行っていた会社が、自社商品のネット販売としてDtoCを始めるなど複数ジャンルを並行展開することもあります。事業やニーズの変化などを決めて、サービス形式のチェンジや追加を行うことも選択肢です。
4.まとめ
BtoB、BtoCに限らず、現代社会では消費者同士、従業員、行政機関などさまざまなターゲットや提供者により多様な経済活動が進んでいます。自身が起業を考えていれば、事業内容がどのジャンルに入るのかを分析しましょう。
提供する商品やサービス内容によって、事業を展開すべきグループやターゲットは異なります。商品やサービスが幸せにしそうな相手を想定しながら、目標へ進むことが、ビジネスモデルを作るポイントでしょう。
BtoBマーケティングの戦略については、こちらの記事で詳しく解説されています。
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参考:【BtoBマーケティングの戦略】必ずチェックすべき4つのポイントとBtoBマーケターの選び方 | 「キャリーミー」の企業・法人様向けサイト
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