テレビ番組などの映像制作、商品などの配送、そして広告プロモーションなど、ドローンはすでに様々な形で利用されはじめていますが、今後さらに、より様々な形で普及していくと予想されています。
というわけで今回は、日本のドローンスタートアップや、それらの会社が提供しているサービス(アプリ)、そして今後のドローン市場などについて紹介していきます。
ドローンを使った新規事業などを検討されている方は、参考になるものがないかチェックしてみてください。
1. ACSL・楽天
ACSLは「PF1」というドローンを開発したり、建物の点検、物流、災害対策のソリューションなどを提供しているスタートアップです。楽天とも協業していて、完全自律飛行型のドローンを活用した配送サービスの「そら楽」というサービスも提供しています。こちらのドローンはコントローラーでの操作を必要とせず、目的地に離陸して荷物を下ろし帰還するまで、すべて自動で行われる仕組みとなっているようです。
2. テラドローン株式会社
テラドローン株式会社は、ドローンを活用した土木・鉱山・森林の測量や、オイル・ガスの点検サービスなどを提供している会社です。提供しているサービスは、大きく以下の3つに分けられます。
Terra UTM:モニタリングやログ管理などを通して、安心・安全なドローンの運行を支援するためのサービス。
Terra Mapper:ドローンで空撮した写真をもとに、3次元データを生成したり解析するためのアプリ。
Terra Roofer:ドローンとアプリを利用し、屋根の点検をより安全かつ簡単に行うためのアプリ。
3. センシンロボティクス(SENSYN ROBOTICS)
センシンロボティクス(2018年に総額約12億円の資金調達に成功)は、ドローンを使ったソリューションを大きく6つ提供しており、それらは設備点検・災害対策・警備や監視などの様々な分野で活用されています。ソリューションの一部として、以下のようなサービスが提供されています。
(1) SENSYN DC(ドローンコミュニケーションサービス)
ドローンで撮影した映像を、リアルタイムで、遠隔かつ複数の拠点から閲覧し、それをもとにコミュニケーションが取れるサービス。このサービスを利用することにより、災害時に現地に行かなくても映像を通して状況を確認することができる。
(2) SOLAR CHECK(太陽光発電施設点検パッケージ)
ドローンを使って、太陽光パネルの撮影〜点検結果のレポート作成までを自動化するサービス。
(3) TOWER CHECK(鉄塔点検パッケージ)
ドローンの飛行、鉄塔の点検、レポートの作成までを自動で行うサービス。また実際にサービスを導入する前や、導入後の研修オプションも用意されていたり、ドローンの導入・活用を検討中の人に向けた相談・問い合わせにも対応しています。
4. トルビズオン
トルビズオンは福岡のスタートアップで、土地の利用許可を売買する上空シェアリングサービスの「sora:share」というサービスを提供しています。ちなみに「sora:share」は、ドローンを飛ばせる場所がなくて困っている人と、自分の土地の上空を新しい資産として活用したい人とを結ぶためのプラットフォームです。
ドローンユーザーは、一回ごとに料金を払うプランか、月額3000円で使い放題のプランのどちらかを選べるようになっています。また自分の土地の空を貸す側は、個人はもちろん、法人や自治体も土地を登録することが可能となっていて、1000円/30分で料金を設定した場合、1ヶ月に50時間貸し出しをすると、月額7万円の収入が手に入るシミュレーションになっているそうです。
5. 株式会社ナイルワークス
こちらのナイルワークスという会社は、農業用のドローンなどを開発している会社です。ナイルワークスが開発したドローンを利用すれば、薬剤散布と生育診断が同時にできるようになるといわれています。利用する農業用ドローンは、完全自動飛行で動くので、特別な操縦スキルなども必要なく、誰が作業しても同じように散布作業を行ってくれる仕組みになっているそうです。
また今後は、ドローンに掲載した生育調査用カメラで圃場(ほじょう)のデータを取得し、その診断結果に応じた最適量の農薬・肥料散布ができる仕組みの実用化なども目指しているとのことです。
6. 株式会社FLIGHTS
6つ目のFLIGHTSという会社は、全方位型のドローン企業を目指している会社で、写真測量やレーザー測量、太陽光パネル/外壁/屋根/インフラなどの点検、農業や空撮など、様々な領域に対応しており、提供している具体的なサービスも以下のように幅広い形となっています。
- ドローン販売サイト
- 産業向けドローンの運用代行
- 産業用ドローンを導入する際のコンサルや講習など
- ドローンに特化した保険
- ドローン関連のソフトウェア開発
7. 株式会社CLUE
株式会社CLUEは、ドローンのエンタープライズ向けソフトウェアを提供している会社で、現在は特に、屋根の外装を点検する「DroneRoofer」というアプリに注力しているようです。こちらのアプリを利用することによって、転落事故を0にしたり、大幅な生産性向上(現場でハシゴや足場を組む必要がなくなる)などが期待できます。
アプリの具体的な仕様に関してですが、Ipadでドローンを管理できる仕組みになっており、画面上で移動させたい場所をタッチするだけで操縦できる直感的な操作方法になっているようです。また、あわせて点検後の報告書も作成可能で、アプリ上で撮影した写真に直接コメントを書き込んだり、屋根の面積の計算ができる仕組みになっています。
※なお、DroneRooferは、ドローン本体、IPad、保険、サポートなどがすべてパッケージとしてまとまっているサービスです。
8. 株式会社Liberaware
