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Adobeが買収したデジタルマーケティングツールの「マルケト」とは?

今回は「Marketo(マルケト)」というマーケティングオートメーションツール(MAツール)について説明していきます。

▼マーケティングオートメーションツール(MAツール)全般につきましてはこちらの記事をご覧ください

マルケトは、イラストレーターやフォトショップなどのデザインソフトで有名なAdobeが、2018年の10月に買収した会社のプロダクトです。

本稿では、

  • マルケトを利用すると具体的にどんなことが出来るのか
  • マルケトの導入事例や具体的な効果
  • 実際に導入する際の費用

などについて説明していきます。

1. マルケトとは

Marketo(マルケト)は、日本で一番導入実績が多いと言われているマーケティングオートメーションツール(MAツール)です。マルケトを利用すれば、検索エンジンやSNS(Facebook、Twitterなど)上のデータはもちろん、モバイルアプリ上での行動やユーザーの位置情報などもデータとして利用することが可能になり、それぞれを別々にではなく、すべて一元的に管理してマーケティング施策に活かすことができます。

他にも多くのサービスと連携可能であったり、参照できるデータがたくさんあるなど、様々な特徴があり、基本的にはなんでもできるツールと評されたりしますが、その分、しっかりと使いこなすためにはアイディアや戦略が必要になるともいわれています。

2. マルケトを利用すると具体的にどんなことが出来るのか

マルケトを利用して出来ることは、大きく以下の5つに分けられます。

(1) SEO対策

(2) 最適なタイミングで最適なコンテンツを提供する( プレディクティブコンテンツ機能&リターゲティング )

(3) メルマガ機能

(4) セールスインサイト機能

(5) モバイルエンゲージメント機能

(1) SEO対策

ある特定のキーワードで検索した際の表示順位や、検索順位を向上させるために必要な改善などを教えてくれる機能がついています。

(2) 最適なタイミングで最適なコンテンツを提供できる(プレディクティブコンテンツ機能&リターゲティング)

訪問した人の地域やアクセス元、そしてWEB上での行動などを把握し、機械学習によってベストなコンテンツをユーザーにレコメンドすることができます。

また広告のターゲティングに関しても同様で、サイトの訪問履歴情報をマルケトで分析し、その内容をもとにしてGoogleやFacebook上で広告を表示できるので、よりパーソナライズドされた広告を表示することができます。

(3) メルマガ機能

どれくらいの頻度でメルマガを出すか、そしてメルマガが既読になった後の次のアクションはどうするかといったワークフローを、プログラミングせずに、ドラック&ドロップするだけで簡単に作成し、メルマガを自動送信することができます。

またメールのA / B テストも当然可能ですし、登録しているお客さんのセグメントなどはリアルタイムで自動的に更新されるようになっています。

(4) セールスインサイト機能

過去の行動履歴をもとに、お客さんそれぞれをランク付けして管理し、より購入意欲の強いお客さんから順に効率よくアプローチすることが可能です。

また、SalesforceやMicrosoft DynamicsなどのCRMと統合することも可能で、お客さんの情報は常に最新のものが表示される仕組みになっているため、より最適なタイミングでお客さんにアプローチすることができます。

(5) モバイルエンゲージメント機能

モバイルエンゲージメント機能は、簡単にいうとモバイルアプリ上でのユーザーの行動情報や位置情報をもとにしたプッシュ通知機能です。「Aという行動のあとに、Bという行動をした場合は、Cの通知を送信する」など様々なパターンでワークフローを作成することが可能となっています。

▼参考記事:Marketoを使って出来ること(マルケト公式サイト)

3. 導入事例

マルケトの導入事例を3つ、見ていきましょう。

(1) 獲得単価は変わらずに、リードからの成約率が3%から9%までUP( 日本エスリードの事例 )

日本エスリードはマンション完売棟数が近畿圏で第一位、3年連続で完全在庫0を達成したマンション販売を行う企業です。上で紹介した特徴のうち、特にマルケトの「セールスインサイト機能」を活用することによって、効果を出すことに成功しました。

具体的には、マーケターではなく実際にお客さんと接する営業社員がマルケトをより有効活用できるよう、以下のような環境を用意したことが特に大きな効果につながった要因とされています。

