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産業用ロボットの種類・特徴、メリット、メーカーをご紹介

産業で使われる機械は年々進化しています。昔なら人の手で行っていた作業をシフトに関係なく稼働できる産業用ロボットが行うことで、効率的に短期間で商品を製造できるようになっています。

でもこの産業用ロボットは、プレイヤーがいるのをご存じですか?
ここでは産業用ロボットの種類、プレイヤーは何をするのかなどを解説していきます。

1. 産業用ロボットの性能と種類

産業用ロボットは2つのパーツで作られているのが特徴です。単純な作業を繰り返すことで工場全体の作業を効率よくすることが目的で導入されます。

JISの定義では「自動制御され、再プログラム可能で、多目的なマニピュレータであり、3軸以上でプログラム可能で、1か所に固定してまたは運動機能をもって産業自動化の用途に用いられるロボット」のことです。

(1)産業用ロボットの構造と働き

産業用ロボットは基本的に以下のようなパーツでできています。

  • マニピュレータ(機械のアーム)…さまざまな目的に適用するためのパーツ
  • 複数の軸(関節部分)…プログラムで制限するパーツ

産業用ロボットはアニメや映画に出てくる人型ロボットと違って、顔や胴体などがありません。作業をするアームと土台だけで、人間の腕と手によく似た動きをします。

部品をつかんで接続して離す、食品を梱包する、製品の向きを変えるといった単純作業を人の代わりに繰り返し行います。

(2)産業用ロボットで現在活躍しているのは5種類

産業用ロボットには主に以下のような種類があります。

種類 摘要
垂直多関節ロボット ①台座の回転とアームの運動で人の腕のような作業ができる②運搬から溶接まで3D作業ができる ③制御しにくく、強度がやや低い ④幅広いジャンルの工場で活躍している
水平多関節ロボット ①関節の回転軸が垂直で、単純な作業ができる ②制御しやすく、強度が強いので長持ちする ③平面的で正確な動きが可能 ④基盤の組み立てや運搬作業で主に役立つ
パラレルリンクロボット ①関節を並列に配置しているロボット ②重い部品は扱えない ③可動範囲が狭い ④非常に高速な作業ができる 5主に食品のベルトコンベアで選定、整列に使われる
直交ロボット ①直線的な作業をする制御しやすく、省エネなロボット ②誤作動が起こりにくい ③他のロボットと組み合わせられる ④垂直多関節ロボットとのコンビで作業を完全自動化する
双腕ロボット ①人と一緒に作業するのが特徴 ②出力が80w未満と低いので安全に作業できる ③人1人分のスペースしかとらない ④2本のアームで複雑な作業もできる

産業用ロボットは基本的に80w以上の出力なので人が傍で作業できませんし、人とは別の作業をします。しかし双腕ロボットのように人と一緒に作業できる種類もあります。

(3)サービスロボットとの違い

サービスロボットは、まずアームだけといったロボットの構造の定義がありません。アームだけのものもあれば、人型のものもあります。サービスロボットは人と同じ現場で稼働し、人の作業をサポートします。飲食店だと料理を席まで持っていたり、訪れた客を席に案内したりします。

産業用ロボットと同じ働きでも、サービス業で使われていればサービスロボットと呼ばれます。構造の定義がはっきりしていて、対人作業を行わない作業用ロボットとは大きく異なります。

(4)共通する特徴とは?

産業用ロボットは、複雑な作業をいくつもひとつのロボットがこなすといった形ではなく、ひとつの作業に特化したロボットが数種類工場内に設置されて、それぞれの作業を行うといった形です。全行程の産業用ロボットを設置すれば、人間の軽作業員なしで製品や食品を製造できます。

サービスロボットも同じで、ひとつの作業に特化しているのが共通点です。

2. 産業用ロボットのプレイヤーとは?

産業用ロボットは人の仕事を減らすというより、大変な作業を代わりに任せて、安全で無理のない作業に人が専念するためのものです。そのためにはロボットの知識を持ったプレイヤーが必要です。

(1)産業用ロボットの導入に必要不可欠な人材

ロボットの知識がないまま導入しても、機能を適切に活かすことができません。ロボットは80wの出力があるため、電気代がかかります。費用を無駄にしないためにも、プレイヤーを育成してから導入しましょう。

(2)ロボットの知識を身につけている人

運送用、溶接用、塗装用などさまざまなロボットの使い方があるので、その作業を行うときにどう制御するか、必要なプログラミングや検査などの知識を身につけている人をプレイヤーといいます。

プレイヤーはロボットにまずティーチングを行います。ティーチングとは、ロボットにどういう動作をするかプログラミングすることです。方法は以下の2種類です。

  • オフラインティーチング…ロボットと別の場所で先にプログラミングをしておく
  • オンラインティーチング…ロボットがある場所で動作を見ながらプログラミングをする

