M&A

【解説!】MBOのステップ、メリット・デメリット

1. MBOとは

MBOとは、「マネージメント・バイ・アウト」の略称です。

簡単にいうと、企業が自社の株式を既存株主から買い取ることをいいます。そのため、上場している会社でMBOを行うと、上場が廃止されることになります。

もっとも、昨今は、ワールドやアデランスなどMBOを行う企業も増えてきています。 今回は、そんなMBOの方法や効果について説明します。

2. MBOの方法

この章では、MBOの方法について説明をします。 MBOを実行する主なステップは4つあります。

(1) 企業価値の算定

MBOを行うためのステップの1つ目は、企業価値を算定することです。

MBOは、既存の株主から株を買い取って初めて成功します。既存の株主から株を買い取るためには、自社の企業価値を算定しなければいけません。

企業価値の算定方法には、DCF法や市場株価法などの方法があります。詳しい説明は省きますが、適正な企業価値を算出し、既存株主から株を買い取る適正価格を算出することが必要です。

▼参考記事:企業価値(M&A用語集)

(2) 株の受け皿になる新会社の設立

MBOを行うためのステップの2つ目として、株を買い取る新会社を設立する場合があります。

この新会社は、株を買い取るためにのみ設立する特定目的会社(SPC)にする場合が多くあります。

(3) 株式買い取り資金の準備

MBOを行うためのステップの3つ目は、既存株主から株式を買い取る準備をすることです。

現経営陣の資金だけでMBOを実行出来るのであれば、借り入れの必要はありませんが、現経営陣だけでは株式買い取りの資金が足りない場合は、銀行から借入れをすることが一般的です。

このような方法をレバレッジドバイアウト(LBO)と言うことがあります。

MBOのために資金調達をする方法については、コチラの記事で詳しく解説されています。
あわせてご確認ください。
参考:【完全ガイド】MBOの資金調達「手続きから資金調達法」までプロが解説|中小企業の融資代行プロ

(4) MBO対象企業をSPCの子会社化・合併

株を買い取るためにのみ設立する特定目的会社(SPC)を利用するMBOを行う場合は、MBOを行うための最終ステップとして、MBO対象企業(既存株主が企業の場合)を、株式を買い取ったSPCの子会社にします。

その後、MBO対象企業とSPCを合併させ新会社にします。これによって、新会社を新株主とした資本比率となり、マネジメント・バイ・アウトが完了します。

以上がMBOの代表的なやり方となります。

企業価値の算出と、資金の調達がMBOのポイントになります。

企業価値を正確に算出するには、先程触れた、DCF法や市場株価法など専門の知識が必要になり、不明な点が多いポイントになりますので、M&Aアドバイザーなどの専門家を入れることが一般的になります。

また、資金調達に関しても、銀行や投資ファンドの協力、事業提携会社の協力など様々な方法があるため、最善の資金調達方法を検討する必要があります。

3. MBOのメリット

この章では、MBOのメリットについて説明します。MBOの主要なメリットは、3つあります。

(1) 意思決定が早くなる

MBOのメリットの1つ目は、意思決定が早くなることです。

近年、ITの成長が著しく、異業種からの参入が多くなってきています。また市場環境も激変しているためよりスピーディで柔軟な対応が経営陣には求められています。

しかし、株主が分散していると、株主の了承を得るために時間がかかってしまいます。MBOを行うことによって株主が経営陣に集中するため意思決定のスピードが速くなるメリットがあります。

例えば、株主総会決議が必要な場面でも、株主全員の同意により開催手続を省略できるなどのメリットがあります。

(2) 長期的な経営が出来る

MBOのメリットの2つ目は、長期的な経営が出来ることです。

株主や投資家の多くは、利益を求めるため長期的な目線よりも短期的な業績向上を求めてきます。
ゆえに、上場企業は、株主や投資家に利益を還元させる義務があるためどうしても短期的な業績に目がいきがちです。

しかしMBOを行うことによって、株主や投資家に向けた短期的業績に拘泥することなく、長期的な成長戦略に沿った経営を実現させることが可能になります。

(3) 従業員からの理解が得られやすい

MBOのメリットの3つ目は、従業員からの理解が得られやすいことです。

M&Aは、第三者に経営権が移行するため、従業員は、待遇の悪化や雇用は継続されるかどうかについてとても不安になります。
しかしMBOは現経営陣が引き続き経営陣に留まるので、従業員からの理解は獲得しやすいです。

経営陣が経営権を完全に掌握するので、従来以上に社内の一体感が増すメリットも期待できます。

4. MBOのデメリット

この章では、MBOのデメリットについて説明します。MBOの主要なデメリットは、3つあります。

(1) 資金調達

MBOのデメリットの1つ目は、資金調達です。

上場企業が、MBOを実行すると上場廃止になるため、市場から資金を調達することが出来なくなります。主要な資金調達源である市場から資金調達が出来なくなるということで、財務状況が悪化してしまう可能性があります。

(2) 株式の買い取り資金が高額になる可能性がある

MBOのデメリットの2つ目は、株式の買い取り資金が高額になってしまう可能性があることです。
特に既存株主が多いと、このケースが発生する可能性は高くなります。

また、株式の買い取りに応じない少数株主がそのまま株主として残ってしまう可能性もあります。

5. まとめ

今回は、MBOの方法と効果について説明しました。

MBOは、意思決定をスピーディにしたり、長期的な視野で経営をすることが出来るメリットがあります。
今後も経済環境や市場構造の変化からMBOを実施する企業は増えてくると想定されます。

この記事を参考にMBOの理解を深めていただければ幸いです。

6. 関連記事のご紹介

「MBO」に関して、下記の記事もご紹介しておりますので、併せてご覧になってください。

(1)【MBO(経営者による買収)、LBO(借入を原資にした買収)とガバナンスの関係】

https://paradigm-shift.co.jp/column/185/detail

上記のコラムでは、MBOだけでなく、LBOに関しても、そのスキームや、メリット及びデメリット、デメリットを解消する措置について説明しております。
LBOは、レバレッジド・バイアウトの略で「てこを効かせた買収」の意味です。主に借入金を原資にして企業を買収し、対象会社のキャッシュフローで借入金を返済するというものです。

現時点で十分な資金を有していないが、経営能力は有しているという者が、企業を買収することが可能になります。
LBOにおいて債権者が経営をコントロールするための条項(コベナンツ)についても、例を挙げております。

PLEASE SHARE

PAGE TOP

MENU

SCROLL

PAGE TOP

LOADING    80%

Please turn your device.
M&A Service CONTACT