- MarketoとSalesforceを連携させることにより、お客さんの検討状況や温度感をリアルタイムで把握できるようにした。

- カスタムビューを設定して、営業社員が、自分の見たいデータを自由に閲覧できるようにした。

(2) 郵便物の受け取り率が97%にUP。ニュースレターを毎週配信できるようになった(株式会社お金のデザインの事例)

誰でも10万円から資産運用がはじめられる「THEO(テオ)」というサービスを運営している株式会社お金のデザインも、マルケトを導入することによって、上記のような成果をあげています。

株式会社お金のデザイン社は「他のMA(マーケティングオートメーション)ツールにはない、マルケトならではの要素」として、以下の5つのポイントを挙げています。

  • 自動化の条件をより細かく設定できる。
  • 別々のサービスに同じメールアドレスが登録されていても、名寄せされず、別々に管理できる。
  • 習得するまでの時間が早い。
  • 導入しているスタートアップが多く、情報交換しやすい。
  • サービスについて情報交換できるコミュニティの熱量がすごいので、色々なアイディアや知識が得られる。

(3) メールの開封率は約20%→40%前後までUP、クリック率も約2~3%→10%までUP

写真などのストックコンテンツの企画・販売を手がけている株式会社アマナイメージズも、マルケトを導入して成果につなげています。

アマナイメージズがマルケトの導入を決めた理由は、マルケトが日本でも長い間利用されてきた実績があったことと、情報共有が盛んなコミュニティーがあったという2点からで、具体的な取り組みとしては、マルケトを利用して以下のような施策を行っています。

  • ウェルカムメール(新規登録者向け)の反応別にメールを送り分けるようにしたところ、開封率とクリック率がUPした。
  • マルケトと外部サービスとを連携させることによって、ユーザー情報やカートに入っている商品の情報をトークンでHTMLメールに入れて自動配信する仕組みを構築。結果このメールの開封率は約50%を超え、そのうちの1割が実際の購入へとつながった。

上の3つの事例の他にも、様々な会社の事例が紹介されていますので、気になる方は以下のリンクからそれぞれの事例の詳細をチェックしてみてください。

お客様事例(マルケト公式サイト)

4. 導入する際の費用

月額 : 143,400円(スパークタイプ)〜 / 215,400円(スタンダードタイプ)〜

※ 初期費用なし、無料トライアルもありとのこと。公式サイトではなく、他のサイトやメディアでチェックした情報になりますので、実際に利用する際はしっかりと確認するように注意してください。

5. まとめ

MA(マーケティングオートメーション)ツールは、今回ご紹介したマルケト以外にもたくさんありますが、マルケトの導入実績が多く、コミュニティ内でのナレッジの共有が盛んという特徴は、利用するかどうかを判断する際に、とても大きなポイントになるようです。 できることが多すぎてツールを使いこなせずに終わってしまうことを心配する人もいるかもしれませんが、コミュニティや他社からの情報を通し、ツールの使い方だけでなく、施策のアイディアなども一緒に得られるため、利用するメリットは多いかと思います。

また、社内のマーケティング力を強化する際、新しいツールを導入するだけではなく、マーケティングオートメーションツール(MAツール)の学習コストやランニングコストを回避する一手段として、今回紹介したマルケトのようなマーケティングオートメーションツール(MAツール)を持つ会社やデジタルマーケティング技術を持った企業とのM&Aを実施する方法も選択肢の1つとして考えられます。マーケティングオートメーションツールを導入するよりもかかる費用は大きくなりますが、その分、以下のように様々な利点があります。

  • MA(マーケティングオートメーション)に関する技術や人材を一挙に取得できる
  • MA(マーケティングオートメーション)ツールの効果的な使い方やノウハウなどを、スタッフ全員がより効率よく学ぶことができる
  • ツールの使い方だけでなく、施策の考え方やPDCAの回し方など、デジタルマーケティングを行う際の基本的な考え方も強化できるので、チーム全体の底上げにもつながる
  • 新規の顧客(買収先の会社のこれまでの取引先)を獲得できる可能性もある

弊社パラダイムシフトは、IT領域特化型のM&Aアドバイザリーとして、様々なデジタルマーケティング技術を持つ会社と取引させていただいているため、もしM&Aによるデジタルマーケティング強化に興味のある会社は、ぜひ弊社にご相談ください。

最後に、過去にパラダイムシフトがM&Aを担当した事例の一部をご紹介いたします(事例紹介ページにリンクしています)。

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