今はオンライン飲み会、授業、演劇などが注目されていますが、今後活用していく可能性があるのがオンライン営業です。
会社の営業といえば、営業マンが取引先の候補の企業や店舗に足を延ばして自社サービスや商品を売り込むものです。
本当に営業(セールス)をインターネットで代替できるのか、対面が当たり前の名刺交換はどうするのか、対面ではないオンライン営業で成約は取れるのか、などを解説していきます。
1. オンライン営業はツールを揃えるのが基本!
対面じゃないと難しい名刺交換や印象を良くすることは、ツールをしっかり揃えることでインターネット越しでもできます。まずはオンライン営業に使えるツールを紹介していきましょう。
(1) オンライン営業に使えるツール
営業は名刺交換をすることでスタートします。名刺交換をしないでいきなり商談に入ることはありません。対面だとかんたんにできる名刺交換でも、オンライン営業では専用ツールが必要です。
例えば「ホットプロファイル」はさまざまな形式でオンライン名刺交換ができます。商談の内容、相手の見やすさなどに合わせて名刺交換のスタイルを選べます。交換した名刺をオンラインで管理することもできますし、インターネット商談も可能です。
Web会議ツールの「ベルフェイス」はプロフィールやa名刺情報を登録できる上に、商談の様子を録画して後から確認もできます。「B-Room」も名刺交換や資料の受け渡し機能もあり、ソフトをインストールしなくてもURLを伝えれば商談できます。
(2) ツールだけ揃えても成果は出ない!
名刺交換や商談記録、資料共有など便利な機能があるツール使うだけでは、オンライン営業で成果を出せません。
通信環境を使った営業で必要なのはファシリテーションスキルです。ファシリテーションスキルとは、物事がスムーズに進むように調節する能力のことで、パンフレットを見ながらでも説明できる対面営業と違い、離れた場所にいる相手にでもしっかり内容が伝わるように資料つくりをすることが求められます。
(3) 訪問営業とオンライン営業の違い
訪問営業はアポをとるまで電話で行い、実際の商談は直接会って行います。オンライン営業はアポをとるまでメールや電話で連絡を行い、商談も電話やオンラインで行います。
オンライン営業が難しいといわれているのは、アポをとってからです。
以下のようなデメリットが想定されます。
- 商談は直接会わないと受け入れてもらえないことが多い
- 契約後にサポートしてもらえるのかなど相手が不安を感じる
- オンライン営業を経験したことがない相手の理解不足
- オンライン営業未経験の自社の上司から適切なアドバイスをもらえない
しかし以下のようなメリットもあります。
- 訪問しないので相手の企業も自社も負担が軽い
- 自社の社員に不明点をすぐに確認して説明できる
- 「時間がないから」という理由で営業を断られにくい
訪問営業と違い信頼関係を築きにくいことはオンライン営業のデメリットですが、このようなメリットもあるため、一概に企業にマイナスではありません。
できる営業マン数人に会社の新規顧客獲得を託す体制では、営業マンの負担が増えてしまいます。高度なスキルを持っている営業担当の負担を減らし、他の人材の能力も活かすためにも、インターネットを活かした営業を導入する企業が増えているのです。
2. 成功しているオンライン営業の実例
オンライン営業を取り入れて、実勢に成功している企業の実例を参考にすれば、自社に取り入れた際も失敗しにくいです。ここからは成果を出した通信環境化での営業の実例を紹介していきます。
(1) 訪問とオンラインの連携で営業成績を上げた企業
株式会社HENNGEは訪問営業と、オンライン営業を組み合わせて成果を出しています。これまで重要視されてこなかった潜在的な顧客と長期的に交流を持ち、アポをとるまでをオンライン営業で行い、商談は訪問というシステムにしました。
一度訪問営業を失敗してもインターネットで交流を続けことで、潜在的な関心が高まり新規顧客になる可能性が高いタイミングでもう一度営業をかけられます。
(2) 量よりも質にこだわった企業
株式会社「ユーザーベース」は、広告よりも問い合わせ件数の獲得を重視していました。そのため営業要員が減り、問い合わせで関係を作った潜在顧客にアプローチをかけられず、チャンスを逃してしまう状態だったのです。
インサイドサービスを立ち上げてから問い合わせの15分以内にアプローチすることに成功し、アポイント件数を初月で6倍以上になり、成約率目標を20%から30%に引き上げました。問い合わせ件数よりも、成約まで持っていける件数を増やし成果を出しています。
(3) マーケティング・イベントなどを駆使した企業
株式会社マルケトのMAツール「マルケト」は、顧客のタイプ別にイベントを開催したり、Web広告に力を入れたりしたオンライン営業を導入し、営業の負担を減らしています。
