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データセンターM&Aとは?実施する上でのメリット・注意点を解説

近年、国内外で市場規模を拡大させているデータセンター。

DX推進やデジタル化などIT需要の増加に伴い、データセンターのM&Aも活発に行われるようになってきました。

しかし、「データセンターM&Aとはどのような取引?」「どんなメリットがあるのだろう?」とお悩みの方も多いはず。

本記事では、データセンターM&Aの概要と実施する上でのメリット・注意点を解説します。

データセンターM&Aの基礎知識

近年、国内外でM&Aが活発化しているデータセンター。

しかし、そもそもデータセンターとはどのようなものなのでしょうか。

ここでは基礎知識として、データセンターの概要とクラウドとの違いを紹介します。

データセンターとは?

データセンターとは、サーバーやネットワーク機器を設置するために作られた物理的な建物のことです。

内部にはサーバーを保管するラックが並び、円滑なネットワーク環境を維持するための冷却装置や大量電源などが整備されています。

また、災害の多い日本では、耐震性・免震性に優れた構造を取り入れるケースが多くみられます。

万が一電力供給が途絶えた場合でもサーバーがダウンしないよう、蓄電池や自家発電装置が備わっているのです。

こうしたデータセンターの特徴を受け、サーバーの安全性確保やセキュリティ対策、BCPへの対応を目的に、社内のサーバーをデータセンターへ移行する動きが活発化しています。

