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日本のアニメにおける製作委員会方式とはどのようなしくみか | 海外との違いも紹介

「アニメのエンドロールで見る製作委員会とは何だろう」「どのような仕事をしているのか」など疑問に感じている人も多いでしょう。現在のエンターテイメントでは、アニメや映画などの製作委員会方式が定番です。

今回はアニメの製作委員会方式のしくみを知りたい方のために、定義や歴史的背景、他国との比較などを交えて解説します。これを読めばアニメを支えるグループの仕事が分かるでしょう。

1.製作委員会方式とは何か?

製作委員会とは、複数企業からの出資で映像作品を作るグループで、アニメに限らず、映画、ゲームなどさまざまなメディアで活躍しています。作品のエンドロールなどでも作品名のあとに「製作委員会」とついたグループ名を見るでしょう。

作品の収益や権利は関わったグループで分け合うので、現在のクラウドファンディングのような仕組みもうかがえます。複数グループの集合体なので、相互協力により宣伝や放送などの準備をスムーズに進めやすいのも特徴です。

2.製作委員会のしくみとは?

製作委員会が具体的にどのように機能していて、いかなる仕事を行っているかを解説します。

(1)企画草案から資金調達まで

製作委員会の組織体制が整ったら、制作会社などのプロデューサーが企画の骨格を作ります。アイデアが完成したら、出版社やテレビ局などに製作や放送を依頼する流れです。

賛同会社を集める必要もあります。賛同した中から特定グループが「幹事会社」として出資金を取りまとめるしくみです。出資会社は複数であることが多く、幹事グループは賛同者の中でも大規模なところが担うケースが多いといえます。

幹事会社は作品制作をリードできるかわりに、資金不足のときは補填などのカバーを行うなど、一定の責任を負わなければなりません。以上から製作委員会は、クリエイター側やスポンサーなどが各自の役割を意識することが大切です。

(2)収益分配のしくみとは?

作品が売れたら、出資比率に応じて投資を行った会社に利益を分配します。幹事会社は投資金額の割合が大きければまとまったリターンを期待できます。大きなプラス収支を受けた製作委員会に参加していれば、業績アップを望めるでしょう。

制作会社への収益は製作委員会が支払うメディア制作費ですが、著作権を持てないために二次利用では利益がもらえません。アニメ作品がヒットしても、登場人物などをモチーフとした商品を制作会社が勝手に作って売ることなどは不可能です。

3.製作委員会方式はアニメ業界でどのように定着したか

アニメ業界における製作委員会方式を、日本独特のシステムと呼ぶ人も多いようです。製作委員会方式の成り立ちと現在をまとめます。

(1)日本の元祖製作グループは手塚治虫がきっかけ

製作委員会方式の元祖は、手塚治虫が私財を投じて設立した「虫プロダクション」です。現在では常識である毎週30分のアニメを初めて放送したグループで、現代の礎を築いたといえるでしょう。

『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』などのアニメ作品は虫プロダクションが保有し、スポンサーマネーに加え、海外輸出の収益や著作権などによるロイヤリティで運営を進めていました。虫プロダクションの経営体制は、現在の製作委員会方式に通じる要素が多いといえます。

(2)手塚治虫の後を追い、企業出資形式の製作グループが登場

1995年にアニメ放送を開始した『新世紀エヴァンゲリオン』で、製作委員会方式の存在を多くの人々が知りました。

エヴァンゲリオンシリーズ以前も製作委員会のようなスタイルでアニメを作った例はあります。しかし製作委員会方式を広めたのはエヴァンゲリオンシリーズという認識が広まっています。

それ以来、複数の企業が出資を行う製作委員会方式でのアニメ作りが業界で定着しました。現在のオタク向けや漫画・ライトノベルなどの紙媒体の原作からなるアニメも、多くは製作委員会が作ったものです。

(3)外資系企業台頭で製作委員会方式に変化

近年は外資系企業の台頭により、製作委員会のあり方も変わっています。たとえば中国の動画配信サイト「bilibili」は、2015年から多くの作品へ出資を本格化し、さまざまな製作委員会を支えています。

中国などの海外企業が日本にスタジオを作り、アニメ制作の現場にする例も見られ、そこで日本のアニメーターを雇用するケースもあります。海外企業にとっては日本のアニメの本場としてのノウハウを学びつつ、ヒットを出す狙いでしょう。

以上から製作委員会方式は日本だけのものではなく、海外企業も関わるようになりました。

(4)ネットコンテンツと制作会社が提携する類似例も

現在は製作委員会の類似方式として、ネットコンテンツと制作会社による共同制作も見られます。スマートフォンやパソコンから地上波と異なるコンテンツを見る人が増え、NetflixやAmazonプライムといったサービスが知名度アップに成功しました。

Netflixのような動画サービス側は独占配信以外の権利を求めません。制作会社は二次利用のロイヤリティーなどを獲得でき、強力な収益モデルを確立させやすくなります。従来の製作委員会方式では、制作会社はロイヤリティーなどを受け取れないので、新しいスタイルとして注目です。

4.製作委員会のメリットとは?

