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IT企業のジャンル別M&A事例を紹介 | 近年合併や買収が増えている

「IT企業の勢力図を知るために、M&A事例を見たい」「あの企業は過去にどんな合併をしたのか」などと気になっていませんか。IT企業ではM&Aが盛んなので、勢力図の変化を知るうえでの過去の企業同士の取引を知ることは大切です。

今回はIT企業のM&Aを基本から知りたい人のために、M&Aの定義やジャンル分けを踏まえつつ、有名な事例を紹介していきます。M&AからIT業界の変化が分かるでしょう。

1.M&Aとは何か

企業同士の取引の例を知る前に、M&Aの意味を知らない人はこの章で整理しておきましょう。企業の合併や買収を意味しますが、その目的が状況により異なることもポイントです。

(1).企業の合併や買収

M&Aとは、「Mergers & Acquisitions」の略で、会社同士の合併や買収を表します。世界中では今もさまざまな企業によるM&Aのニュースが報じられており、有名企業同士だと話題にもなるでしょう。

2つの企業がひとつになることは、「吸収合併」や「新設合併」という形で成立します。一方で買収は株式の譲渡や交換などで決まる形です。なかには「資本提携」として、企業の経営戦略のために会社同士が合体するケースもあります。

(2).事業の引き継ぎや会社の成長のためなど目的はさまざま

M&Aの目的は状況により異なりますが、主に以下の4つを覚えてください。

  • 後継者問題などを解決するために新しい会社に事業を引き継いでもらう
  • 新しい事業を成功させるために、その道に詳しい事業の協力を得る
  • 経営再建で成功している会社に助けてもらう
  • 個人やサラリーマンのライフプランを作り直すため、他の会社と合併する

近年盛んなM&Aには、人手不足や後継者問題の解決など切実なものもあります。一方で、新しい事業や商品の成功を目指して協力を求めるような前向きなパターンがあることもポイントです。M&Aのニュースを見たら、目的や各社の背景まで調べておきましょう。

2.近年はIT企業のM&Aが増えている

最近はIT企業による合併や買収の例が増えているのを知っていますか。近年のM&A増加には以下の3つの背景があります。

(1).M&A件数はリーマンショック後の景気回復から急増化

日本におけるM&A自体は2000年以降に活発になりました。2008年に起きたリーマンショックの影響で、多額の投資を嫌った会社が続出してM&Aの件数は少なくなったものの、時間が経てば再び増加に転じています。

2019年には年間で4000件以上のM&Aが成立するなど、現在の日本社会では企業同士の合併が常識になっています。IT業界でもM&Aのニュースが相次いでおり、今後も驚くような組み合わせによる買収や合併が実現するかもしれません。

(2).近年はお得な条件でM&Aが決まりやすくなった

近年はM&Aに使われる一件あたりのお金が少なくなっていることも、件数増加につながっています。IT業界でも、大手や中小を問わず多種多様な合併が成立していることが特徴です。

M&Aと聞けば、20億円や100億円のような支払いで会社を買い取るとイメージする人もいるでしょう。しかし実際は、近年において10億円未満で会社の買収が決まるケースが、IT業界のM&A全体でも大多数です。

(3).第4次産業革命を見据えたM&Aが多くなった

M&A増加の背景には、第4次産業革命を見据えたものも多くなっています。たとえばシェアリング・エコノミーやフィンテックといった第4次産業に関わる機械の開発が、現在のIT業界の課題です。

デジタル化が進む未来を見据えて、AIやロボット、デジタルシステムの開発を望む企業が多くなり、M&Aに乗り出すケースが増えています。

3.ジャンル別IT企業のM&A事例を知りたい人へ

IT企業のM&Aに関する情報を整理するため、ジャンル別に企業を分けたい人もいるでしょう。異業種によるM&A事例も多いといえますが、かかわった企業のどちらかで分類することが理想です。分類方法には主に以下の2パターンがあります。

(1).メインのサービス内容で分ける

M&Aに関わった事業が展開するメインのサービスで分けることは初心者向きです。IT業界ならインターネット、通信、ソフトウェアなど企業のイメージで分けてよいでしょう。

Googleやソフトバンクのように、IT分野だけで複数の事業を展開しているところもありますが、自身がいちばん強いと思ったイメージで分類すれば問題ありません。本記事のM&A例は、メインのサービス内容で分類しています。

(2).BtoBやBtoCなどのビジネスモデルでの分類も

業界だけでなくサービス形態による分類も考えられます。たとえば企業から企業へ商品を売るBtoB、企業からお客さんへサービスを提供するBtoCなどが代表的です。

メインのサービス内容だけでなく、形式で分けることにより、M&Aが成立しやすいビジネスモデルが見えてくるかもしれません。

4.インターネット業界

NECやNTTなど、インターネット業界では大手企業を中心に、積極的なM&Aが進んでいます。近年起きたもので有名な例を以下に2つまとめました。

(1).NECラテンアメリカとArcon Informatica S.A.