リサーチ会社である「IDC Japan」の発表によると、2020年末における国内事業者データセンターの延床面積は、245万7,600平方メートルとのこと。

さらに今後5年間で年率6.7%のペースで増加する見通しが立っており、2025年には延床面積が339万8,000平方メートルに達すると予測されています。

データセンターの需要は国内にとどまらず、海外でも一層拡大する見込みが立っています

データセンターとクラウドの違い

データセンターとクラウドは度々比較されがちですが、両者には以下の違いが見られます。

クラウドとは物理的なサーバーを保有せずとも、インターネットを介してサービスを利用できる手法のこと。

従来のサービスはデータセンターや社内サーバーにソフトウェアをインストールし、利用していました。

しかし、クラウドの登場により、ハードウェアを購入したり、ソフトウェアをインストールしたりしなくても、サービスを利用できるようになったのです。

一方のデータセンターはサーバーを設置するための物理的な建物であり、まさにクラウドを具現化したものといえます。

データセンターのM&A動向

データセンターの市場規模は国内外ともに拡大傾向にあり、M&Aを実施する動きが活発化してきています。

この章では、データセンターのM&A動向として、以下3つの項目を解説します。

  • データセンターの市場は拡大する見込み
  • クロスボーダーM&Aが活発
  • データセンター企業数は減少傾向

データセンターの市場は拡大する見込み

日本国内におけるデータセンター市場規模は、今後も拡大する見通しが立っています


引用:データセンター市場の動向|総務省

IT専門のリサーチ会社IDC Japanによると、2020年における国内データセンターサービスの市場規模は、前年比11.6%増にあたる1兆7,341億円でした。

さらに2022年〜2025年は、毎年10%以上もの成長率で市場が拡大すると予測されており、2025年には30兆円に迫る見込みです。

一方、海外のデータセンター市場でも同様の拡大傾向が見受けられます。

引用:データセンター市場の動向|総務省

世界のデータセンター市場規模は、2021年に23兆7,069億円(前年比24.0%増)にまで成長。

2020年は新型コロナウイルスの影響で一時的に減少に転じたものの、2021年は2019年とほぼ同じ水準に回復し、今後も拡大する見通しが立っています。

データセンター市場は、企業のDX推進やAI・IoT・5Gの普及による需要増加が見込まれることから、M&Aによるシェア拡大を図る動きが活発化しています。

また、市場競争の激化に対応するため、中小規模なデータセンターが大手運営会社の傘下に入り、経営の安定化を図るケースも増加しています。

クロスボーダーM&Aが活発

近年のデータセンター市場では、クロスボーダーM&Aが活発化しています。

クロスボーダーM&Aとは、売り手企業または買い手企業のいずれか一方が、外国企業であるM&A取引のこと。

この背景には、データセンターを取り巻く情勢や自然環境が挙げられます。

たとえば、日本は地震や台風などの天災が多い一方で、テロや内戦などの人為的被害は少ない傾向があります。

一方海外に目を向けると、天災が少ない地域でもテロや内戦などにより、データセンターの安全性が脅かされるケースが少なくありません。

データセンターはユーザーのデータを安全に保管・運用することが求められるため、上記のリスクへ備える必要があるのです。

そこで、近年のデータセンター市場ではリスク分散を目的としたクロスボーダーM&Aが活発に行われています。

データセンター企業数は減少傾向

データセンター市場は拡大傾向にありますが、データセンターを運用する企業数自体は減少傾向にあります。

これは、大手のデータセンター運営会社が、中小規模の会社を買収する事例が増えているためです。

データセンターの運営には膨大な資金力が必要な上、IT需要の増加に伴う市場競争の激化により、小規模データセンターは存続が難しくなっています。

経営状況を安定させ、市場で生き残るための選択肢として、大手企業とのM&Aや経営改善が求められているのです。

データセンターに対してM&Aを実施するメリット

データセンターに対してM&Aを実施するメリットは以下の4つが挙げられます。

  • 強固なセキュリティでデータを保護
  • BCP対策に効果的
  • 初期費用を抑えられる
  • 経営の安定化

強固なセキュリティでデータを保護

1つ目のメリットは機密情報を強固なセキュリティで保護できることです。

データセンターはサーバーを安全に保管するための施設なので、社内よりもセキュリティ面の安全性が高い傾向があります。

データセンターへの入退管理やサイバー攻撃への対策など、データを保護するための万全の体制が整っています。

また、データセンターを買収すると、専門知識を有した人材の獲得が可能です。

トラブルの際には早急に対処できるため、被害を最小限にとどめられるでしょう。

社外向けだけでなく、自社のデータ保護の観点から見ても、データセンターに対してM&Aを実施するメリットは大きいと言えます。

BCP対策に効果的

2つ目のメリットは、BCP対策に効果的であることです。

地震や台風などの天災が多い日本では、オフィスが災害に見舞われるリスクがあります。

仮に、サーバーを社内に設置した場合、被災の影響でサーバーが破損し機密データを損失する恐れがあるのです。

一方、データセンターをM&Aして施設内にサーバーを設置していれば、こうした有事の際でも早急にデータを復旧できるでしょう。

またデータセンターの建物は自然災害や火災などへの対策が講じられているため、一般的なオフィス内よりも安全性が高いとされています。

災害などから自社の事業資産を保護し、早期復旧させるためにも、データセンターM&Aが注目されています。

初期費用を抑えられる

3つ目のメリットは、データセンターをイチから作るよりも、初期費用を抑えられることです。

通常データセンター事業を開始するには、施設の建設や空調設備の導入など、膨大なコストがかかります。

しかし、M&Aでは既存のデータセンターを買収するため、これらの初期費用を抑えられるのです。

また、買収価格の算出では、建物・設備の経年劣化を考慮し、現在価値をもとに算出します。

そのため建設から時間の経ったデータセンターであれば、新設するよりもはるかに低コストで取得できるのです。

市場規模が拡大しているデータセンター事業へ低コストで参入するためも、M&Aは効果的な手段と言えます。

経営の安定化

4つ目は、データセンターを売却する売り手側のメリットです。

データセンター事業は市場規模が拡大している一方で、競争が激しくなりつつあります。

中でも中小規模のデータセンターでは、人手不足や資金調達の難航など、リソース不足が大きな課題となっています。

そこで注目されているのが、大手企業とのM&Aです。

大手企業の傘下に入ることで、ヒト・カネ・モノなどの経営資源を調達でき、経営を安定化させられるためです。

また、最新技術の導入や優秀な人材の確保などを実現でき、業績向上も果たせるでしょう。

データセンターに対してM&Aを実施する際の注意点

データセンターM&Aには多くのメリットがある一方で、以下の2点に注意が必要です。

  • 従業員の離職を防ぐ
  • セキュリティレベル・設備の耐用年数を確認

本章では、上記2つの注意点を順に紹介します。

従業員の離職を防ぐ

1つ目の注意点は、従業員の離職を防ぐことです。

M&Aでは、従業員のスキルやノウハウも企業価値の評価対象です。

中でもデータセンターM&Aでは技術者の存在が価値評価に大きな影響を及ぼします。

しかし、自社が売却されることを知ると、待遇の悪化や将来への不安から少なからず離職する従業員が出るものです。

M&Aで自社を高く評価してもらうためにも、従業員への告知タイミングや入念なフォローなど、離職させないための対策を講じることが大切です。

セキュリティレベル・設備の耐用年数を確認

2つ目のは、データセンター事業を買収する買い手企業の注意点です。

データセンターM&Aは初期費用を大幅に抑えられる一方で、セキュリティレベルや設備などの問題を抱え込むリスクがあります。

万が一、交渉段階でリスクを把握できないままM&Aを実行すると、取引後に大きな損失を招く恐れがあります。

こうした事態を防ぐためにも、入念にデューデリジェンスを行うことが効果的です。

デューデリジェンスでは限られた時間内に候補企業のリスクを調査する必要があるため、事前に調査対象を絞り込むなど、準備をしておくと良いでしょう。

データセンターのM&A相場

データセンターのM&Aは事例の公開件数が少なく、取引額が不明な案件が多く見られます。

また、取引対象となるデータセンターの規模や設備によって幅があるため、一概に相場を断言することが困難です。

ただ大まかな目安として、中小規模なデータセンターM&Aで数千万円〜数億円

大規模なデータセンターM&Aともなると、数億円〜数百億円が取引相場と言われています。

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