M&A

事業承継ってなに?事業承継の目的やメリットは?

今回は最近よく耳にする中小企業の後継者問題について考えていきたいと思います。

後継者問題を論議する際によく出てくる事業承継や事業譲渡とは何か、その違いについて解説をしていきます。

また、M&Aを用いた事業譲渡がどのように中小企業の後継者問題を解決することができるのかについても最後に見ていきたいと思います。

1.事業承継とは?

後継者問題に入る前に、まずは事業継承とは何かということを見ていきたいと思います。

事業承継とは現在経営している事業をどのように終えるのか、つまり事業の出口に関連するものです。

一般的に事業の終え方・出口には以下の四つの種類があると言われています。

  • 親族や社内の人物に事業を引き継ぐ事業承継
  • 社外への事業譲渡
  • 株式市場への上場
  • 廃業

本記事では上記の事業承継と事業譲渡について深く解説をしていきたいと思います。まずは事業承継についてです。

(1)事業承継の定義

事業承継の定義におけるポイントは「事業」と「承継」の二つです。まずは「事業」について見ていきましょう。

ここでのポイントは特定の資産ではなく、事業全体であることです。事業には、会社が事業を行なうために所有する資産もあれば、無形財産であるブランドなども含みます。また、資産だけでなく負債も事業の一部とみなします。一言でまとめるとビジネスを丸ごと指すのが事業となります。

次に「承継」についてですが、承継とは受け継ぐという意味を持ちます。したがって、現在の経営者がよく知っている親族や社内の人物に引き継ぐことを指しています。

したがって、事業承継とは、特定の後継者に会社で行なっている事業の一部または全部を受け継がせることであることがわかると思います。

(2)事業承継の目的

それでは、事業承継の目的とは何でしょうか。それは一言でまとめると、「事業自体を継続する」ためということになります。

人材が豊富にいる大企業であれば、あえて事業承継ということを考えなくても、次の社長や事業部長の候補が出てきますので、事業は継続されていきます。

一方、中小企業はどうでしょうか。人材が豊富な中小企業は少なく、社長が考えなくても事業が自然と継続されていくということは稀であると思います。

したがって、中小企業においてはこの事業承継をしっかりと考えて、事業の継続を行なっていく必要があります。

2.事業譲渡とは?

事業承継に続いて、事業譲渡について解説したいと思います。

(1)事業譲渡の定義

事業譲渡の定義を確認するには、事業承継と事業譲渡の違いについて理解いただくことが重要です。

それぞれの定義は様々なところで議論がされていますが、ここでは以下のように定義をしたいと思います。

事業承継:主に親族や社内の人物に事業を受け継がせること
事業譲渡:社外の企業に事業を譲り渡す・売却すること

したがって、この二つの違いは事業を渡す先であることが理解いただけると思います。また、事業渡し先が異なるため、そのプロセスについても大きくかわってきます。

その一方で、事業承継の際の後継者は上記定義の通り、以前は親族や社内の人物に受け継ぐことが多かったのですが、最近では社外へ受け継ぐことも増えてきています。したがって、近年では事業承継と事業譲渡の境目が薄くなくなってきていると言えます。

(2)事業譲渡の目的

事業譲渡の目的も事業承継と同様に「事業自体を継続する」ためです。ただし、その手順は全く異なります

事業承継と言った場合には、親族や社内の人物を次の社長候補として育成することが重要ですが、事業譲渡では譲り渡す先(企業)を探す必要があります。

3.事業承継と事業譲渡のメリット/デメリット

さて、ここまでで事業承継と事業譲渡の違い等を確認してきました。本項では、その違いによって発生するメリットとデメリットをそれぞれ確認していきたいと思います。

(1)事業承継のメリット

事業承継のメリットは、現在の経営者がよく知っている人に会社を受け継がせることが可能なことです。このことにより、現在の経営者は自分が育ててきた事業を安心して、次の世代に引き継ぐことができますし、一般的には引継も円滑に進めることが可能となります。

また、経営者だけではなく、一般的には現在の従業員も良く知っている人が新しい経営者になるため、従業員も安心して業務を継続することができます。

(2)事業承継のデメリット

一方で、事業承継のデメリットには、後継者探しが難航するケースが多いことが挙げられます。

先述の通り、一般的な中小企業では人手不足が常態化しています。その中で、今まで会社を引っ張ってきた現在の経営者にすぐに取って替われる人物は少ないことが多いです。

また、過去には自分の子供に引き継ぐケースが多かったのですが、近年ではこういったケースが減ってきています。これは、自分が経験してきた経営に関する苦労や個人保証といったものを自分の子供にはさせたくないという気持ちからあえて子供には渡したくないという経営者もおられるようです。

したがって、こういった状況を踏まえると、現在の経営者には後継者を育成することが求められてきます。限られた人材かつ限られた時間の中で、後継者を探して育成することには多くの困難が伴うことが予想されます。

