今回は、AIというテーマにちなんで、ペッパー君とワトソン君の違いや、それぞれのビジネスでの活用例について紹介していきます。
なおワトソン君の活用事例と一緒に、AIとコグニティブ・コンピューティングの違いなどについても紹介していきますので、AIについて情報収集している方は参考にしてみてください。
1. ペッパー君とは?
すでにご存知の人も多いと思いますが、ペッパー君はSoftbankのAIロボットです。店舗や役所での受付対応などはもちろん、家庭での利用や教育の分野など、様々な場面で活用されています。
(1) 2019年4月に新しくアップデートが行われる
ペッパー君は、2015年にリリースされてからすでに何年も経っている製品ですが、2019年4月に新しくアップデートが行われ、家庭用向けのペッパー君は「 Pepper for Home」という新しいモデルで発表されました。このアップデートによって会話機能が強化されておしゃべり上手になり、自然応答率が7倍にまでUPした(※)とも言われています。
※ 自然応答率が7倍と言われてもピンとこない人が多いと思いますが、今までは1往復で終わる会話が多かったのが、アップデートによってキャッチボールが10回以上続くようになったといわれています。
▼参考記事:人型ロボ「Pepper」が劇的に“話し上手”になった!どんなやりとりができるのか聞いてみた
(2) ビジネス活用例:アクアレンタカーの事例
レンタカーを借りる際の重要事項の説明をペッパー君が担当し、従業員の業務を平均1日5時間削減することに成功したとされています。
(3) ビジネス活用例:ネスレ日本株式会社の事例
コーヒーマシーンの販売促進にペッパー君を活用することで、コーヒーマシーンの紹介だけでなく、コーヒーの嗜好を会話から分析して最適なコーヒーマシーンを勧める診断アプリの提供、アンケートの実施、通りかかった際に子供が興味を持つなどすることにより、売り上げを15%UPさせることに成功したとされています。
(4) ビジネス活用例:ジョイポート南淡路株式会社の事例
乗船客数が前年と比較し、子供は180%、大人は150%にUPしたとされています。その理由としては、設置する前までは、位置の関係上クルーズ船の存在がしっかりと認知されておらず、集客に苦戦していましたが、より人通りの多い所にペッパー君を設置しアピールしたことが成果につながったそうです。
また日・英・中の3ヶ国語に対応することで、外国人観光客の方への対応についても改善されたそうです。
▼その他、ペッパー君のビジネスでの導入事例はこちらページに一覧でまとまっていますので参考にしてみてください。
https://www.softbank.jp/robot/biz/case/(ソフトバンク公式サイト)
2. ワトソン君とは?
ペッパー君とは別に、ワトソン君というものもありますが、こちらはペッパー君のようなロボットではなく、ペッパー君に掲載されている頭脳になります。
2006年にIBMによって開発された仕組みで、自然言語での会話を理解し、必要な情報をすぐに得られることが強みといわれています。
すでに実際のビジネスでの活用事例もあり、ソフトバンクの「Softbank Brain(※1)」というアプリや、西原商会の「おしえてカイくん(※2)」というシステムなど、様々な方法で利用されています。
※1 Softbank Brain
法人営業を担当する社員のスマホにインストールされているアプリ。提案を行う予定の企業名をBrainに伝えると、顧客に応じて適切な提案書などを提示してくれる機能などがある。
※2 おしえてカイくん
食材卸専門商社の西原商会が導入しているシステム。システム導入までは、情報提供や調査を別部署に依頼しても回答を得るまでに時間が長くかかってしまうなど問題を抱えていたが、ワトソン君を搭載した「おしえてカイくん」を新たな導入することにより、「おしえてカイくん」に口頭で質問するだけで、必要な情報を瞬時かつ網羅的に抽出できるようになり、提案力の向上につなげることができた。
▼参考記事:【IBM Watson活用事例】AIが営業担当の提案力を支える西原商会(ソフトバンクのビジネスWEBマガジンFUTURE STRIDE)
3. AIとコグニティブ・コンピューティングの違い
AIとは別に、コグニティブ・コンピューティングという仕組みもあり、今回紹介したIBMのワトソン君は、厳密にいうと、あらゆる言語を理解・学習することで、人間の意思決定を支援する「コグニティブ・コンピューティング・システム」と定義されています。
それぞれの違いは以下のように整理できます。
【AI】・・・ 人が行う作業をコンピューターによって代替する仕組みのこと。
【コグニティブ・コンピューティング・システム】・・・ 人が行う作業をよりよくするためにサポートする仕組みのことで、科学の発展ではなく、あくまでも人間の支援を目的にしたもの。
上で紹介した「Softbank Brain」と「おしえてカイくん」は、両方ともに、あくまでも営業社員が提案を行う際のヒントや資料を提案してくれるものなので、AIではなく、後者のコグニティブ・コンピューティング・システムになります。
4. さいごに
パラダイムシフトでは、IT/WEB業界の企業のM&Aを多く担当しており、AI開発企業様とも多く取引を持たせていただいております。AIを活用した新サービスの開発を計画している方や、自社のIT部門を強化したいと考えている方は、新たに人材を採用するよりも、M&Aによって一気にリソースとノウハウを確保する方が、効率が良い可能性がありますので、ぜひ一度弊社にご相談ください。
▼パラダイムシフトのM&Aの事例
http://paradigm-shift.co.jp/services/case_list/
ぜひ参考にしてみてください。