オンラインティーチングにはペンダントと呼ばれる機器が必要です。つまり、ペンダントの操作方法も身につける必要が出てきます。

(3)多くの企業ではオフラインティーチングを採用

日本の企業は、オフラインティーチングを採用することが多いです。その理由は大まかな指示を先に入れておけば現場で微調整だけで済むからです。

また先に指示を入れることで問題点も事前に分かり、ロボットに無理な動きをさせて壊す可能性も減ります。準備をしっかりできるので、ティーチングはオフラインで行うのがおすすめです。

(4)オンラインティーチングはおすすめしない理由

オンラインティーチングは現場でロボットの動作を見ながらプログラミングできるので、一見メリットが多いですが、操作ミスを招きやすいです。

現場に導入するまえにシミュレーションを行わないので、ロボットの動きの大きさが合わない、違う部分に部品を当ててしまって壊すなどのリスクがあります。せっかく導入したロボットを壊してしまう可能性があるので、気を付けましょう。

オフラインティーチングなら現場で実際に使ってみる前に動作を確認したり、抜けているプログラミングを発見したりできます。

(5)その他に必要な準備

プレイヤー育成やプログラミング以外に必要な準備は、以下の通りです。

  • ロボット導入前の課題を抽出する
  • 導入するコストの具体的な金額を計算する
  • ロボットを導入して解決したいことを明白にする

特にどんな問題を解決したいかを明白にしておかないと、導入するロボットの種類、プログラミングの内容などが的外れになってしまいます。まずは現状の把握から始めましょう。

3. 産業用ロボットを導入するメリット

産業用ロボットを導入する場合、しっかりとした準備が必要です。導入には費用もかかります。それでも多くの工場が導入しているのは以下のようなメリットがあるからです。

(1)ベテランの技術を自動再現する

どんな工場にもベテランしかできない作業があるものです。これをロボットが行うことで、ベテラン作業員の負担を減らし、作業を効率化できます。

例えば肉を叩き、成形し、キレイに整えるという作業をベテラン作業員が数名でやるよりも、3つのロボットで分担することで効率よく食品の下処理ができます。これまでベテラン作業員の出勤日に左右されていた作業ペースを、企業の都合によって調節できるのです。

(2)女性作業員の負担を減らす

女性の軽作業員でも、6∼10㎏ほどある重い部品を高いところへ持ちあげる作業をしていることは珍しくありません。これを産業用ロボットが行えば事故も減らせますし、身体への負担も減らせます。

重労働な作業は男性が行い、身体に負担のかからない作業は女性が行うという役割分担をしている企業は多いですが、人手不足などで実現しない企業も多くあります。ロボットを導入すれば人手に左右されず、作業員に負担のかからない作業現場になります。

(3)在庫管理を自動化する

商品や製品を扱う上で、大切なのは在庫管理です。ロボットを導入し、バーコードを読み取って在庫データをすぐに確認できるようにした企業もあります。自動化することで在庫の管理が行き届いていない状態になるのを防ぐことができますし、人件費も作業負担も減らせます。

これは工場だけではなく、スーパーなどでも活かせます。スーパーは在庫管理と品出しが連携しており、人手がかかるので、それぞれの作業をロボットに任せることで人件費を節約できます。

(4)負担がかかる作業を産業用ロボットに任せる

どんな場面でどんなロボットを使う場合でも、共通しているのは作業をする人達の負担を減らし、安全に働けるようにすることです。

重いものを持ちあげる運送、ケガをする恐れがある溶接、正確さが求められる備品の扱いなどをロボットに任せることで、他の工程に時間と人手を割り当てられるようにします。

とくにミスが許されない検査には、ロボットを使うことで作業員だけではなく、消費者の安全も確保できます。

4. 産業用ロボットメーカー3選

産業用ロボットのメーカーの中で特に人気なのは以下の3社です。どのメーカーのロボットを導入すればいいか分からない場合は、人気の会社から探してみましょう。

(1)日本サポートシステム株式会社

関東最大級のロボットメーカーで、年間200台も実績があります。一貫生産体制なので、設計から製造までを担っています。ロボット以外は基板電気チェッカーなどの製造もしています。

(2)安川電機

自動車製造工場を中心に人気のロボットメーカーで、溶接や塗装を担当するロボットを多く製造しています。メカトロニクスを始めて提唱し、広めた会社です。

(3)不二越

大型ロボットではなく、小型ロボットやスリムな形状のロボットを積極的に開発し、製造しています。オプションが充実していて、様々なニーズにこたえるのが特徴です。

プレイヤーにとって企業の問題点を解消するのに、相性のいいロボットを導入することは重要です。日本で多く使われているメーカーのロボットなら、品質に対する考え方やサポートなどの点でも相性のいい会社が存在すると考えられます。

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