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コロナ禍における資金調達方法の解説

新型コロナウィルスの急速な感染拡大は、世界中が経済活動を止めざるを得ない状況になりました。その結果急速に資金繰りが悪化する企業が続出したのです。日本政府もこの状況をふまえて資金繰りを支援する様々な施策を実行しました。また企業の資金繰りに影響の大きい業界では無利子での融資や支払を猶予するサービスが行われたのです。

この記事ではこれまでに政府や企業が実施したコロナ禍における資金調達法を解説します。また補足として持続化給付金の不正受給について解説します。

1. 新型コロナウィルスによる緊急事態宣言で経済活動が止まった

2019年後半から中国の一部地域で新種のウィルスによる感染症が広がっていることが分かりました。そして2020年に入って多くの中国人が渡航していた地域を中心に新型ウィルスによる感染が拡大したのです。

これによって世界各国は海外の渡航を制限し、国民の外出や移動を大幅に制限する施策を実施しました。その結果経済活動も大幅に縮小され、多くの企業に大幅な売上の低下をもたらしたのです。

2. 政府は企業や個人事業主の倒産を防ぐため矢継ぎ早な施策を行った

このような事態で企業の資金繰りは急速に悪化しました。そのため経済の崩壊を危惧した政府は臨時の資金調達政策を次々と実行していったのです。例えば以下のような政策が実際に行われています。

(1) 特別定額給付金

令和2年4月20日、政府は新型コロナウィルスによる経済活動停止に伴う家計支援の施策として特別定額給付金を閣議決定し、実行されました。実施においては市区町村が主体となって各世帯主に対して1人あたり10万円を給付されたのです。

この施策は個人に対するものですが、企業にとっては給与の支払えない従業員への救済策としての効果がありました。また個人事業主は減額した収入を補填することになったのです。

(2) 持続化給付金

経営体力の弱い中小企業や個人事業主に対して、政府は臨時の給付金として「持続化給付金」を施策しました。持続化給付金の給付対象は売上が前年同月比の半分以下になった中堅・中小企業や小規模事業者、そして個人事業主(フリーランス含む)です。

この給付では最大200万円(中堅・中小企業、小規模事業者)もしくは100万円(個人事業主・フリーランス)となっています。そして確定申告書や売上台帳などを用意して申請すれば受給可能です。

(3) 家賃支援給付金

新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が5月に入っても延長されたことに合わせて、政府はさらなる資金繰りの支援策を講じました。それは「家賃支援給付金」と呼ばれ、売上減少が続く事業に対して家賃や地代を支援する施策です。

給付の対象は資本金10億円未満の企業・法人、そして個人事業主やフリーランスです。同年5月から12月のうちで前年同月比50%以下の月があるか連続する3ヶ月において前年同期比30%以下になると給付を受けることができます。

なお申請には賃貸に関する契約書や、支払実績を示す書類が必要になります。そして法人で最大600万円、そして個人事業主には最大300万円の給付を受けることができるのです。

(4) 持続化補助金(コロナ特別対応型)

持続化補助金とは小規模事業者などを対象に、今後変化するとされる制度変更に対応するための資金を補助する制度として始まりました。そして新型コロナウィルスによる経済活動の停止を受けて、販路開拓に向けた感染予防の対応費用を補助することになったのです。

補助金の上限額は取り組む費用の2/3もしくは3/4まで、上限額は100万円までとなっています。さらにガイドラインに従って感染予防対策に取り組めばさらに50万円を上限とした補助を受けられるのです。

(5) 雇用調整助成金の特例措置

雇用調整助成金も元来は景気の悪化で資金繰りの悪化した企業向けに制度化されていました。この制度を新型コロナウィルスによる経済活動停止に合わせた特例措置として施行されたのです。

この助成金は新型コロナウィルスの感染予防で売上や生産量が低下し、かつ労使間で協議し、休業手当を支給する企業であれば全て対象になります。また支給額も労働者1人あたり1万5000円を上限に、中小企業であれば満額支給されることがあるのです。

(6) 医療・介護施設向け

新型コロナウィルスは感染症であったため、感染者や高齢者を引き受ける医療介護業界に多大なる影響を及ぼしました。そのため政府は医療介護の事業者向けに慰労金の交付を実施したのです。

ア. 新型コロナウィルス感染症対応従事者慰労金交付事業

医療機関の従事者は新型コロナウィルス感染のリスクと直面しつつ、他の患者への対応を最小限にしたために収益は低迷してしまったのです。このような現状に対して政府は、全国の医療機関従事者に対して1人あたり5万円から20万円の定額給付を実施したのです。

イ. その他感染防止策の支援

その他、医療機関が新型コロナウィルス感染予防のために設備投資を行った場合70万円から200万円以上の補助を実施しました。さらに小児科や産婦人科、そして救急救命センターなどへは2000万円からの補助をすることにしたのです。

ウ. 介護サービス事業所・施設等における感染症対策支援事業等及び職員に対する慰労金の支給事業

介護事業に関しても高齢者の集団感染を防ぐ目的で、活動自粛を余儀なくされました。そして医療機関同様、感染リスクに細心の注意を払いつつも収益不足に陥っていたのです。これに対して政府は介護事業所の再開(1利用者あたり最大6000円)と感染予防に向けた助成金(最大20万円)が実施されました。さらに介護従事者に対して1人あたり5~20万円の支給が行われます。

