今回の記事ではスリープテックにまつわる製品やサービスを14個ピックアップして紹介していきます。スリープテックの分野に興味をお持ちの方は参考にしてみてください。
1. スリープテックとは
スリープテックは、睡眠の「Sleep」とテクノロジーの「Tech」をかけあわせた造語のことで、眠りの質を高め、快眠を促すための製品やサービスなどを表します。
眠りの質で悩んでいる人は一定数おり、世界的な家電見本市でもスリープテックのエリアが設けられるなど、スリープテックはここ最近注目を集めているジャンルのひとつとなっています。
ちなみに世界市場規模は、2014年に580億ドル(約6兆5820億円)と評価され、20年にはさらに成長して800億ドル(約9兆785億円)にまで達するという予測もあり、国内の潜在市場も数兆円規模にのぼるといわれています。
データ参照:
https://wired.jp/2018/12/01/sleep-technology/
2. スリープテックにまつわる製品やサービス / 14社の事例を紹介
ここからはスリープテックにまつわる製品やサービスを紹介していきます。
(1)Active Sleep
パラマウントベッドが開発する「Active Sleep」は、その日の体調によって自分にちょうどいい入眠角度を自動調整してくれるベッドです。ベットの背中の角度を少し上げるだけでも、呼吸が楽になり、入眠しやすくなる効果があるようです。
他にもマットレスの硬さを、体の6つの部位ごとに分けて調整できる機能があったり、スマホのアプリと連携させて、その日の眠りの質を可視化して教えてくれる機能などもあります。
(2)leeBIZ(リービズ)
「leeBIZ(リービズ)」は、スマホアプリを使用した、従業員のための、3ヶ月間の睡眠週間デザインプログラムです。ニューロスペースという会社が、70社・1万人以上の睡眠改善を通して得たデータやノウハウをもとに、スマートフォンアプリを通じて、一人ひとりに良い睡眠をとるための改善プランを提案してくれます。ちなみに睡眠状態の計測は専用のSleepセンサーを使用して行われる形となっています。
またSleepセンサーやアプリを使用した改善提案と並行し、睡眠に関する研修やワークショップ等も行っているようです。
https://www.neurospace.jp/service/leebiz
(3)ねむりの相談所®
「ねむりの相談所」は、寝具メーカーの西川が提供している、眠りの疑問や悩みを解決してくれるカウンセリングサービスです。「スリープマスター」という名の眠りのプロが、お客さんの眠りについてヒアリングしたり、専用の機器を利用して睡眠状況を計測したりすることを通して、一人ひとりにあった睡眠環境を提案してくれる形となっています。
ちなみに、睡眠状況を計測する際は、1〜2週間身に付ける専用の活動量計(睡眠時間・体の向き・睡眠の質などを計測)と、自分の寝室がぐっすり眠れる環境かどうかチェックする寝室チェックシステムというセンサー(温度・湿度・照度・音圧の4つを測定)を使用するとのことです。
(4)autosleep
「autosleep」はapple watchを使って睡眠状況を記録・管理できるアプリです(有料で価格は490円)。ちなみにヘルスケア / フィットネスのカテゴリーで1位を獲得しており、App Storeのベスト・オブ2018、2019も受賞しています。
ボタンの操作などがいらず、apple watchを付けて寝るだけで睡眠時間・深い睡眠時間・良質な睡眠時間などを計測し、フィードバックを与えてくれる仕組みになっています(もしくは、apple watchを充電器の上に載せておいて、起床時にiphoneかapple watchを付けるという形でもOK)。
また新機能として、眠りの浅い時に振動で目覚められるようにする「スマートアラーム」という機能も追加されています。
(5)Oura Ring
「Oura Ring」は、オウラというフィンランドの会社(Googleなどの複数の会社からの資金調達にも成功)が開発している、指に装着するタイプのスマートリングです。計測データはスマホでチェックする形となっており、睡眠時間・睡眠の深さ・眠るまでの時間など、様々な項目が計測できます(ただしまだ日本語には対応していないとのこと)。
スマートウォッチ型の機器とは違い、通知を気にする必要がない事や、腕に付ける必要がないので邪魔にならない、また睡眠に関する分析の質が特に高いといった声もあります。
ちなみに価格は少し高めで、$299、$399、$999のいずれかから選ぶ形になっています。
(6)Somnox
「Somnox」は呼吸するように動きながら、心地よいセラピーサウンドを発し、利用者をリラックスさせる睡眠ロボットです。枕のような小型ロボットを抱き抱えて眠ることで、快眠を促す形になっています。
具体的には、Somnoxが、利用者の呼吸のリズムをガイドする形になっており、睡眠ロボットの呼吸リズムに自分の呼吸を適応させることによって次第にリラックスしていき、落ち着きが得られるようになっています。
ちなみに1週間、500人以上の人を対象に効果実験を行っており、参加者の90%の人が「より早く眠れた」と回答し、70%の人が「より良く眠れた」と回答しているようです。
https://meetsomnox.com/sleep-robot/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000021528.html
(7)NEWPEACE
「NEWPEACE」は、動き・温度・AIの3つのアプローチで理想の睡眠へと導く、モーションマットレスです。睡眠に関するデータを元に、頭や足の高さを調整したり、お腹や足の体温変化をサポートするなどして、理想の眠りに導く形となっています。
