# | 譲渡会社 | 譲受会社 |
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業種 | システム開発企業 | メディア運営企業 |
種別 | 未上場 | 東証一部上場 |
事業の概要
セルサイド企業(譲渡会社)は、能力の高いエンジニアを30名強抱えており、アルゴリズム構築から、プラットフォーム構築、運用保守まで一気通貫したソリューションを提供するシステムソリューション企業です。
バイサイド企業(譲受会社)は、東証一部に上場している大手メディア運営企業です。
M&Aに至る経緯
セルサイド企業は、売上・利益ともに拡大基調である企業ではあったのですが、 人材確保の面や、未上場企業である上での信用面の企業課題を抱えていました。
IPOを行うという選択肢もあったものの、上場企業としてIPOコストを掛けて、 四半期ごとの開示を行い、その上で確実な売上/利益の拡大を求められるよりは、 大企業の傘下のほうが、シェア拡大に注力できると考え、M&Aを模索しておりました。
初めはFA(フィナンシャル・アドバイザー)を取引銀行に依頼していたものの、 バイサイド企業に対してIT企業ならではの特徴を上手く伝えてもらうことができず、M&Aプロセスを前に進めることができていない状況でした。
取引銀行とのFA契約を終了した後、バイサイド企業へのアプローチからクロージングまでのご依頼を弊社までお寄せ頂きました。弊社にて改めてバイサイド候補企業へのリストアップの後、各社へアプローチを開始しました。
交渉の過程
セルサイド企業と候補企業数社とのお引き合わせを実施する中で、今回の東証一部上場の大手メディア企業がバイサイド候補として浮上しました。
本件バイサイド企業は、巨大なメディア事業を展開しており、同事業を拡大させて行く上では、技術面で強みをもつことが重要だとのご意向をお持ちでした。そのため、再度お引き合わせを行い、具体的なM&Aに向けて話を進めることが決定しました。
交渉の難点
セルサイド企業は、本件バイサイド企業である大手メディア運営企業の競合企業とも多数取引があり、バイサイド企業が株主となった場合の取引継続が難しくなることを懸念しておりました。またセルサイド企業と、バイサイド企業の給与水準が大きく異なり、人事制度含めたPMIでどこまで組織融合をどこまで行えるかも大きな課題となりました。
克服
バイサイド企業が一度に株式を100%取得とせずに、5年間の段階取得とすることで、既存の取引先とのハレーションを最低限に抑える措置を提案、決定しました。またPMIに関しては、人事制度は統合せず、最低限の管理部門のみを統合し、緩やかな組織連合体とすることで合意致しました。
成約
M&Aの金額面に対してどうしても意識が集中してしまいますが、M&A後の事業拡大、従業員に対してのフォロー体制がM&A成功に対して重要な点となっております。本件のM&A後数年経ちますが、売上/利益ともに数倍規模となっており、業界No1のシェアとなっております。