3. 金融機関も積極的な融資を行う

政府が直接実施する資金調達は数多く施行されました。しかしそれだけでは十分な資金がえら得ない企業もあるのです。そのため政府は金融機関に対して企業の資金繰りを援助するように求めています。

(1) 日本政策金融公庫 新型コロナウィルス感染症特別貸付

政府系金融機関である日本政策金融公庫は、新型コロナウィルスの影響で売上が低迷し、資金繰りが悪化した企業に対して金利を抑えた融資制度を実施しました。融資限度額は8000万円までとし、貸付期間は最大20年です。さらに貸付金利について貸付後3年間は基準利率より0.9%低い利率に設定されています。

(2) 中小企業向け資本性資金供給・ 資本増強支援事業

中小企業庁は新型コロナウィルスの影響で資金繰りの悪化した中小企業に対して長期的な資金調達と事業再生を支援する制度を設けました。その制度は資本制劣後ローンと呼ばれ、返済義務を後回しにできる借入金です。直接の融資は日本政策金融公庫と商工中金が行います。

また中小企業経営力強化支援ファンドや中小企業再生ファンドなど既存の制度の利用も推進しています。

(3) 金融機関による実質無利子・無担保支援

政府は国内の金融機関に対しても借り入れに対する優遇措置を促しています。そして以下の条件に応じて実質無利子で金融機関から融資を受けることができるのです。

ア. 個人事業主の場合

売上高5%以上の減少で最大4000万円を10年間(保証料ゼロ)

イ. 中小企業の場合

売上高20%以上(小規模事業は15%以上)の減少で最大4000万円を10年間(保証料ゼロ)

4. 納税の特例猶予で資金の枯渇を防ぐ

企業にとって納税資金の確保も資金繰りに大きく影響します。そのため政府は企業や個人事業主の納税についても納付の期限を1年間先延ばしできる特例措置を設けたのです。

納付期限の延長は税務署への申請が必要です。また条件として2020年以降前年同月比20%以下になっており、かつ納税が困難になっていることがあります。なお猶予の対象は2020年2月1日から2021年3月1日までに納期限がある税金が対象です。

5. 事業売却で資金を確保

どのような理由であれ経済の停滞は新旧の事業が入れ替わることがあります。新型コロナウィルスによる経済停滞においても既存の事業を売却することが進められています。過剰になった設備や事業を売却することで経営を持続する資金を確保するのです。

一方でこの経済停滞をチャンスととらえ、確保していた資金でM&Aを目論む企業も出てきています。したがって資金繰りの悪化した企業は積極的に事業売却を検討すべきです。

6. 公共サービスの支払猶予サービスも活用できる

その他にもコロナ禍において、公共性の高いサービスが料金の支払を猶予する対応をとっています。これら施策も活用することが資金の確保では重要です。

(1) 電気・ガス

政府は2020年4月、全国の電力・ガス会社に対して料金の滞納に関する対応の要請を行いました。それは新型コロナウィルスの影響で電気・ガス料金の支払が困難になっている者に対して料金支払の猶予や未払いによる利用停止を免除するという内容です。

この要請に対して東京電力は2020年3月分から6月分の電気料金支払に対して最大3ヶ月の支払猶予期間を設けました。関西電力でも2020年3月分から9月分について最大5ヶ月の支払猶予に対応すると発表しています。

またガス会社では東京ガスは2020年2月分から9月分まで、大阪ガスは2020年2月分から8月分までのガス料金を最大5ヶ月の支払猶予への対応を発表しています。

(2) 携帯電話

携帯電話大手3社も新型コロナウィルスによる資金調達を援助するために、料金支払を猶予する対応を発表しています。各社とも2020年2月分から7月分までの携帯電話料金の支払猶予に対応するという内容です。

※携帯電話大手3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)

(3) 水道料金

水道料金も政府は関係事業者に対して、支払猶予の措置をとる要請を出しています。要請に対して各地の水道局の中には基本料金の無料化などの措置を講じたのです。また長期的な資金繰りに対応した措置や個別対応を実施している水道局もあります。

(4) クレジットカードの支払延滞

クレジットカードの支払に関しても、各社個別の対応が見られます。一般的にクレジットカードは一括払いを分割払いに変更できる場合があるので、各社の対応を確認することをおすすめします。

7. 【補足】若者を使った「持続化給付金の不正受給」

今回の新型コロナウィルスによる資金調達法は緊急事態であったため、制度にスキがあったようです。そのため制度を悪用した「給付金詐欺」が各地で発生したのです。特に持続化給付金では嘘の確定申告書を作成し、さらに知識の無い若者を受給者として利用して不正受給する事件が続発しました。

今回紹介した資金調達法はあくまでも資金繰りに窮した事業に対して行われる制度です。悪意のある不正受給は摘発され場合によっては逮捕されることを留意してください。

8. まとめ

新型コロナウィルスによる経済活動停止は近年には無い経済危機になりました。しかし感染に対する理解と対策が進めば、経済が回復することは間違いありません。したがって今回紹介した資金調達法を活用しながら、事業を存続される方が多くなることを期待しています。

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