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シンギュラリティとは - AI用語解説集

1. シンギュラリティとは

シンギュラリティとは、人工知能が自分の能力を超える人工知能を生み出すことが出来るようになり、人工知能が加速度的に進化する転換点のことを指します。

日本語では技術的特異点と呼ばれています。その到来は2045年と現時点では予想されていることから、2045年問題とも呼ばれています。

以下の項目では、シンギュラリティについて著名な3名の仮説を紹介します。

2. ヴァーナー・ヴィンジ:シンギュラリティという概念の誕生

シンギュラリティという概念について初めて明確に論じられたのは、1983年のアメリカの数学者ヴァーナー・ヴィンジの論文「来るべき技術的シンギュラリティ」によってです。この論文では、コンピューターのハードウェアの発達により、遅くとも2030年には人間を超える人工的な知能が誕生し、ほどなくして知能爆発が発生すると言われています。

3. ハンス・モラヴィック:ムーアの法則を応用したシンギュラリティ

ヴィンジの他にも、シンギュラリティを論じた有名な学者であるアメリカのロボット・AI研究者のハンス・モラヴィックは、1988年に「ムーアの法則」に沿ったシンギュラリティの仮説を提唱しました。

ムーアの法則とは、インテル社の設立者、ゴードン・ムーアが唱えた説で、一枚のチップに集積されるトランジスタの数が1.5年に2倍に増えるという法則です。ムーアの法則に応じてコンピューターの情報処理能力が上がっていき、今後も持続されるのであれば、2040年には人間を超える人工知能が生まれるとモラヴィックは提唱しています。

またモラヴィックは、その時には人工知能によって人間が支配される、ターミネータの世界が実現するとも発言しています。

4. レイ・カーツワイル:収穫加速の法則とポストヒューマン

カーツワイルは1000ドルで購入できるコンピューターが1秒あたりに実行できる命令数から、シンギュラリティの発生時期を予想する仮説を提唱し、2045にシンギュラリティが到来すると予想しました。

収穫加速の法則とは、テクノロジーは指数関数的に発展するという、カーツワイルが提唱した法則です。この法則によると、2017年の時点では1000ドルのコンピューターの計算速度はネズミの脳と同等であるが、2025年には人間一人の脳に、2045には全人類の脳全てに比肩するようになるとカーツワイルの著書『シンギュラリティは近いー人類が生命を超越するとき』で論じられています。

ただし、カーツワイルはモラヴィックとは違い、人工知能が人間を支配するというような悲観的な見方をしておらず、人間がコンピューターと融合するような未来を予想しています。例えば、人間の脳にICチップをインプラントしたり、人間の意識をコンピュター上へのアップロードするなどが例として挙げられています。このような人間とコンピュターが融合した新たな人間を、カーツワイルはポストヒューマンと呼んでいます。

5. シンギュラリティに対する世間の論調

シンギュラリティについては、あくまでも現時点では上記のような学者が論じている仮説段階に過ぎませんが、世間ではその危険性が充分に認識され、具体的な行動に移されています。実際、2015年、産業界からビル・ゲイツ氏、イーロン・マスク氏、学会からスティーヴン・ホーキング博士を含む学者・研究者らがAI産業の安全基準に対する公開状を出し、常にAIが安全に制御できるシステムの開発・研究を強く主張しています。

また、イーロン・マスク氏を含むIT業界の著名人3人は、AIが人間を凌駕する能力や知性を得るよりも更に危険であるのは、悪意のある誰かがAI技術を独占することであるとして、2015年12月、AI技術をオープンにし、民主的に管理する非営利団体OpenAIを創設しています。

GoogleはDeepMindを買収してAI開発を推進しているだけではなく、AIが人間から主導権を奪わない方法の模索や、AIの緊急停止機能の開発も進めています。

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