2016年にNECは、中南米支部であるラテンアメリカ社を通し、ブラジルのArcon Informatica S.A.を買収しました。ブラジルにおけるITサービス業界でNECの存在感を見せつける結果になり、事業強化を印象づけたといえます。

(2).NTTデータとシャープビジネスコンピュータソフトウェア

2016年にはNTTデータも、シャープビジネスコンピュータソフトウェアの株式の80%を譲り受けています。シャープ側ではスマートフォンの組み込みシステムなどを開発しており、IoTビジネスの拡大を見据えてのM&Aです。株式譲渡後の経営もNTTデータと共同になりました。

5.通信業界

通信業界でも楽天やKDDIなどが買収に関係しています。iPhoneのAppleや、Android端末のサムスン電子の勢いが目立っており、国内メーカーは後手に回っています。しかしM&Aによる勢力図の改善も見られるかもしれません。

(1).楽天モバイルとイノアイ

2020年に楽天モバイルはアメリカのイノアイを買収する計画を明かしています。イノアイはクラウドプラットフォームを使った作業を自動化するシステムなどを開発・提供している企業です。

楽天モバイルはこのときのM&Aで、ソフトウェア開発などの面でイノアイと協力する計画になっています。

(2).KDDIとイーオンホールディングス

2017年には通信大手のKDDIが、英会話教室でおなじみのイーオンホールディングスを買収しました。KDDIはAIやVRを使い、カリキュラムの最適化や英会話プログラムの開発などに乗り出す計画を明かしています。

6.情報処理サービス

情報処理サービス業界のM&A事例をまとめました。事業の発展だけでなく、経営体制の強化目的による合併も見られます。

(1).SHIFTとリアルグローブ・オートメーティッド

2020年にSHIFTは、リアルグローブ・オートメーティッドの株式を取得しています。リアルグローブはIT自動化ビジネスを展開しており、買収したのはその子会社です。営業力や人材戦略を高め、良質なサービス提供につなげる戦略のためのM&Aとされています。

(2).PALTEKとウィビコム

2018年にはPALTEKがウィビコムの株式を取得しています。PALTEKはメモリなどの半導体のメーカーで、ウィビコムは無線通信の設計開発技術を展開しています。PALTEKがウィビコムの技術協力を得て、IoTビジネスなどに役立てる方針からのM&Aでした。

7.ソフトウェア業界

近年盛り上がっているクラウドサービスなどのさらなる発展のため、ソフトウェア企業がM&Aに踏み出す事例もあります。

(1).ソースネクストと筆まめ

2017年にソースネクストは株式会社筆まめの買収を決めました。ソースネクストはソフト・ハードウェアの企画開発をメインに展開しています。筆まめははがきや年賀状をパソコン上で作るソフトウェアを作る企業で、同社の経営基盤強化を目指したM&Aになりました。

(2).AppleとLala

iPhoneでおなじみのAppleは、2009年に音楽サービスのLalaを買収しています。Appleでは「iTunes」というブランドのもと、音楽のダウンロードや購入サービスを展開しており、Lalaのノウハウを生かして現在も発展を続けている状況です。

2018年にはApple Musicなどが話題になり、音楽事業でもAppleは波に乗っています。

8.ハードウェア業界

ハードウェア業界でも有名企業を中心にM&Aが進んでいます。この章ではソフトバンクとシャープの例をまとめました。

(1).ソフトバンクとARMホールディングス

ソフトバンクは2016年にイギリスの半導体メーカーであるARMホールディングスを買収しています。携帯電話を中心に快進撃を続けるソフトバンクは積極的に事業拡大を続けており、今後も大型買収を決めれば話題になるでしょう。

(2).シャープと東芝

2018年にシャープは東芝のパソコン事業を買収しています。2016年にシャープは経営不振からの改善のため台湾の鴻海精密工業グループに入りましたが、2018年のM&Aで一度撤退していたパソコン事業に再び参入しています。

9.まとめ

以上、IT業界におけるM&Aを業界別にまとめました。大手企業を中心に、過去数年だけでもさまざまなM&A事例が発生しており、業界の変化の速さを実感するでしょう。

M&Aの目的も事業の発展に限らず、人材の改善や技術の獲得など、さまざまな組織の考えが見て取れます。今回の記事を参考にM&Aの背景や、決まった当時の各企業の状態を確かめてみましょう。

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