CASE 02

株式会社D2C X
(旧株式会社TSUNAGU)
株式会社D2C

インバウンドが盛り上がりを見せる中、訪日観光客が頼りにするWEBメディアがある。日本各地の観光やグルメ、ショッピング、宿泊、体験、文化などの情報を7言語で配信する「tsunagu Japan」だ。起業家の萩原良氏が訪日観光客向けメディアを運営する株式会社TSUNAGUを立ち上げたのは2013年9月。インバウンドの追い風に乗り、月間190万MAUのメディアに育て上げた。しかし、さらにスピーディーにスケールさせるには事業会社と組んでそのネットワークやリソースを活用することが欠かせないと判断。2018年12月、パラダイムシフトの仲介で株式会社D2Cに全株式を譲渡した。翌月には社名を株式会社D2C Xに変更して再スタートを切ったが、はたして株式譲渡は同社に何をもたらしたのか――。

PROFILE

株式会社パラダイムシフト
代表取締役 牟禮 知仁

株式会社D2C X
代表取締役 萩原 良

01

ヨーロッパで暮らした幼少期
その原体験が起業のきっかけに

牟禮
訪日観光客向けのメディア「tsunagu Japan」が人気ですね。月間ユニークユーザーは190万で、インバウンド業界最大規模だとか。そもそも萩原さんはどうしてインバウンドメディアを始めたのですか。
萩原
私は小学校の6年間をヨーロッパで暮らしました。友達のあいだでは、日本製品が大人気。幼心にそれが誇らしくて、大人になったら日本のことを世界に発信する仕事をしようと思い、また自ら起業しようと思っていました。
起業を準備しはじめる段階で手始めにやったのは、日本のポップカルチャーや伝統文化を紹介するFacebookページの運営です。写真に英語で簡単なコメントをつけただけのシンプルなものでしたが、主に週末に自分ひとりで運営しているものにもかかわらず、海外で50万人のファンを獲得することができ、これをベースに事業化することを決意。記事形式でコンテンツを配信するWebメディア「tsunagu Japan」を2014年3月に立ち上げました。当初は文化中心の内容でしたが、旅行関係の記事の反応がいいので、途中からインバウンド向けにシフトしました。

02

メディア事業をより早く
スケールさせるために

牟禮
我々が最初に萩原さんにお電話したのは2015年末でしたね。当時、インバウンドが話題になり始めていたころ。いまのうちに業界をリサーチしておこうと思ってコンタクトを取った1社が、萩原さんが立ち上げた株式会社TSUNAGUでした。当時の感触では、インバウンド業界は話題先行で、ベンチャーで黒字化しているところがほとんどありませんでした。TSUNAGUはどうでしたか。
萩原
2015年当時は、メディアのユーザー数は順調に伸びていましたが、たしかに「tsunagu Japan」単体ではまだ黒字化できていませんでした。他にFacebookページの運用代行事業や海外向け記事制作の代行事業などを行っていて、そこで得た収益をメディアのランニングコストに充てていました。また人材面でも、営業やマーケティング、バックオフィスのスタッフがいなくて全部自分で回している状態でした。
牟禮
それが株式譲渡を検討するきっかけになったのでしょうか。
萩原
そうですね。キャッシュフローは回っていたので、コツコツやっていけばスケールさせる自信はありました。ただ、日本と世界をつなぐというビジョンの達成を第一に考えたときに、よりスピーディーにスケールさせるには、増資あるいは事業会社との資本提携も選択肢の一つとして考えるようになっていました。

03

慌てずにマイペースで
理想の買い手を選べた

牟禮
具体的に動き始めたのは2018年に入ってからでしたね。それまでも定期的に情報交換していましたが、萩原さんから「黒字化した。資金があればグッと伸びそうだ」というお話があって、いよいよかと。
萩原
じつは他の仲介会社からもいくつかアプローチがあり、会ったことはありました。でも、本格的に検討を始めるにあたって、真っ先に思い浮かんだ顔は牟禮さんでした。
牟禮
ありがとうございます。でも、正直、難しさはありました。買い手としてどのような会社が相応しいのかわからなくて、絞り切れなかったのです。まずは会ってもらうしかないと思って、手当たり次第にご紹介した記憶があります。
萩原
パラダイムシフトさんの紹介で結局、10社くらい会ったかな。他の仲介会社からの紹介も含めてですが、最終段階まで行ったところが2社ありました。結局条件面などが折り合わず最後に双方見送りとなりました。これぞという企業になかなか出会えませんでしたが、牟禮さんが急かすことなく「嫌だったら遠慮なく断ってください」と言ってくださったので、じっくり検討することができました。

04

ここまで支援してくれる
仲介会社は他にない

牟禮
最終的に選んだのはデジタルマーケティング事業を展開する株式会社D2C様でした。デジタル広告の会社なので広告営業は強いのですが、自社メディアを保有しているわけではなかった。一方、外国人スタッフもいるTSUNAGU様は業界でも有数のメディアを保有しているものの、営業スタッフはいなかった。お互いに足りないものを補完し合える組み合わせでした。
萩原
VCから資金調達するのではなく、事業会社と組むことにしたのは、事業シナジーを得ることで、成長スピードを最大化できると思ったから。その点、D2Cはぴったりの相手だったと思います。
牟禮
株式譲渡後も萩原さんが社長を続けるという合意ができたことも見逃せない点です。萩原さんから要望したわけではないですが、トップが抜けると事業が回らなくなるので、D2C様も続投を望んでいました。
萩原
M&Aの進行はすごくスピーディーに進み、デューデリそのものも問題ありませんでしたが、自分ひとりで資料作りなどをしていたため、本業が忙しい時期と重なったときは本業の業務が追い付かなくなるということがありました。それをパラダイムシフトさんに相談したら、土日に本業のヘルプをしてくれた。ここまでサポートしてくれる仲介会社はないんじゃないですか(笑)

05

グループ傘下になって
リソースをフル活用

牟禮
D2C様を紹介してから2ヵ月で譲渡が決まり、さらにその2か月後にクロージング。決まるときはあっという間でしたね。譲渡後、もっとも変化が大きかったのはどんなことですか。
萩原
D2Cのインバウンド事業メンバー5人がこちらに出向という形で弊社に入社しました。5人全員が営業メンバー。私たちはそれまで引き合いのあったところにしか行かない“待ち”の営業をしてきましたが、これでやっと“攻め”の営業ができるようになりました。
社名やオフィスも変わってD2Cグループの一員になり、そのリソースを活用できるようになったことも魅力です。じつはグループ内に、WEBデザインや制作機能を持っている子会社や部署もあります。「tsunagu Japan」を改修した際は、グループ内に発注。大きな企業グループの傘下に入るメリットを実感した一例です。
牟禮
D2C様側もグループ内にメディアを直接持つことで、広告やマーケティテングで顧客に提供できるソリューションが増えたと聞いています。今回の株式譲渡では、お互いのパーツがうまくかみ合った。マッチングの手伝いができたことは、私たちとしてもうれしいかぎりです。

CONCLUSION

株式譲渡で、経営の仕事に
集中できる環境を実現

株式譲渡前の決算時は、トップ自ら経理作業に追われていたという萩原氏。体制が整っていないスタートアップにありがちな悩みだったが、従業員700人を擁するD2Cグループと組むことで資金や人材などのリソース不足を解決した。フロントの営業メンバーだけでなく、経理や人事などバックオフィス系でも人員のサポートを得て、萩原氏は経営に専念できるように。まさにこれからが本領発揮。今後、「tsunaguJapan」をどのようなメディアに育てていくのか。要注目だ。

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