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株主総会の役割を解説します

この記事では、会社に必置の機関である株主総会の役割について説明します。

1 株主総会とは何か

株主総会は、すべての株主から構成される、会社の最高意思決定機関です。もっとも、その役割は、次に述べるように、取締役会設置会社と取締役会非設置会社で異なります。

(1) 取締役会設置会社の場合

取締役会設置会社とは、取締役会が設置されている会社および取締役会の設置が義務付けられている会社のことをいいます。取締役会の設置が義務付けられる会社としては、公開会社(全株式譲渡制限会社以外の会社)、監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社(大会社ではこれらのいずれかが義務。大会社とは、資本金5億円以上または負債200億円以上の会社)があります。

取締役会設置会社では、日常的な経営は取締役会に委ねられることが想定されているため(「所有と経営の分離」)、株主総会は、会社法に規定された事項と定款で定めた事項についてのみ決議することができます。取締役会非設置会社におけるものと異なり、万能の機関、つまり「一切の事項」について決議することができる機関ではありませんが、定款変更は株主総会決議事項であるため、潜在的には万能の機関であるといえます。

取締役会設置会社において、会社法で株主総会決議事項とされている事項として、役員等の選任・解任、会社の基礎の変更である定款変更、事業譲渡、組織変更、組織再編(合併、会社分割、株式交換、株式移転、令和元年改正後の株式交付)、株主の経済的利益に直接に関わる事項である株式の併合、自己株式取得、剰余金の配当、取締役会に任せたのでは利益相反のおそれがある役員等の報酬の決定、責任の一部免除などがあります。

また、公開会社では、募集株式の発行等は、会社の資金調達の手段としての性質が重視され、取締役会の権限とされているのに対して、全株式を譲渡制限している会社では、株主の議決権比率の維持に対する関心が強いと考えられたため、株主総会決議事項とされています。

(2) 取締役会非設置会社の場合

取締役会非設置会社とは、取締役会設置会社以外の会社のことをいいます(なお、取締役会設置会社と異なり、法律上定義された言葉ではありません)。
取締役会非設置会社では、株主総会は、日常的に経営に関与することが想定されているため、会社に関する一切の事項について決議することができます(「万能の機関」)。取締役会設置義務との関係で、取締役会非設置会社を選択しうるのは、全株式を譲渡制限している会社で、かつ、資本金が5億円未満で、負債が200億円未満である会社であることになります(もちろん、そのような会社でも任意に取締役会を設置することはできます)。

取締役会設置会社で株主総会決議事項とされている事項は、取締役会非設置会社でも、全て株主総会決議事項とされています。取締役会非設置会社は常に全株式を譲渡制限している会社なので(一部でも譲渡制限を外すと、公開会社として取締役会の設置が義務付けられ、取締役会非設置会社ではなくなります)、募集株式の発行等も常に株主総会決議事項となります。また、全株式を譲渡制限している会社である以上、株式の譲渡には会社の承認が必要とされますが、その承認も株主総会決議事項です(取締役会設置会社では取締役会)。

(3) 株主総会の手続

ア 招集

株主総会は、株主が会社の経営に関与する重要な手段であるため、その招集については、厳格な手続が定められています。
取締役は、毎事業年度の終了後一定の時期に定時株主総会を招集しなければならず、また、必要がある場合には、いつでも、臨時株主総会を招集することができます。例えば年度途中で組織再編の承認を得ようとする場合には、臨時株主総会を招集することになります。
取締役(取締役会設置会社では取締役会)は、招集にあたって、株主総会の開催日時・場所、目的事項(議題)などを決定し、開催日の2週間前(全株式譲渡制限会社では原則として1週間前)までに招集通知を発します。株主が議決権行使のための情報収集をするなどの準備をする期間を確保する趣旨です。取締役会非設置会社では、議場で議題を提案することができないため、招集通知に記載される議題は重要な意味を持ちます。
なお、株主総会の招集は、取締役によって行われますが、株主の側から招集請求したり、議題を提案し、また、自己が提出しようとする議案の要領を招集通知に記載することを請求することができます。特に取締役会設置会社においては、議題を議場で提案することができず、また、議案は提案できるものの、書面投票・電子投票が利用されており、事前に議決権行使を済ませてしまう(議場で提案しても意味がない)ことが多いため、重要です。