サービスと高相性の企業に代表メールや電話でアプローチする営業部と、すでにある程度関係性が成立している企業にアプローチする営業部の2部構成です。
このようにオンライン営業で成果を出している企業の共通点は、訪問営業と組み合わせていることです。完全訪問営業から一気に完全オンライン営業に切り替えるのはリスクが高いです。訪問と通信の商談、両方のメリットを活かせる体制をとりましょう。
3. オンライン営業で成果を出すためには確認作業が大切
オンライン営業で成果を出すためには、顧客と自社で認識の違いがないか確認することが必要です。ここからは確認するべきことを解説していきます。
(1) 顧客認識の確認を徹底的にする
直接会わないことで何か意見があっても口をはさみにくい、解釈が違っても受け流しやすいため、相手の要望に対する認識にズレがないか細かく擦り合わせましょう。
顧客の要望の意味合いや質問の意味、自社の説明がどの程度伝わっているか、伝えた内容に対する関心の高さ、今後のお互いのスケジュールなどを確認しながら話します。
(2) 参加者情報の確認を徹底的にする
オンライン営業ではグループ形式の商談も行われます。この場合は参加する人の氏名、役職、商談への参加目的など基本になる情報を最初に確認しておきましょう。
対面では名刺交換の際に役職を聞いたり、参加目的を確認したりできますが、オンライン営業では実現しにくいです。電話やメールで事前に把握しておくと、商談がスムーズに進みます。
訪問営業でその場でさっと聞ける場合でも、オンラインでは聞くタイミングを逃すことが多いです。相手への聞くことのリストに入れておくのがおすすめです。
(3) 購買担当者と認識の確認を徹底的にする
購買担当者と営業担当者に認識の違いがあると、成果が出にくいです。認識の違いや本当に疑問に思っていることなどは、訪問営業であれば雑談の中から聞き出せます。しかしオンライン営業では雑談の時間を意識的につくらないと本音を聞き出せません。
オンライン独自のコツが必要で、訪問営業で自然と行っていることを意識的に行う必要性があります。ただ営業内容が大きく変わり、今までと全く違うことをするわけではありません。事前に商談の流れをリストアップしておくと、情報の聞き漏れの心配がないです。
4. オンライン営業が強い理由
オンライン営業は訪問営業と違い成果が出にくいことが多いです。しかしインターネット越しの営業ならではの特徴を理解していかせれば、企業によって有益な営業スタイルになります。
(1) 言葉よりもビジュアルでの説明がメインになる
オンライン営業はスライド資料や宣伝動画を事前につくっておくと、商談での認識のズレがうまれにくいです。商品やサービスのビジュアルで伝えることで、パンフレットを指さして説明するよりも具体的に多くの情報を共有できます。
口頭での説明が少ないことで、相手の反応を見たり、気になる点を聞いたり、補足を説明したりと商談を充実したものにしやすくなるといえます。事前の資料づくりの負担が増えますが、的確に商品イメージを伝えられます。
(2) 売れている営業担当のサポートが受けられる
オンライン営業は商談の様子を録画して後で確認できます。売れている営業担当の商談の様子を見せてもらい勉強することもできますし、資料作りのアドバイスなどをもらうこともできます。
また自社でオンライン営業をする直前にアドバイスをもらうこともできます。シャドーイングといって手本となる人物の真似をすることもできるので、企業全体の営業スキル向上も狙えます。
(3) ビデオ通話なら非言語的コミュニケーションが成立する
商談では相手の表情や声のトーン、雰囲気など言語ではないコミュニケーションが重要視されます。オンライン営業ではこれが失われてしまう可能性を懸念している企業もありますが、ビデオ通話ならその心配が少ないです。
お互いの顔を見ながら商談できるので解釈の違い、相手が興味を持った部分などに気付くことができます。また訪問営業と組み合わせると、通信での商談で分かりにくかった部分の確認もできます。
(4) 営業コストを削減できる
訪問営業の場合は交通費やパンフレット作製費用、人件費などコストをかけて行います。しかしインターネット越しの営業は交通費も交通時間も短縮できますし、地方の企業への営業でも日帰り出張する必要がありません。
その上オンラインコミュニティなどを作成すれば、見込み客の情報を集めるリード獲得からアポイントまでのコストも削減できます。顧客獲得のための営業コストを削減することで、広告費やカスタマーサポートへの費用など、他のことにコストを割けます。
オンライン営業はツールを揃えて、訪問営業との違いを理解した上で準備を行い、手本となる人材がひとりでもできれば、企業にとってプラスになります。どんな事態でも顧客を増やせるとは強みになるので、取り入れてみましょう。
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