CASE 03

株式会社インタラクティブブレインズ +
株式会社クリーク・アンド・リバー社

クリーク・アンド・リバー社(C&R社)が提供するサービスは幅広い。映像やゲーム、WEB、広告など15分野のプロフェッショナルと企業を結びつけるエージェンシー事業の他、自社でコンテンツを受託制作するプロデュース事業も展開している。C&R社のグループは3DCGアバターの制作を行うインタラクティブブレインズの事業を譲り受けたが、もともとC&R社は3DCGアバターの制作を行う機能を持っていた。なぜ重複する機能を持つ企業を譲り受けることにしたのか。C&R社取締役で、譲受会社となった子会社の社長も務める青木克仁氏に、M&Aの狙いをうかがった。

PROFILE

株式会社パラダイムシフト
代表取締役 牟禮 知仁

株式会社クリーク・アンド・リバー社
取締役 青木 克仁

01

アバター制作は狭い業界
社名を伏せてもわかる!?

牟禮
今回はセルサイドのインタラクティブブレインズ側から持ち上がった話でした。
同社は投資ファンドが株式のかなりのシェアを保有しており、ファンドの償還期限が迫ってエグジットしなければなりませんでした。事業内容はゲームやクリエイティブ、3DCGアバターなどの制作で、いわばC&R社さんのコンパクト版。話をいただいたときにバイサイドとして真っ先に思い浮かんだのが御社でした。ただ、クライアントの問題があって、すぐに青木さんには話せませんでしたが……。
青木
3DCGアバター事業のクライアントが同じだったんですよね。クライアントはクリエイティブの品質保持のため2社購買していましたが、私たちが一緒になると、2社が1社になってしまう。だから事情はよくわかりました。最初に牟禮さんから話をいただいた時点ではまだ社名が伏せられていましたが、事情がわかるゆえに、「ああ、きっとインタラクティブブレインズだな」とピンときました(笑)

02

いい意味で将来が見えている
低リスクの案件だった

牟禮
今回は御社の経営企画部門ではなく、以前から面識のあった青木さんに直接話を持っていきました。第一印象はいかがでしたか。
青木
パッと見ていいなと感じましたよ。私のところに案件が直接持ち込まれるケースはよくありますが、いままでどれも規模が大きすぎて、やや現実感に欠けているものもありました。今回は規模感が手頃で、十分に検討に値すると思いました。
いい意味で先が見えているのも魅力でした。スタートアップへの出資案件は、「今ある資金でここまで来ました。この先は行ってみないとわからない。だからお金出してください」というものが少なくない。それでは私たちにはリスクが高すぎます。一方、インタラクティブブレインズはベンチャーであるものの、同業界で実態はわかっていたし、事業内容も手堅かった。いつもは私のところに話が来てもすぐ経営企画に回してしまうのですが、これは自分でやろうと思ったくらいです。

03

子会社を譲受会社にして
クライアントの問題は解決!

牟禮
譲受会社となったのは、子会社のクレイテックワークス(CTW)でした。こちらは前年に買収したばかりのゲーム開発会社ですね。どうして親会社ではなく、子会社に?
青木
私はクレイテックワークスの社長を務めていますが、ゲーム開発は当たり外れがあって波が大きい。事業をきちんと継続させていくには、タイトルが外れたとしてもやっていけるだけの安定的な収益があったほうがいい。インタラクティブブレインズの3Dアバター事業が堅実であることは知っていたので、ちょうどいいなと。
2社購買の問題も、子会社なら別組織になるので解決できます。実際、C&R社のアバター事業チームとは、オフィスもメンバーも完全に別です。グループ内競合ですが、お互いにいい刺激を受けて切磋琢磨しているようです。
もう一つ、CTWにはCTOが不在だったことも大きいですね。インタラクティブブレインズに優秀な人がいることは知っていて、いまはその方に技術部門の責任者をやってもらっています。

04

買収後に関係者みんなが
幸せになることを優先する

牟禮
セルサイドに話をすると、経営陣や社員は最初からグループ化のイメージが湧いていました。C&R社にはVRなど最新の機材がある。エンジニアには、そうした開発環境が垂涎の的だったようです。待遇面で不安はあったようですが、青木さんに聞いたらすぐ答えが返ってきて、それを伝えたら安心してくれました。
青木
投資ファンドとの交渉は牟禮さんにお任せしましたが、すんなりとは進みませんでしたよね。
牟禮
エグジットで利益を出さなくてはいけないので、投資ファンドにも譲れない線がありました。もちろんリターンは大事です。ただ、たとえいい値段で売れても、買収後にビジネスが続かずにみんな不幸になったというのでは意味がない。インタラクティブブレインズの経営陣も一緒になって説明させていただき理解いただいて、なんとか合意に漕ぎつけました。C&R社の社内はどうでしたか。
青木
ある程度固めてから経営企画に持っていきましたが、みんな協力的でしたね。弊社の創業者は堅実で、最初は大体ノーと言われます。でも私が「きちんと回収できる」と明言したら、オーケーをくれました。

05

安定事業を組入れたからこそ
次のチャレンジができる

牟禮
買収後の現在は、どのような状況ですか。
青木
実は買収前は、CTW側の社員から「他社を買収するお金があるなら、ゲーム開発にもっと注ぎ込んでくれ」と不満の声があがっていたんです。しかし最近は、「安定的な収益があるおかげで、次のチャンスに挑戦できる」と言ってくれています。
元インタラクティブブレインズの社員が馴染むのはこれからでしょう。C&R社は企業理念を大事にする会社です。これからしっかり時間をかけて、理念を共有していきます。
牟禮
またいい話があったら、お声がけしていいですか。
青木
もちろんです。M&Aは経営企画部門の手を借りながらも、買収後に事業を担当する役員や責任者が主導してやったほうがいい。買収後の事業責任を負うのは結果的には事業担当者ですので。私はM&Aの素人でしたが、牟禮さんが親身に対応してくれたおかげで実務は問題なく進められたし、私自身、勉強になった。今後も頼りにしています。

CONCLUSION

「人」を大切にするM&Aを

C&R社のもとには、いまもM&A案件が頻繁に持ち込まれる。「私たちは会社という器より、中にいるクリエイターたちが欲しい。彼らが幸せになる案件ならば積極的に聞く」と青木氏。一方、パラダイムシフトも、「『高く売れた』『安く買えた』というのは一瞬。働く人たちも含めてWIN-WINにしないとビジネスは継続しない」(牟禮)という方針でM&Aをサポートする。人を大切にする考え方は両社共通。今後の展開が楽しみだ。

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