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ゲームの対象年齢を決める「CERO」とは? 北米、欧州、アジアなどの海外の審査との違いも紹介

ゲーム商品のパッケージなどにある「CERO」の意味が気になりませんか。ゲームの倫理審査に基づいた年齢区分を決めるグループで、彼らが定める基準は国民が健全に遊ぶうえで大切です。CEROの意味を知ることで、正しくゲームを楽しむヒントを得られるでしょう。

今回はCEROを基本から学びたい方のために、定義や仕組みを紹介します。海外のゲーム倫理審査との違いも挙げるので、CEROの位置づけや全体像がさまざまな観点から分かるでしょう。

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1.CEROとはゲームの対象年齢を審査する組織

CEROとは、日本におけるゲームの対象年齢などを審査する特定非営利活動法人です。正式名称は「コンピュータ・エンターテインメント・レーティング機構」と呼びます。2002年6月に発足しました。

公式サイトによると家庭用ゲーム機の急速な発展や年齢層の拡大により、刺激的な内容や表現による青少年への影響が懸念されるようになったことが、CERO立ち上げの背景のようです。

CEROが適切な対象年齢を審査し、多くの人が健全にゲームを楽しめる基準をアピールすることで、消費者がゲームを選びやすい状況ができています。現在ではほとんどのゲームがCEROの審査を受けるなど、絶大な影響力です。

2.ゲーム業界におけるCEROの役割とは?

CEROのゲーム業界における主な役割は対象年齢の評価ですが、基準は難易度ではなく表現内容です。ただしCEROの決定は法的拘束力がなく、評価はあくまでも目安に過ぎません。それでも特定の年齢にとって適切なゲームを知るうえで、CEROは重要な存在です。

(1).評価は5段階

CEROは、ゲームの対象年齢について5段階に評価を分けており、パッケージの表面にマークとして示してあります。以下が評価の仕組みです。

評価 対象年齢
CERO A 全年齢
CERO B 12歳以上
CERO C 15歳以上
CERO D 17歳以上
CERO Z 18歳以上

CERO Aは子どもから大人まで楽しめるゲームを意味しており、Nintendo Switchの『あつまれ どうぶつの森』や、マリオシリーズの多くの作品などが当てはまっています。

一方でCERO Zのように対象年齢が高いという評価は、暴力や犯罪など刺激の強い表現を含んだゲームが多数です。

(2).表現内容が評価基準になる

CEROが対象年齢のために定めた審査基準は、ゲームの表現内容であり、難易度など技術的な要素は関係ありません。

アダルトな表現、殺人や暴力など犯罪的な演出、出血や人体破壊をともなうホラーな描写、差別的な表現、社会思想など、CEROはゲーム画面に映る内容からさまざまなポイントをチェックしています。

CEROが重視するのは、ゲームの内容がかもし出す雰囲気です。特に子どもに刺激が強いと考えられる作品は対象年齢が高くなりがちでしょう。

(3).ゲームメーカーにCEROへの加盟や審査は義務化されていない

多くのゲームメーカーはCEROの審査を受けていますが、加盟や審査は義務になっていません。CEROと関わらなくてもソフトの発売は可能です。

ゲームメーカーは自主的にCEROに審査を頼んでいるだけで、チェックなしで発売したからといって違法の指摘を受けることはありません。

ただし対象年齢などの目安がないと、子どもが入手して過激な表現に悪影響を受ける可能性があるでしょう。メーカーにとってもターゲットの年齢層が分からなくて売り上げにつながらないリスクも考えられます。

以上から大手ゲームメーカーのほとんどは自発的にCEROに審査を依頼している状況です。

(4).CEROの評価に法的拘束力はない

CEROが定めた対象年齢などの基準は、原則として自主規制に基づいています。対象年齢以外の人物がプレイしたからといって、法的に問題になることはありません。

たとえばCERO Cは15歳以上が対象ですが、15歳が買って13歳の弟が一緒にプレイしたとしても、罰則は発生しません。

しかしCERO Zは18歳以上対象だけでなく、他のレーティングの商品と離れた場所で販売する必要があります。18歳未満に売ると罰金刑が出るので、販売者側は注意です。

CEROの評価は一部を除き法的拘束力がないので、ゲーム業界が定めた自主規制のガイドラインとイメージしましょう。

3.対象年齢以外の評価基準もある

CEROには対象年齢以外の評価基準もあります。「コンテンツディスクリプターアイコン」という作品内容を示したジャンルや、教育系の内容、審査予定など特殊な事情を示すマークをパッケージに示す作品もあると覚えましょう。

(1).コンテンツディスクリプターアイコン

コンテンツディスクリプターアイコンは、ゲームの作品内容における特定の演出ジャンルを示したマークです。

主にパッケージの裏側に示してあり、CEROが定めた対象年齢の根拠にもなります。恋愛や暴力、ホラー、犯罪に関わる9つのアイコンに分かれており、子どもなどがプレイするときの注意喚起の役目です。

(2).特殊なマークを設けることも

対象年齢やコンテンツディスクリプター以外のアイコンを示したゲームもあります。以下の3つのマークが当てはまります。

マーク 意味
教育・データベース データベースや教育目的のソフト
規定適合 製品化前ソフトを対象に、CEROが定めた禁止表現がないと判定を受けている。正式なレーティング審査とは別
審査予定 製作中ソフトの宣伝用販促物などが対象で、正式なレーティング審査が済んでいない

以上のようにCEROは、ゲームソフトやメーカーの事情に合わせ、さまざまなマークを使い分けています。

4.CEROの審査の仕方とは?

