# | 譲渡会社 | 譲受会社 |
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業種 | 求人サイト運営企業 | メディア運営企業 |
種別 | 未上場 | 東証マザーズ上場 |
事業の概要
・セルサイド企業は、特定の業界に特化した求人サイトを運営するIT企業です。
・バイサイド企業は、メディア運営を中心に事業を展開するマザーズ上場のIT企業です。M&A戦略を活用して拡大を続けられている企業様になります。
M&Aに至る経緯
・セルサイド企業は複数の業界特化型の求人サイトを運営されておりましたが、
今回、選択と集中から、そのうちの一つを譲渡し、その譲渡資金を他のサイトに投資したいというご意向をお持ちでした。
交渉の難点
ⅰ競業避止義務
セルサイド企業は、譲渡対象サイト以外にも、類似業界の求人サイトを複数運営されていたため、当初バイサイド企業から提案があった内容での競業避止義務を受け入れることは容認できませんでした。そのため、適切な範囲での競業避止義務の範囲をご検討いただく必要がございました。
ⅱサイト収益について
当該サイトのビジネスモデルは、毎月新規開拓営業を行うことにより複数月にまたがる掲載(1年契約など)を行う新規の案件を獲得していく必要があるものでした。そのため、次のような懸念がございました。
・セルサイド企業は、譲渡前にセルサイド企業が行なった営業により成約に至った案件をすべてバイサイド企業側の売上として計上されてしまうと、セルサイド企業が純粋に人件費のコストだけを負担することになってしまう ことをご懸念されておりました。
・バイサイド企業としては、M&A後の営業の引き継ぎまでの間、セルサイド企業が営業活動を止めてしまうと、サイトの売上が減少してしまう ことをご懸念されておりました。
克服
ⅰ競業避止について
弊社より、セルサイド企業の現在の事業内容や今後の事業展開について整理していただき、セルサイド企業の現在及び将来の事業展開を必要以上に妨げることなく、かつバイサイド企業様が懸念されているような競合が生じないギリギリの範囲についてご検討いただきました。
その結果、最終的には両社が納得のいく競業避止義務の範囲を見出すことができ、無事解決することができました。
ⅱサイト収益の帰属先について
弊社は、サイトの譲渡から営業面等の引き継ぎが行われるまでの間、セルサイド企業が譲渡対象のサイトの営業を継続するインセンティブを用意することが、本M&A成功のポイントであると考えました。
そこで、譲渡前のセルサイド企業の営業により上昇した売上の額に応じて、譲渡代金とは別に、バイサイド企業からセルサイド企業に対し一定のインセンティブを支払うという方法をご提案いたしました。
これにより、バイサイド企業様にとっても、サイトの売上減少という懸念点をケアすることができるため、セルサイド企業とバイサイド企業の双方のM&Aの懸念点を解決することができ、両社の納得を得ることができました。
成約
・最終的に両社の各懸念点を克服し、セルサイド企業から譲渡対象求人サイトをバイサイド企業が譲り受ける形でM&A成約となりました。
・弊社がセルサイド企業様より本件のご相談を頂いた日より約半年間でのクロージングとなりました。
・総評
今回のようにセルサイド企業が、譲渡対象となる事業と似た事業を営んでいることが多々あり、このような場合は競業避止義務の範囲が問題となることがあります。
このようなケースでは、セルサイド企業の現在の事業内容や将来の事業内容について十分に整理いただいた上で、必要以上にセルサイド企業の事業の妨げとならないような競業避止義務の範囲をご検討いただくことが重要となります。
また、M&A後に譲渡対象事業の業績の減少を避けるためには、セルサイド企業からバイサイド企業への引き継ぎがあるまでの間、セルサイド企業が行ってきた営業等が変わらずに行われるような方法を考える必要がある場合があります。