(3)事業譲渡のメリット

事業譲渡ではM&Aの手法が用いられることが多く、そのメリットは早期に事業を譲り渡すことが可能な点です。

後継者探し・育成が必要となる事業承継と異なり、適切な譲渡先が見つかれば譲渡価格やその他の譲渡条件を確定して早期に実現が可能となります。早いケースでは譲渡先を探し始めてから数か月で譲渡が完了するケースもあります。

また、M&Aではケースによっては多額の売却金が手に入ることもメリットの一つです。当然ながらこれは現在の事業の価値によりますが、現在の事業を高く評価してもらえた場合にはこういったメリットも生じます。

最後のメリットとしては、事業の将来の発展性です。譲渡先も今後の事業の発展が期待できるため購入を決定しており、譲渡先の既存の事業との相乗効果により譲渡した事業自体の成長が期待できます。

(4)事業譲渡のデメリット

一方でデメリットとしてよく挙げられるのが、譲渡先探しが難航することです。現在の事業の状況によっては全く譲渡先が見つからないということも在り得ます。

また、無事に見つかったとしても、条件の合意がうまくいかないケースもあります。そのために、売却金額が低くなったりすることがあります。

従業員にとっても今までの雇用条件が守られる保証はありませんので、M&A後の自分たちの処遇について心配する人たちも出てくるかもしれません。

4.後継者問題とは?

近年、中小企業の多くで後継者問題が発生しています。

2019年に発表された帝国データバンクの「全国・後継者不在企業動向調査(2019年)」によると、この後継者問題について以下のことがわかります。
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p191104.pdf

  • 日本政策金融公庫によると60歳以上の経営者のうち50%超が将来的な廃業を予定
  • 上記のうち、「後継者難」を理由とする廃業が全体の約3割に迫る
  • 経済産業省の試算では、この後継者問題が解決しない場合、2025年頃までに最大約650万人の雇用と約22兆円分のGDPが喪失されるとされている

このように後継者問題は一企業の問題ではなく、日本経済全体の問題となっています。

この問題の根本的な原因で挙げられるのが、①少子高齢化による人材不足、②事業の将来性や負債等の事業自体の魅力の低さ、の二点です。

国としても中小企業庁を中心に事業承継時の税制優遇制度を導入する等の政策を打ち出してはいます。しかしながら、税制優遇だけでは問題の根本原因である上記の二点を解決することはできません。

したがって、上記の原因を解消して、後継者問題を根本から解決するには国の政策に頼るのではなく、一つ一つの企業の経営者が解決に向けたアクションを起こすことが非常に重要です。

その具体的なアクションの一つについて次の項で解説したいと思います。

5.後継者問題の解決手段としてのM&A

後継者問題の解決手段として、企業経営者が自分でできることが本記事で解説をしてきた事業承継や事業譲渡です。その中でも、特に近年発達してきている手段がM&Aによる事業譲渡です。

そのメリットやデメリットについてはすでに解説しておりますが、M&Aによる事業譲渡は後継者問題の二つの根本原因を解消することが可能となります。

まずは、少子高齢化による人材不足です。少子高齢化自体は日本社会全体が抱える大きな問題の一つですが、人材不足については濃淡があります。

つまり、企業の規模を問わず、若くて優秀な経営者はどこかに必ずいるということです。大企業だから人材が豊富、中小企業だから優秀な経営者がいないということではありません。むしろ経営者として優秀な方々は中小企業にこそいると言っても過言ではないと思います。

こういう優秀な方々を見つけて、事業を円滑に譲渡するのがまさにM&Aによる事業譲渡です。したがって、人材不足については、優秀な方を社外で見つけることで解決可能であると言えます。

次に、事業の将来性や負債等の事業自体の魅力の低さについてM&Aはどのように機能するのかを考えたいと思います。

こちらについてもM&Aによって解決が可能です。今まで事業が継続できていたということは、その事業を必要としている顧客がいることと同義であり、事業には存在価値があるということです。また、事業の魅力は見る人によっても異なってきます。

その事業を相乗効果が見込める事業と統合する、資本の大きい企業の傘下になることで財務基盤を厚くする、等の手段が取れるのがM&Aの魅力です。したがって、M&Aを活用することで事業自体の魅力の低さという問題も解決することが可能となります。

M&Aがどのように後継者解決に貢献できるのかがご理解いただけたと思います。

なお、M&Aの実施においては弊社をはじめとした多くのアドバイザリーファームがあります。そういったファームのサービスを活用することで多くの中小企業の経営者の方にM&Aを活用いただければと思います。

6.まとめ

今回の記事では事業承継と事業譲渡の解説を中心に、中小企業が抱える後継者問題について考えてきました。

中小企業の経営者の中には、自身の高齢化に伴い、会社もしくは事業の終え方を検討される方も多いのではないでしょうか。その際には多くの選択肢の中から適切な解決方法を見つけるのが難しいと感じる方も多いと思います。

本記事が中小企業の経営者の皆さまが抱える後継者問題を自分事と捉えていただき、その解決法を考える発端となれば幸いです。

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