AIは、こういった動きや温度を調整する役割も果たしており、スマートセンシングで取得した利用者の睡眠データをもとに、よりよい睡眠につながるようサポートする仕組みになっています。
ちなみに記録された睡眠データはスマホを通して閲覧することが可能となっており、自分の睡眠の特徴を把握できるようにもなっています。
(8)ディープスリープヘッドバンド
「ディープスリープヘッドバンド」は、Philipsが開発する、頭に装着するタイプの睡眠補助デバイスです。ヘッドバンドを装着して脳波から深い睡眠状態の時を検知し、その時にオーディオトーンを流して、深い睡眠状態の質をさらに高めるという目的のもと、開発されたそうです。
ちなみに世界的な医師・科学者と共に、トータルで14年の月日をかけて開発がおこなわれており、「昼食後の眠気がなくなった」「こんな目覚め数年ぶりに感じた」など、実際に利用したユーザーの72%が2週間までに効果を実感しているというデータもあります。
また専用のアプリとも連携可能で、睡眠状態や深い睡眠の持続時間も把握できるようになっています。
https://www.philips.co.jp/c-e/hs/smartsleep-deep-sleep-headband.html
(9) Climate360
「Climate360」はアメリカのSleep Number社が開発するスマートベッドです。マットの温度と硬さを、AIや機械学習によって調整することで快眠を促す製品となっています。
ちなみにマットレスにはベットを温める機能と冷ます機能の両方があり、より深い睡眠が取れるように、睡眠サイクルに応じて温度を自動調整する仕組みになっているとのこと。また自分ひとりだけでなく、カップル2人で利用することも可能となっています。
こちらも、睡眠時間などのデータをアプリで閲覧することが可能となっています。
https://www.sleepnumber.com/ces
(10)睡眠カフェ×ゼロジム 出張眠らせ隊
「睡眠カフェ×ゼロジム 出張眠らせ隊」は、ネスカフェ・NPOまちづくり大井・疲労回復専用ジム「ZERO GYM」を運営する株式会社ビジネスライフの3社が共同で実施している、日中の昼寝を推奨するプログラムをレクチャーするサービス。
昼食前にカフェインを含むコーヒーを飲む「コーヒーナップ(15分程度の短い昼寝の前にコーヒーを飲むこと)」と、ゼロジム考案の昼寝の質を高める運動を組み合わせたプログラムを、大井町周辺の企業にレクチャーする形となっています。
大井町周辺の企業を対象に始めたプログラムですが、今後さらに多くの企業での展開を目指しているとのこと。
https://www.nestle.co.jp/sites/g/files/pydnoa331/files/2019-08/20190809_nescafe.pdf
(11)Dreem
「Dreem」はヘッドバンド型の睡眠補助デバイス。利用者の脳と体から、何十億ものデータを収集して記録し、それをもとに改善につなげていく仕組みとなっており、他の製品とは違い、wi-fiやBluetoothなどを使用しないことも特徴です。
またデータを測定するデバイスの提供だけでなく、訓練を受けた専門家から電話で睡眠データをもとにしたアドバイスも貰えるようになっています。
全体の91%のユーザーが、より早くより簡単に眠れるようになったという結果や、眠りにつくまでに30分以上かかったユーザーの眠りにつくまでの平均時間が21分短くなった、という結果もあるとのこと。
(12)Sana Sleep
「Sana Sleep」は不眠症を解消するゴーグル型のデバイス。音と光をつかって、脳の特定の動きを引き起こすデバイスとなっており、そこからリラックスモードに入っていけるような仕組みになっているとのこと。
ちなみに音や光は、計測した脈拍や呼吸をもとに自動調整できるようになっており、ゴーグルをかけてから10分以内には眠りに入れるようになっているとのこと。
https://jp.techcrunch.com/2017/05/30/20170526sana-health-raises-1-3-million-to-hack-insomnia-with-smart-goggles/
https://www.sana.io/
(13)SleepScore
「SleepScore」は睡眠状況を分析し、改善につなげるためのアドバイスをくれるスマートフォンのアプリ。スマートフォンのマイクとスピーカーを利用して、呼吸数と体の動きを測定するとのこと。
スコアを通し、睡眠状況がどのように改善されているか確認することも可能で、睡眠時間だけではなく、浅い睡眠、深い睡眠、レム睡眠などの内訳も確認できるようになっています。
ちなみにアプリはiosとAndroidの両方に対応しています。
https://www.sleepscore.com/sleepscore-app/
(14)Casper
「Casper」はアメリカに本社を構える企業。マットレス、ベッド、ベッドの横におくランプなど、睡眠に関する様々な商品を扱っており、D2C業界で上場したスタートアップ企業としても注目されています。
上で紹介したような睡眠家具だけでなく、睡眠環境を改善するためのあらゆるグッズを販売する企業とされており、スピーカーや、足を温めるフッドパッドなどもつくっているようです。
https://wired.jp/2019/03/19/casper-glow-light/
https://casper.com/
3. さいごに
スリープテックへの参入を検討しているが、社内にリソースがないという方、もしくは新規事業を進める際にアドバイスが欲しいという方は、パラダイムシフトのサービスをチェックしてみてください。
パラダイムシフトは、IT領域のM&Aを得意とする会社で、M&Aのサポートの他、新規事業開発のサポートサービスも提供しています。