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フードテック領域のスタートアップ・サービスの事例まとめを紹介します

今回は、最近注目を集めているフードテック領域のサービスについて紹介していきます。最近世界的にも問題視され、危機的な状況にある環境問題の解決につながるサービスなど、社会貢献の面でも価値の高いサービスが多くあります。

1.そもそもフードテックとは?

「Food Tech(フードテック)」は、食(Food)とIT(Tech)を融合した新しい産業分野です。ビジネス的な価値だけではなく、食物アレルギー、外食サービスにおける深刻な人手不足、そして環境問題など、様々な社会問題を解決できるひとつの手段として注目を集めています。

2.フードテック領域のサービス事例を紹介

(1)NIMA

NIMAは、アレルギー反応を起こす原因の1つのグルテン(小麦粉の中に含まれるタンパク質)が、料理に含まれているかどうかをほぼ正確に見分ける、持ち運び可能な小型デバイスを提供しています。もともと食物アレルギーに悩まされていた設立者の2人が、安全な食べ物を探す際に苦労した経験があり、そういった背景からこのデバイスの発明にいたったそうです。

利用方法も簡単で、カプセルの中に料理の一部を入れ、それを本体にセットしてスタートボタンを押すと、約3分程でお店の料理がグルテンフリーかどうかを判別してくれる仕組みになっているようです。(料金は容器1つあたり3.99ドルで、デバイス本体の小売価格は249ドルという設定。)

なお調べた結果に関しては、今後、WEB上のコミュニティーで他のユーザーにも共有できるようにする予定で、普段食物アレルギーで悩む人がお店を探す際のガイドとしても利用できるようになります。

NIMA
https://nimasensor.com/

(2)カロリー・アンサー / ウェル・ビーイング

「カロリー・アンサー」は、食品のカロリーや栄養成分などを、食品に非接触の形で測定できる機械です。株式会社ジョイ・ワールド・パシフィックと青森県産業技術センターが共同開発した世界で唯一の機器といわれており、仕組みとしては、食品に近赤外線を照射し、そこから吸光度や吸収波長を調べることによって測定が行われているようです。

ちなみに現在世界6カ国で特許を取得済みで、かつ国内150箇所以上の飲食店、スーパー、研究機関などで利用されており、この測定器を利用することにより、結果が分かるまでに数日は必要だった時間を、わずか数分間まで短縮できるとされています。

カロリー・アンサー
https://wellbeing.co.jp/calorieanswer/

(3)Reduce Go / SHIFFT

「Reduce Go」は、飲食店などで発生した余剰商品(消費期限内の食品や、通常販売の商品と同等の品質のものが見切り品として提供されるもの)を、月額1980円で、1日2回まで受け取れるサービスです。アプリを起動すると現在地周辺の余剰食品が一覧で表示され、そこから欲しい食品をアプリで注文し、指定の時間にお店に受け取りに行き、注文画面を提示すると食品をもらうことができるようになっています(2018年4月からサービスを開始しており、2019年8月時点での余剰食品削減数は11,702食、加盟店数は172店とのこと)。用意されているメニューも種類が豊富で、パン、お弁当、居酒屋やレストランの提供する料理、ケーキやドリンクなど、様々なものが用意されているようです。

なお商品は毎日2回まで注文可能となっており、利用料金の2パーセントが社会活動団体に寄付される仕組みとなっていて、食品ロスの問題だけでなく、CO2削減などの環境改善に貢献できることも特徴です。

ちなみに対応エリアは今後順次拡大していく予定(現在は関東エリアと名古屋エリアのみ)とのことで、ユーザー登録だけでなく、食品の廃棄問題で悩んでいる飲食店の登録も受け付けています。

※ 飲食店の利用料金は無料で、ユーザーが支払う月額料金の59パーセントが、サービスの加盟店に均等に還元される仕組みになっているとのこと。

Reduce Go
https://reducego.jp/

(4)Karma

スウェーデン発の「Karma」も、先ほど紹介した「Reduce Go」と同じように廃棄処分される予定だった食品を救うサービスのひとつで、余った食品を通常の半額以下の値段で、レストランなどから購入できるようになっています。

2016年のサービス開始以来、利用ユーザー数は35万人以上、提携しているレストランやスーパーは1500社以上となっており、スウェーデンだけでなくイギリスでもサービスを展開しています。日本でのサービス展開は行われていませんが、食品ロス、廃棄コスト、環境問題、飲食店の売上UPなど、こちらもReduce Goと同じように様々な課題を解決するサービスとして注目されています。

※ ちなみにイギリスでは年間1000万トンもの食品が廃棄され、廃棄コストは220億ドルにも達するとのこと。またロンドンでサービスを開始して以来、現在は400以上のレストランと提携しており、年間最大で3万8000ドルもの売り上げUPが見込めるとのこと。

Karmaについて
https://forbesjapan.com/articles/detail/22879

(5)ビヨンドバーガー / ビヨンドミート社

ビヨンドミート社は、えんどう豆などを主原料にした100%植物性の代替肉を使った料理の開発を行っていて、最も有名な商品はハンバーガー向けのビーフパティーの「ビヨンドバーガー」です。見た目だけでなく、味や風味も本物の肉に近く、菜食主義者だけでなく、普段から肉を好んで食べる人にも人気があるといわれています。ちなみにハンバーガーだけではなく、ソーセージ、チキン、ビーフなども商品として販売されていて、今後はベーコンも販売する予定のようです。