製作委員会のメリットは、金銭リスクを抑えながら、宣伝などの活動などを本格的にできることです。アニメ業界参入のハードルが低いと感じられることがポイントでしょう。

(1)金銭の負担を分散できる

制作会社は自社だけでアニメを作るよりも、製作委員会を組むことで多くの企業やグループから、資金やアイデアなどによるサポートを望めます。出資側にとっても複数が名乗りを上げれば、1グループあたりの出資額を減らせ、お得感を味わえるかもしれません。

制作側と出資側両方にとって、アニメの新作に対するハードルが低くなります。作品がヒットしなくても、莫大な損失を特定の一社が背負わず済むことも多いでしょう。

(2)出資企業とのタイアップや宣伝機会を得られる

製作委員会に関わるグループが多かったり、有名企業の協力を受けたりすれば、タイアップ効果を期待できます。宣伝規模も広められ、多くの人にアニメ作品を見てもらえる可能性が出るでしょう。

複数の企業から協力をもらいやすい制作会社なら、アニメヒットに向けた宣伝などの面から、企業負担における労力を減らせるチャンスもありえます。

(3)グッズなどによる二次利用の利益も期待できる

製作委員会の収益はアニメや映画のヒットに限りません。グッズなどによる二次利用の利益も分け合い、リターンを高められます。

二次利用にはアニメキャラクターのフィギュアやゲーム、DVD、キャラクターが歌う楽曲などが挙がります。これらがヒットすればアニメシリーズ自体の認知度が上がり、製作委員会に関わったグループの収益が増えていくでしょう。

5.製作委員会のデメリットとは?

製作委員会と関わるうえで、気をつけなければいけないデメリットもあります。コミュニケーションをめぐる問題や、クリエイターの労働環境を守ることなど、注意すべきポイントを複数紹介します。

(1)方向性の違いで機能しないおそれ

製作委員会は複数のグループが集まるので、意見がまとまらないトラブルに気をつけなければいけません。

制作会社、複数の出資会社などのスポンサーが集まった結果、複数会社から現れたプロデューサーが共同で制作を進めるケースもあります。

プロデューサーをはじめ関係者の意見がまとまっていなかったり、特定の誰かの独断で勝手にアニメの方向性を決めつけたりすると、作品の迷走などの混乱が生じます。防止にはコミュニケーションをめぐるルール作りや、陣頭指揮の明確化などが重要です。

(2)一社あたりの利益が小さくなる

製作委員会方式は複数のグループが出資しているため、ヒットしても一社あたりの利益が小さくなります。利益を山分けする関係から、予算規模によっては爆発的なヒットでなければプラス収支を望めないこともあるでしょう。

製作委員会への参加には、アニメ作品に対するモチベーションだけでなく、利益の見通しなどにも注意が必要です。

(3)クリエイターの労働環境が悪くなるケースも

アニメの製作委員会方式では、クリエイターの意見が通りづらいことが多いようです。スポンサーの意向が強く出すぎて、クリエイターが個性を生かせず、やりがいを感じられない問題が出るかもしれません。

賃金面でも下請けのアニメ制作会社だと、キャリアの浅いクリエイターが生活に困る程度の収入しかもらえないケースがあります。拘束時間が長いため、クリエイターの労働環境悪化を問題視する動きも高まっています。

6.日本と海外におけるアニメ制作の違い

製作委員会方式が主流の日本に対し、海外のアニメ制作スタイルは異なるポイントが複数あります。日本と海外の制作文化の違いとして、以下の3点をまとめました。

(1)日本は海外よりも細部への作りこみにこだわる

日本は海外よりも作品へのこだわりが強い印象です。特にコマ送りにおける絵の細かい部分にも技術を注ぎ込む精神を挙げる声が強いといえます。

国内のアニメは、クリエイターなどが絵を中心に総合的なクオリティに注力する傾向です。ただし手間がかかるため労働時間が長く、クリエイターの賃金面でのサポートが薄いという指摘も挙がっています。

(2)海外は日本よりもお金にシビア

海外はクリエイターの労働者としての人権を重視する傾向で、日本よりもお金にシビアな印象です。残業分は必ず支払う鉄則があることから、ミリ単位の修正にこだわらず、労働時間のコントロールにも積極的な会社が多いといえます。

海外のアニメ業界は、健全な労働環境をアニメ制作のモチベーションにつなげていると考えられます。

(3)海外は日本よりも役割分担が明確であることが多い

海外は日本よりも分業制がはっきりしているケースが多い印象です。各人が必要な役割を満たし、できあがったものをパズルのように合わせるイメージで、個人主義的とも考えられます。

日本ではシナリオ、コンテ、デザイン画などを現場の全スタッフと共有する動きが多いようです。メンバー全員の共同作業でひとつの作品を完成させる意識が根強く、全体主義的と考えられます。日本と海外では、アニメ制作現場でも国民性の違いが出るようです。

7.まとめ

アニメなどで多く見られる製作委員会方式は、制作会社や複数の出資企業などの集合体です。企業のサポートによりアニメの宣伝機会確保や、資金調達のシンプル化にも有用です。しかし方向性の違いによる内部分裂や、クリエイターなどの労働環境を悪化など、さまざまな問題もあります。

現在は海外のインターネットビジネスの発展から、製作委員会方式のあり方が変わる可能性も秘めており、今後のアニメ業界の変化から目が離せません。




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