株式会社Liberawareは、設備点検用の小型ドローンを開発している会社です。煙突・ボイラー内部、天井裏、エレベーターなどの点検業務に利用するドローンとなっており、映像・画像を撮影するだけでなく、それらの撮影データの保管・編集などもクラウド上からできるようになっているそうです。
ちなみにサービスのラインナップは、Liberawareの担当スタッフが代わりに点検現場に行って飛行撮影を行い画像や報告書などを作成するプランと、定額会員制レンタルプランの2種類となっています。
9. Full Depth
こちらのFull Depthは、業務用の水中ドローンを開発している会社です。主に深海探査・海洋調査向けのもので、現在水中300mまで潜行可能な「FullDepth DiveUnit 300」というドローンを自社開発のプロダクトとしてもっています。
また合わせて、水中ドローンをレンタルするサービスも提供しており、1日、1週間、1ヶ月、1年と幅広い日数のプランから選べたり、利用方法を教えてくれるオペレーターを派遣するオプションなども用意されています。
10. 株式会社エアロネクスト
株式会社エアロネクストは、4D GRAVITYという独自の重心制御技術(ドローンの重心を最適化する技術)を搭載した産業用ドローンや、ドローンを利用した様々なサービスを提供している企業です。
この 4D GRAVITYという技術は、一言でいうと「重心制御技術」のことです。この技術によってドローンの飛行姿勢や動作に応じてドローンの重心位置を最適化することが可能になっており、ドローンの基本性能の向上だけではなく、幅広い用途での開発を可能にすることにもつながっているとのことです。
もう少し詳しいことを記載すると、『4D GRAVITY®は、ドローン機体の中から飛行部と搭載部を物理的に分離し、ジンバルで結合することでそれぞれを独立変位させる「分離独立構造」に特徴があります。
従来機体は、傾けると重心が移動するので、一部のモーターに負荷がかかります。一方でエアロネクストの4D GRAVITY®︎搭載機体は分離構造なので傾いても重心が移りません。モーターが安定し、(機体の安定性だけでなく)エネルギー効率も改善します。結果的に、ドローンの抱える耐風性、信頼性、飛行時間、飛行速度といった課題を4D GRAVITY®︎によって解決することができます。』
4D GRAVITYを採用することにより、「燃費の向上」・「安全性の向上」・「機動性の向上」といった3つのベネフィットが得られるとされていて、具体的には、
- 橋の裏側のような、目視では確認することが難しい空間に、長い棒をつけたドローンを飛ばして点検すること
- 違う目的で飛行しているドローンを上空で合体させて、バッテリーを交換すること
が可能になるとされています。
エアロネクストが提供するサービスは、大きく以下の3つに分けられています。
フライングロボット:4D GRAVITYを搭載したドローンを使い、物流や点検などの領域で最適なソリューションを提供する事業。
エアモビリティ:ドローンの機体だけではなく、サービスや周辺サービスも含めた空路ビジネスプラットフォーム全体のプロデュース。
UAVコンサル:包括的なドローンに関するサービスや、ビジネスソリューションに関するコンサルティングサービス。
11. 九州ドローンサービス
最後に紹介するのは、スタートアップではなく、九州電力による取り組みで、ドローンを活用した空撮や、撮影したデータの加工作業などを事業化したものです。このサービスを利用することによって、建築物・設備・土地などをドローンを使って把握できるようになったり、PR動画の制作なども依頼できるとのことです。
▼参考資料:九州ドローンサービス(九州電力プレスリリース)
▼参考記事:過熱するドローン市場、急成長する日本のドローンスタートアップ(STARTUP DB)
12. 今後ドローンの市場はどうなっていくのか
政府や経済産業省も、「空の産業革命に向けたロードマップ ※」というものを作成していたり、次なる成長産業の中枢としてドローンを捉えているなど、ドローンの分野には特に注力しているそうで、今後まだまだ市場規模が大きくなっていくことが予想されます。(※市場の内訳としては、農業・検査・測量領域での利用が市場の70パーセントを占めるという予測もあります。ちなみに物流領域は市場の4パーセント程度しかないそうです。)
特に2022年を境に、ドローンが爆発的に普及すると予想されていて、市街地などの生活圏をドローンが飛び回っているような風景が日本でも見られるようになっているかもしれない、という意見もあります。
▼参考記事:ドローンを「日本再興」の起爆剤にードローンスタートアップ求人特集(AMBI)
▼参考資料:空の産業革命に向けたロードマップ2019(首相官邸政策会議)
▼参考記事:2022年国内ドローン産業別市場予測のグラフ画像(TechCrunch Japan)
13. 最後に
ドローンを使った新規事業を検討されている方は、新規事業の立ち上げ経験が多い企業や、機動力の高い企業をM&Aで買収して事業を立ち上げる方が、スピード感も速く、成功確率もUPする可能性があります。
パラダイムシフトは、IT領域に特化したM&Aアドバイザリーとして、ITやWEB業界に加え、ドローンやAIなど先端技術を扱う企業様ともお取引させていただいており、その中にはドローン技術を扱われる企業様もございます。
実際の事例一覧や、それぞれの事例のポイントなどはこちらのページから閲覧できますので、興味がある方は参考にしてみてください。
もしドローンやAIなどの先端技術を扱う企業様や事業についてご興味のある方や、こうした先端技術を扱う企業様で資金調達等をお考えの企業様は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。なお、弊社の料金体系として、着手金はかかりません。