CEROではゲームメーカーの依頼を受けることで審査がスタートし、メーカーが結果にもとづいて対象年齢を決めます。審査を行うのはゲーム関係者ではない一般人であるなど、公平性を期すこだわりもうかがえます。

(1).依頼から審査まで

ゲームソフトを扱うメーカーがCEROに依頼してから審査準備です。依頼を受けた作品のために審査メンバーを用意し、表現内容などのチェックしてもらい、年齢区分などの審査結果を決めます。

評価対象となる表現項目は27で、CEROが定めた禁止表現があるとレーティングを与えません。CEROはソフトウェアメーカーに審査結果を知らせ、メーカーはパッケージにCERO指定の年齢区分アイコンを貼れます。

(2).審査員にもルールがある

CEROでは審査員にもルールを設けています。ゲームの対象年齢を審査するのは一般から募集した20代~60代ですが、職業はバラバラで、ゲーム業界と関係がある人は審査に参加できません。

参加者の年代や性別も偏らないようにするなど、公平性に配慮している他、審査メンバーは登録制です。審査中に知りえた内容には守秘義務があり、他人に話してはいけません。

CEROが定めた審査員のルールは、ゲームと関係のない一般の人の目にさらすことで、発売後を見据えているのでしょう。公平なチェックのために、ランダムに指定された人の感想を重要視しているととれます。

5.海外の主なゲームレーティングシステム

海外でもCEROのように、さまざまな国でゲームレーティングシステムを定めています。この章では特に有名な海外のゲーム審査組織と、それぞれが定めている基準をまとめました。

(1).韓国「GRAC」

GRACとは「Game Rating and Administration Comittee」の略で、「ゲーム物管理委員会」と訳します。日本と違って法的な拘束力があり、対象年齢以外の人物にゲームを提供すると刑事罰を受けることがあります。

ゲーム物管理委員会では、対象年齢別に色分けしたマークが特徴です。

マークの色 対象年齢/意味
全年齢対象(ALL)
12歳以上
黄色 15歳以上
18歳以上
オレンジ 試験用(TEST)
黄色 公共目的

<法令参考>
Game Industry Promotion Act

Enforcement Decree of the Game Industry Promotion Act

(2).アメリカ・カナダ「ESRB」

ESRBは「Entertainment Software Rating Board」の略で、アメリカやカナダなど北米で発売を受けるゲームを対象にしています。小売店が対象年齢以外の人物にゲームを販売しないよう自主規制してもらうための基準です。

ESRBにおけるAOは、日本のCEROでは禁止表現があるゲームに相当するとして、輸入できません。

評価 対象年齢/意味
eC 幼年代以上(Early Childhood)
E 6歳以上(Everyone)
E10+ 10歳以上(Everyone 10+)
T 13歳以上(Teen)
M 17歳以上(Mature)
AO 18歳以上(Adult Only)
RP 審査予定または審査中(Rating Pending)

(3).ヨーロッパ「PEGI」

PEGIは「Pan European Game Information」の略で、「汎欧州ゲーム情報」という意味です。ヨーロッパのさまざまな国を対象にゲーム審査を行っており、北米のESRBに次ぐ世界的な影響力があります。ただしドイツはPEGIではなく、後述の「USK」が独自基準で審査を行っています。

対象年齢は以下の5段階で、対象となる最低年齢の数字を書いたマークを示すシンプルな形です。

  • 3歳以上
  • 7歳以上
  • 12歳以上
  • 16歳以上
  • 18歳以上

(4).ドイツ「USK」

ドイツのUSKとは「Unterhaltungssoftware Selbstkontrolle」の略で、「ソフトウェア事前審査機構」という意味です。前述のPEGIとは違い、ドイツ独自の基準でレーティングを決めており、対象年齢を以下の5段階に分けています。

  • 全年齢(0)
  • 6歳以上
  • 12歳以上
  • 16歳以上
  • 18歳以上

(5).スマートフォン向けの「IARC」

IARCとは「International Age Rating Coalition」の略で、スマートフォンを使ったアプリゲームを中心に審査する国際組織です。

2013年設立と歴史は浅いですが、世界中のゲームを対象にしているため、IARCの審査をクリアできればワールドワイドに配信できるとして業界で好評を受けています。マークは最低の対象年齢の数字に「+」をつけたシンプルな形で、評価ルールは以下の5段階です。

  • 3歳以上
  • 7歳以上
  • 12歳以上
  • 16歳以上
  • 18歳以上

6.まとめ

CEROは日本で販売されているゲームの対象年齢などを評価するシステムです。法的拘束力はありませんが、一般人に審査をまかせるなどの公平性にこだわっており、メーカーによる自主規制の目安として重宝を受けています。

海外でも先進国を中心に対象年齢の評価システムが確立していますが、中には韓国のように違反すると罰則を受けるケースもあるなど、世界的に対象年齢評価のあり方はさまざまです。

あらゆる世代がゲームを楽しむ現代では、CEROのように健全に楽しめる年齢を決める指標が欠かせません。

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