イ 決議

決議は、原則として、議決権の過半数を有する株主が出席し(定足数)、出席株主の議決権の過半数をもって行います(普通決議)。
ただし、一定の重要な事項については、出席株主の議決権の3分の2が必要です(特別決議)。例えば、先に述べた株主総会決議事項の中では、定款変更、事業譲渡、組織変更、組織再編(合併、会社分割、株式交換、株式移転、令和元年改正後の株式交付)、株式の併合、自己株式取得(特定株主からの取得の場合)、取締役会の責任の一部免除が特別決議事項とされています。
なお、定足数・可決に必要な出席株主の議決権数は、定款の定めによって緩和・加重することができますが、特別決議については、定足数の緩和は3分の1まで、可決に必要な出席株主の議決権数の緩和はできないこととされています。
また、これら以外にも、個別に特殊な定足数・議決権数が定められていることがあります。

2 株主総会決議の瑕疵

(1) 株主総会決議の無効

株主総会決議の内容が法令に違反する場合、決議は無効となります。無効確認の訴えを提起することもできますし、無効である以上、他の請求に係る訴えの争点として主張することもできます。
例えば、取締役の資格を有しない者(例えば会社法違反の罪で懲役刑の判決を受け、執行猶予中の者)を取締役に選任する決議が挙げられます。

(2) 株主総会決議の取消し

株主総会決議の①招集手続・決議の方法が法令もしくは定款に違反し、または著しく不公正なとき、②内容が定款に違反する場合、③特別利害関係株主の議決権行使により著しく不当な決議がされたときは、決議は取消しの訴えによって無効とすることができるものとなります。
例えば、開催日の2週間前を過ぎてから招集通知を発した場合、株主からの適法な議題提案・議案要領記載請求があったのに、その議題・議案要領を記載しなかった場合、後述の利益供与規制違反が挙げられます。

株主総会決議取消訴訟は、判決の確定によって取消しの効力が生じるものであるため(形成判決)、他の請求に係る訴えの争点として主張することはできません。
さらに、株主総会決議取消訴訟は、3か月以内の出訴期間が規定されています。株主総会決議は、その上に多くの行為が積み重なることが多く、法的安定性を確保する必要が強いのに対して、取消事由とされているような違法は、無効事由である決議の内容の法令違反と比較すると、違法性が相対的に軽微であることから、このようにされています。

(3) 株主総会決議の不存在

株主総会決議が物理的に存在しない場合や、株主総会決議の方法の違法性が著しく、瑕疵があるにせよ一応株主総会決議がされたとすら言えないような場合、決議は不存在と評価されることになります。この場合、不存在確認の訴えを提起することもできますし、不存在である以上、他の請求に係る訴えの争点として主張することもできます。
決議の方法の違法性は、原則として取消訴訟で主張すべきであり、出訴期間の制限を受けることになりますが、そのような制限を解除してでも救済すべきような場合に、不存在と評価されています。
例えば、議事録は作成されているが物理的に株主総会が開催されていない場合、代表権がない取締役が取締役会決議を得ずに総会を招集した場合などが挙げられます。

(4) 組織再編の差止め・無効

組織再編においては、計画や契約について、株主総会決議(特別決議)による承認が必要とされています。
株主総会決議に瑕疵があることは、組織再編の手続の重大な違法として、組織再編の差止事由(効力発生前)・無効事由(効力発生後)となります。

3 まとめ

株主総会は、すべての株主から構成される、会社の最高意思決定機関です。
取締役会設置会社では、日常的な経営は取締役会に委ねられることが想定されているため、株主総会は、会社法に規定された事項と定款で定めた事項についてのみ決議することができます。
会社法に規定された事項として、役員等の選任・解任、定款変更、事業譲渡、組織変更、組織再編、株式の併合、自己株式取得、剰余金の配当、役員等の報酬の決定、責任の一部免除などがあり、このうち、役員等の選任・解任、剰余金の配当、役員等の報酬の決定以外は特別決議事項です。取締役会非設置会社では、会社に関する一切の事項について決議することができます。

株主総会決議の内容が法令に違反する場合、決議は無効となります。株主総会決議の①招集手続・決議の方法が法令もしくは定款に違反し、または著しく不公正なとき、②内容が定款に違反する場合、③特別利害関係株主の議決権行使により著しく不当な決議がされたときは、決議は取消しの対象となります。株主総会決議が物理的に存在しない場合や、株主総会決議の方法の違法性が著しい場合、決議は不存在となります。また、株主総会決議による承認を要件とする組織再編が差止めの対象となったり、無効となることがあります。
上記のような株主総会の役割をご参考に、M&Aをご検討ください。

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