なおビヨンドミート社の商品は、菜食主義者や、アレルギーなどの問題から肉が食べられない人を救うだけでなく、環境問題(地球温暖化)の解決に貢献する側面もあり、牛肉のかわりにビヨンドバーガーを食べるだけで、温室効果ガスの排出量90%オフ、料理する際に使用する水を99%オフ、森林を93%保護できるという試算もあります。

もちろんこういったメリットだけではなく、栄養価を比較した際に、普通の牛肉よりも、ビヨンドミートの方がナトリウムの量が5倍くらい多いといったデメリットもあるため注意が必要ですが、一方で癌や心臓病などの疾患にかかるリスクを下げる可能性もあるとされています。

創業者の思いや、環境問題への貢献、そして商品の実際の味や使用されている原材料などについての詳細は、こちらの記事に詳しくまとまっていますので、合わせて参考にしてみてください。

※ ちなみに現在は、アメリカ、イギリス、カナダ、香港、台湾などの国々で購入可能となっていますが、日本での販売は計画が取りやめになってしまったとされています

ビヨンドバーガーについて
https://tokyovegan.net/plant-based-beyond-meat/

(6)POTLUCK

POTLUCKは「ランチや夜ごはんに、コンビニ弁当ではなく、手づくりのあたたかい料理が食べたい」という人向けのアプリ( iOS/Andoroid )です。1日2回まで注文可能で、1週間3食のトライアルプラン・12食プラン・毎日プランの3つから選べるようになっており、アプリから受け取り時間を指定して事前予約をするだけで、すぐ飲食店で受け取り可能となっています( ランチの予約は、前日17時半〜当日の朝10時半まで、ディナーの予約は当日10時半〜17時半まで )。

※ 3食トライアルプラン:290円 / 1食 、12食プランは590円 / 1食(最大12食利用可能)、毎日プランは397円/ 1日(毎日 昼 or 夜に1回利用可能)。定食、カレー、サラダ、ハンバーガー、オムライスなど、様々なジャンルのメニューを用意している。

ちなみにご飯を注文するユーザーだけではなく、サービスにお店を登録する飲食店にとっても、掲載費用0円で新規集客ができるというメリットがあり「売上をUPさせたいが、現在のオペレーション体制を変えるのは難しい」「ランチタイムの時間とても混雑していて、お客さんに料理を提供できない機会がよくあり残念」といった悩みを解決できるかもしれない側面もあります。

POTLUCK
https://www.pot-luck.jp/

(7)Kitchen BASE

UberEatsというデリバリーサービスが多くの人に利用されるようになった影響などから「クラウドキッチン」というサービスも注目されているフードテックのひとつです。新たに飲食店を開業する場合、店舗開設の費用など、お金の面でも時間の面でもたくさんの初期コストが必要になりますが、クラウドキッチンの場合、飲食店は店舗を新たに設置する必要がなく、料理をつくるだけでお店が成立するようになるため、開業・運営コストを抑えることができます。また販促のサポートも知見をもった専門スタッフにサポートしてもらえるようになるため、メニューの考案や料理だけに集中できるといったメリットもあります。

そんなクラウドキッチンのひとつの「Kitchen BASE」は、複数のクラウドキッチン(ゴーストレストラン)が入居するシェアキッチンで、独立した4つの厨房設備を提供し、提携するお店を日夜で2回転させる仕組みになっています(日中は即席デリバリー向け店舗、夜中から早朝はお弁当向けの店舗)。料金体系は月額制で、利用することにより初期段階で必要な開業コストを95%抑えられるとされています。

ちなみに料理を提供する飲食店は、Kitchen BASE側から、他にも以下のようなサポートが受けられるようです。

  • 開業・運営する際に必要となるデリバリープラットフォームへの登録手続き。
  • 配達要員の確保(料理のデリバリーを担当してくれるスタッフは、外部のデリバリープラットフォームを活用して、Kitchen BASE側で全て手配)。
  • 開業後のマーケティングサポート(新メニューの考案や、味の改善などに役立つように、日々の注文から得た顧客データを分析して、その結果を提携するシェフに提供 )。

なお現在は、中目黒に店舗を構えており、店舗の事前登録も受付けています(登録には審査が必要になります)。

Kitchen BASE
https://kitchenbase.jp/

3.フードテック領域にて、新規サービスの開発を検討中の方へ

フードテック領域での新規サービスの開発に興味があるが、サービスを実現できるだけの企画力や開発力がないという場合は、M&Aによって、他の会社から力を借りつつ開発を進めていくほうがよいかもしれません。システム開発会社や制作会社にサービスの制作を依頼するという方法も、サービスの内容によっては選択肢のひとつですが、じっくりとある程度長いスパンでサービスを育てていくことになるので、自社内で、企画〜開発・制作、そして改善までの全てを完結させられる環境でなければ難しいといえます。

パラダイムシフトは、IT領域のM&Aを得意とした会社で、これまでに担当してきた実績の数も豊富です。M&Aに興味のある方は、こちらのWEBサイトもチェックしてみてください。

https://paradigm-shift.co.jp/

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